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許可
執務室の空気が静かに張りつめる。
白雪灯が口を開いた。
「犬飼と一ノ瀬がいれば、ヴルカーンは討伐できます」
書類から目を上げた上司が短く返す。
「許可を出すと思うか。犬飼はともかく、一ノ瀬?」
灯は肩をすくめる。
「私の身体能力、どこから来てると思います?」
「神の力に耐えるための変質だろう」
「ええ。能力には“副次的な最適化”が入る」
一拍。
「一ノ瀬はコピーのために、対象の構造と思考を無意識に解析している」
上司の視線が細くなる。
「だから、あのゲームを抜けたと」
「成立条件を見つけて、実行できる」
「犬飼も同じ理屈か?」
灯は首を横に振る。
「あれは例外です。説明は諦めてください」
短い沈黙。
「……あいつは何なんだ」
灯は答えない。
「で、許可を」
上司は息を吐く。
「戦闘だけで被害が出る。場所が火山でも同じだ」
「相殺できます。抑え込める」
「……検討する」
灯は一歩も引かない。
「どのみち実行します。許可があった方が、後で都合がいい」
上司は無言で舌打ちした。




