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エヒト  作者: ルイ
17/32

犬飼優凪

「ねぇ、犬飼」

背後から聞こえた声に、犬飼が振り返る。

白雪灯は、どこか楽しそうに微笑んでいた。

「……なんだよ」

「いつも通り一緒に帰ろうと思ったらさぁ、面白い場面に出くわして」

犬飼の目が細くなる。

「見てたのか?」

「うん。面白かったよ」

「趣味悪」

灯は気にした様子もなく、軽く首を傾げる。

「私とも戦ってよ」

「無理無理」

即答だった。

灯が少しだけ笑みを深くする。

「勝てないからかな?」

犬飼は鼻で笑った。

「勝確だからに決まってんだろ」

一瞬、空気が静まる。

灯は興味深そうに犬飼を見る。

「随分と自信あるね」

「能力の副次的な最適化。お前が一番全力出せるのは、世界を極寒に変えた時だろ」

「まぁ、それはそうだね」

灯はあっさり認めた。

「逆に今の状態だと、そこまで身体能力は上がってない」

「だろうな」

犬飼は壁へ寄りかかる。

「お前が一ノ瀬を評価してる理由は分かった」

「嬉しいなぁ。討伐に参加してくれると、もっと嬉しいんだけど」

「だから無理だって」

灯は小さく息を吐く。

「犬飼優凪」

犬飼の視線が僅かに冷える。

「……説得に使おうとしても無駄だぞ」

「もっと慌ててほしかったのになぁ」

灯は残念そうに笑う。

「最初の神の奇跡で、妹さん死んじゃったんだよね」

「終わった話だろ」

声音は変わらない。

だが空気だけが静かに軋む。

灯は構わず続けた。

「じゃあ、恋宮叶さんは?」

犬飼が短く息を吐く。

「諦めろって」

「殺意ぶつけながら言われてもなぁ」

「気のせいだろ」

灯が目を細める。

「妹の代わりを見つけて満足かな?」

直後。

轟音。

犬飼の蹴りが壁へ叩き込まれ、内部の鉄筋ごと砕け散った。

粉塵が舞う。

犬飼はそのまま、つまらなそうに口を開く。

「……よく聞こえなかったわ」

「怖いね」

灯は笑う。

だが視線だけは冷たい。

「でもさ、いつまで守れる?」

「守るつもりは無い」

即答だった。

「君が完璧でも、彼女にも刻印はある」

灯の声が少しだけ静かになる。

「神様の気まぐれからは逃げられないよ」

沈黙。

犬飼が低く問う。

「……何が言いたい」

灯は真っ直ぐ犬飼を見る。

「終わらせるには、神様を殺すしかない」

「殺せなければ、もっと悲惨になる」

灯は数秒黙り、それから鼻で笑った。

「なら殺せばいいんじゃないの?」

「どこまで楽観的なんだか」

犬飼は肩を竦める。

「これ以上話しても無駄だね」

「説得は無駄だから帰れ」

灯は小さく笑った。

「うん。説得はもう終わったから帰るね」

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