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人間讃歌

カフェの窓際。

名無しは胸を張った。

「人は信じる心があって素晴らしいと思うんだ!!」

灯が嫌そうな顔をする。

名無しは気にせず続けた。

「だって、言語を獲得したのは狩猟の意思疎通をする為だもん!」

「つまり、人は本能的に人を信じるんだよ。」

「疑うなんて、理性が獲得した副産物でしかない。」

灯はコーヒーを飲みながら肩を竦める。

「事実なのかは分からないけどね。」

名無しは楽しそうに笑った。

「事実?」

「必要なのは事実じゃなくて納得なんだ!」

「どこか共感出来てしまう。」

「そんな戯言が大好き!」

灯は大きくため息を吐いた。

「利用してる人間が吐くセリフとしては満点でもあり0点だね。」

「けど、人は疑うよ。それでも。」

名無しは首を傾げる。

「だから?」

「言った事を一言一句全部疑うの?」

「あり得ないでしょー。」

しばらく沈黙が流れた。

やがて名無しは机の上に一冊のファイルを置く。

「神の薬のレシピがこちらになりまーす!!」

灯は一瞥する。

「どうするの?」

「燃やしたいでしょ?」

「あぁ……そういう事ね。」

灯は頬杖をついた。

「何が欲しいの?」

名無しは即答した。

「お金は?」

灯は笑う。

「ゴミと化す物を手に入れてあげるよ。」

「真実の愛でも貰おうかな?」

「信じて無いくせに。」

名無しは悪戯っぽく笑った。

「なら、信じさせれば良いんじゃない?」

灯は少し考える。

「無明みたいに盲信出来る?」

名無しは天井を見上げた。

「誰か私の孤独を埋めてくれぇー!」

妙に楽しそうだった。

灯は即座に切り捨てる。

「一人になっても孤独を感じない癖に。」

名無しは少しだけ考え込む。

そして笑った。

「それなら孤独を感じさせて欲しいなぁ。」

灯は呆れたように肩を竦めた。

「男でも引っ掛ければ?」

「やろうと思えば出来るでしょ。」

名無しは真顔で考え込む。

「なら、一ノ瀬春君でも引っ掛けようかな。」

周囲の温度が下がった。

名無しは肩を抱く。

「寒っ。」

灯はコーヒーを飲みながら笑った。

「頭冷やせて良かったじゃん。」

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