好き?
「一ノ瀬」
犬飼が廊下の向こうに居た春へ声をかける。
春は足を止め、静かに振り返った。
「犬飼さん」
「討伐作戦、お前が考えたんだってな」
「はい。何か問題でも?」
犬飼は露骨に顔をしかめる。
「問題しかねぇよ。あれ、自爆作戦だろ」
「自爆にならないように調整はします」
「はぁ……」
犬飼は深いため息を吐いた。
春は不思議そうに首を傾げる。
「どうかしましたか?」
「最近、叶もそっけねぇし」
「仲良いですもんね」
「悪い意味でもな」
春は少し考えるような間を置いてから口を開く。
「恋宮さんの事、好きなんですか?」
「……は?」
犬飼が素っ頓狂な声を上げる。
春は淡々と続けた。
「死地に向かうんですし。好きなら気持ちくらい伝えた方が良いんじゃないですか?」
「なんだそれ。死亡フラグ立てろって?」
「後悔するかもしれませんし」
「俺が? ありえねぇ」
春は一拍置いてから言う。
「恋宮さんが」
「もっとありえねぇよ」
犬飼は即答した。
春は特に食い下がる事もなく肩を竦める。
「まぁ、個人の自由ですし」
「お前こそ、白雪とデキてんじゃねぇの?」
その言葉に、春は少しだけ考え込む。
「……僕って、灯さんの事好きなんですかね?」
「いや、俺に聞くなよ」
「好きではありますけど、尊敬の方が近い気はします」
「一緒に住んでるのに?」
「なんで一緒に住んでるんでしょうね」
「だから俺に聞くなって」




