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プレゼント

土地神討伐の任務を終えた帰り道。

犬飼は珍しく機嫌が良かった。

「よし。」

「カジノ行こう。」

任務達成。

大勝利。

完璧だった。

数歩歩いて足を止める。

「あ。」

思い出した。

「叶の誕生日プレゼントどうするか。」

そういえばまだ買っていない。

犬飼は腕を組んで考える。

「確かこの国、アクセサリー有名だったよな。」

数分後。

高級アクセサリー店。

犬飼は場違いな顔で店内を見回していた。

「やべぇ。」

「良いの分かんねぇ。」

並んでいる商品を眺める。

全部同じに見える。

「こういうのセンスいるよなぁ。」

犬飼は数秒悩む。

そして結論を出した。

「すみません。」

店員が近付いてくる。

「一番高いのどれですか?」

高い物が良い物だろう。

単純明快だった。

だが。

店員は犬飼の顔を見た瞬間に表情を変えた。

「あの……。」

「誰かへの贈り物ですか?」

「まぁ。」

犬飼は頭を掻く。

「世話になってる奴。」

「恋人ですか?」

犬飼は少しだけ視線を逸らした。

「一応。」

店員は何かを察した。

数秒考えた後、一つのネックレスを取り出す。

「でしたら、こちらはいかがでしょう。」

「これ?」

犬飼は首を傾げる。

「一番高い奴じゃないよな。」

「違います。」

店員は笑顔だった。

「ですが、こちらの方がデザイン性に優れています。」

犬飼にはよく分からない。

だが。

プロが言うならそうなのだろう。

「いくらですか?」

値段を聞く。

犬飼は眉をひそめた。

「ん?」

安い。

明らかに安い。

店内の商品は数十万から百万単位の物ばかりだった。

だが。

それだけ妙に安かった。

「聞き間違いですか?」

「いえ。」

店員は苦笑した。

「その価格で間違いありません。」

「そうか。」

犬飼は頷く。

「じゃあそれで。」

カードを差し出した。

会計を終える。

店員は深々と頭を下げた。

「土地神を倒してくださり、ありがとうございました。」

犬飼はそこでようやく理解した。

「あー。」

「そういう。」

値段が安かった理由。

多分それだろう。

帰国後。

犬飼は自分の机を見た。

土地神討伐の間に溜まった仕事。

大量の書類。

ダンボール一箱分。

「うわぁ……。」

思わず声が漏れる。

そして。

手元のネックレスを見る。

数秒考える。

「どうやって渡すか……。」

沈黙。

さらに数秒。

犬飼はダンボールを開けた。

ネックレスの箱を放り込む。

蓋を閉じる。

「よし。」

全然よくなかった。

数分後。

「叶。」

「ん?」

叶は書類から顔を上げる。

「どうしたの。」

「忙しいんだけど。」

犬飼はダンボールを机の横に置いた。

「よろしく。」

それだけ言う。

そして去る。

叶は数秒固まった。

「……。」

「書類押し付けやがった。」

ため息を吐く。

ダンボールを開ける。

書類。

書類。

書類。

そして。

小さな箱。

「ん?」

叶は眉をひそめる。

箱を開ける。

沈黙。

数秒後。

額を押さえた。

「うわぁ……。」

呆れた声だった。

「ヘタレ。」

ネックレスを見つめる。

「マジでヘタレ。」

素直に渡せばいい。

それだけなのに。

誤魔化した。

書類で。

仕事で。

いつも通りに。

叶は小さく笑う。

「まぁ、いいや。」

そう言いながら。

ネックレスをそっと握り締めた。

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