表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
106/119

調査 ニ

「一ノ瀬春の情報収集しちゃおうっとぉ。」

名無しは依頼書を眺めながら呟く。

「今回の依頼料でぇ……。」

少し考える。

「プラモデル買っちゃおう。」

数日後。

名無しはインターホンを鳴らした。

玄関が開く。

出てきたのは中年の女性だった。

「はい。」

名無しは少し困ったように笑う。

「春君居ますか?」

女性は首を傾げた。

「春?」

「居ないですけど。」

「あれ?」

名無しは周囲を見回す。

「何処行ったんだろ。」

女性は警戒したように聞いた。

「失礼ですがどちら様ですか?」

「春君の同級生です。」

名無しは微笑む。

「神崎って言います。」

「春に何の用ですか?」

「あー。」

名無しは照れ臭そうに頭を掻いた。

「実は今度結婚するんですよ。」

「それで。」

「一番の友達だった春君にスピーチお願いしたくて。」

女性の表情が止まった。

「春に……友達?」

「そうですけど?」

名無しは不思議そうな顔をする。

女性は苦笑した。

「あの子、不登校になったから。」

「友達なんて居ないものかと。」

「そうだったんですか。」

名無しは少し俯く。

「……あの頃。」

「どうしてあげれば良かったんだろう。」

女性は小さく呟いた。

そして。

「自業自得ですよ。」

名無しが顔を上げる。

「え?」

「あの子の。」

しばらく沈黙が続いた。

名無しの表情が変わる。

「春君を悪く言わないで下さい。」

声に力が入る。

女性は眉をひそめた。

「あなた何も知らないでしょう。」

「知ってます!」

名無しは食い下がる。

「優しくて真面目で!」

「何処が駄目なんですか!」

女性の声も強くなる。

「全部ですよ。」

「何をやっても中途半端。」

「蒼が死んだのだって。」

名無しは即座に首を振る。

「春君のせいじゃない!」

「家を飛び出した癖に。」

「ヴルカーンを倒したからって帰ってきた時は失望しましたよ。」

名無しは言葉を失ったように黙る。

女性は止まらなかった。

「どうしてあんな子を庇うんですか。」

名無しは強く言い返す。

「家族なんだから!」

「お兄さんが大切だったのは分かります!」

「でも春君だって同じじゃないですか!」

女性は静かに首を振った。

「あの子はおかしいんです。」

「おかしい?」

「だって。」

女性は苦しそうに目を伏せた。

「あの日。」

「自分を蒼だと言ったんですよ。」

名無しは黙る。

「親だから分かりました。」

「昔からそうなんです。」

「蒼に追いつこうとして。」

「同じ結果を出そうとして。」

「手段を選ばない。」

沈黙。

名無しは小さく頭を下げた。

「……ありがとうございました。」

数十分後。

名無しは春の家を後にした。

必要な情報は十分だった。

三日後。

自宅。

大きな箱を見つめながら、名無しは満足そうに笑う。

「プラモデル届いたぁ。」

箱を開ける。

部品が大量に入っていた。

「おぉ……。」

説明書を開く。

沈黙。

さらに数秒。

「手順多すぎぃ。」

部品を見る。

説明書を見る。

また部品を見る。

名無しは頷いた。

「捨てちゃおう。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ