どんな子がタイプ?
リビング。
テレビではアニメが流れていた。
叶はソファに寝転がりながら、ふと犬飼を見る。
そういえば。
この男がどんな見た目の女性を好むのか知らない。
「ねぇ、犬飼。」
「なんだ?」
犬飼はテレビから視線を外さないまま返事をした。
「アニメ見てるの?」
「おう。」
叶は画面を見る。
ヒロインが妙に露出の多い格好をしていた。
「このキャラ露出高いけど、そういうの好きなの?」
犬飼は首を傾げる。
「別に。」
「このキャラが露出低くなったって魅力消えねぇだろ。」
「いや、そうだけど。」
叶は苦笑する。
犬飼は本当にそう思っている顔だった。
「てか、んな事気にしてたらアンパンマンくらいしか見れねぇよ。」
「あー……正論なのが腹立つ。」
犬飼は気にせずアニメを眺める。
「ストーリーが好きなの?」
「ん?」
犬飼は少し考えた。
「あー、ストーリーも悪くねぇな。」
「も?」
嫌な予感がした。
「このアニメの台スペック荒いんだよ。」
「今度打つから演出の予習。」
叶は数秒黙った。
「あー……まぁいいや。」
やっぱりそうだった。
叶は話を戻す。
「なんか好きな見た目とか無いの?」
「ん?」
「いや、好みの女性。」
「ふわっとでいいからさ。」
犬飼は少し考え込む。
「うーん……。」
珍しい。
本気で悩んでいる。
「そんな悩む?」
「いや。」
犬飼は頭を掻いた。
「好みはあるかもしれねぇけどさ。」
「人の容姿なんて何通りあると思ってんだよ。」
「大枠でいいから。」
「髪長いとか。」
「可愛い系とか。」
「綺麗系とか。」
犬飼は首を傾げる。
「見た目はそこまで。」
「えー。」
叶は呆れた声を出した。
「そう言いながら実は可愛い子が好きとか無いの?」
犬飼は少し考える。
「見た目が可愛かったとするだろ。」
「うん。」
「でも言動が癪に障る。」
「それでも好きになれるか?」
叶は思わず黙る。
「あー……。」
確かに。
「それは無理かも。」
犬飼は頷いた。
「だろ。」
叶は苦笑する。
そして、ふと思い出した。
「犬飼って顔良いじゃん。」
「そうか?」
「そう。」
即答だった。
「でも、この前の誕生日は本気でぶち殺そうかと思った。」
犬飼が不思議そうな顔をする。
「え?」
「駄目だったん?」
「当たり前だろボケナス。」
叶は即答した。
誕生日プレゼント。
小さなネックレス。
そこまでは良かった。
問題は。
その箱の中に大量の仕事の書類を詰め込んでいた事だ。
「普通プレゼントの箱に業務資料入れる?」
「効率良いだろ。」
「良くねぇよ。」
犬飼は本気で分かっていなかった。
叶は呆れながらため息を吐く。
その首元では。
その時貰ったネックレスが静かに揺れていた。




