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赤い魔石は火属性ですよね? いいえ、違います・・・  作者: MMLB
第三章 赤音威流の異世界暮らし 編
82/85

82話 勢い任せにやった事を後悔するなら、最初からやるなっ!!・・・

威流たけるが手を開くと、

人の頭ほどの大きさの球体がフワフワと浮かび上がり、

陽が落ちて暗くなった室内を隅まで明るく照らし始めた。



突然広がる強い光を前に、そこに居る全ての者が手で光を遮っていたが、

徐々に目が慣れていき、浮かぶ光る球体に目を見張った。



ちょび髭おやじは言葉を失う。


その様子を見た威流たけるは控えめな笑顔を見せ、

言い争っていた二人に問い掛ける。


「突然ですいません。

 これなら調べものも出来ると思うのですが・・・」



茫然としていたちょび髭おやじは、

慌てて威流たけるに向けてうやうやしく一礼をして口を開く。


「これは、大変失礼を致しました。

 魔法使いなのであれば、そうおっしゃて下さいよ~」


「いや、まぁ、その・・・

 それで、これなら蝋燭は必要ないですよね」


「いやぁ~、ありがとうございます。

 こんな魔法を見た事がありませんが、

 どちらの流派でいっらしゃいますか?」


「え~と、流派とかは無いです」


「それでは、独学でやられていると?」


「まあ、そんなところです・・・」


「あぁ、そうだ。申し遅れました。

 わたくし、ボーゲンと申します。」


「ボーゲン様ですか。私はタケルと申します」


「タケル様、私の事はボーゲンと呼び捨て貰って構いません」


「いえいえ、卑しからぬ身分の方の品位を落す事は出来ません」


「魔法使いの方は世俗に興味が無いと聞き及んでおりますが、

 タケル様は貴族社会の事情にも精通されていらっしゃる様で」


「それより、何かお調べに来られたのでは?」


「そうでした。さる貴族の方の晩餐に招かれておりまして、

 その方の祖先の偉業を頭に入れておかねばいけないのです」


「なるほど、歴史書などに記されている程のお方であると」


「お分かりになりますか!!

 詳しくはお話出来ませんが、お会いする当主は一廉ひとかどのお方でございます」


「それでしたら、お急ぎになられた方が良いのではないですか?」


「そうですね。折角、タケル様に魔法でお助け頂けましたので、

 お言葉に甘えさせて頂きます」



そう言うとボーゲンは手を二度叩く。


外に待たせていた馬車から侍従が椅子と机を図書館内に運び、

ボーゲンはそれに座りながら、お目当ての本を持ってくるのを待っている。



入り口から威流たけるがボーゲンの様子を眺めていると、

衛兵が後ろから声を掛けて来た。


「この度はお助け頂いた事に深く感謝しております。

 ただ、大変申し上げにくいのですが謝礼の支払いが・・・」


「いえいえ、大した事ではありませんから謝礼は不要ですよ」


「そんな訳にはまいりません。

 魔法をお使いになって謝礼も無いなど聞いた事がございません」


「そうなんですか?

 それでしたら、謝礼を頂くとしましょう」


「是非ご用意したいのですが、

 私の稼ぎでは大した金額がご用意出来ないのです」


「謝礼は何でもいいのでしょう?

 じゃあ、あなたの分かる範囲でいいので質問に答えて下さい」


「いくらでもお答え致しますが、それが謝礼になるとは思えません」



威流たけるは衛兵が「クソ真面目過ぎて頭が固い」と思い、

どうせ言っても聞かないので、ちょっとした小芝居をする事に決め、

”常識人モード なんちゃって魔法使いバージョン”を発動する。



「君は魔法使いにとって知識がどれだけ大事なものか分かっていない様だ」


「その通りでございます。

 大変申し訳ございませんが私には分かりません」


「時に知識というものは莫大な財産にも劣らぬ価値を生み出す。

 それは”魔法使いにしか分からぬもの”という事でもあるまい」


「知識が貨幣より価値があるなど、

 衛兵の私には分からぬ事でございます」


「そうか・・・だが、私が求めるものが知識であると言ったら、

 知識を差し出すのが謝礼となるのではないのか?」


「仰る通りかもしれません。

 私でお答え出来る事であれば、なんなりと」



ここまでイキリ散らかす必要があったのかと思いつつ、

あまりの恥ずかしさで顔から火が出そうであったが、

それを表情に出さないのが”常識人モード”である。



こんだけ偉そうに”魔法使いとはなんたるか”を語っておきながら、

魔法使いのフリをした威流たけるが衛兵に問い掛けた内容は、

この世界での魔法使いがどういったものなのかであった。




あんだけ「謝礼が必須」とか騒ぎ立てていたのに、

この衛兵は魔法使いについてあまり詳しくなくて、

内容の殆どが本当かも疑わしい噂まがいのものだった。



衛兵が話していた内容を纏めてみると、

魔法使いはかなり珍しく、滅多にお目に掛かれないらしい。


更に、魔法使いに何かをお願いする時は莫大な報酬が必要で、

”お抱えの魔法使い”が居る事はお金持ちであるステータスとも言えるそうだ。


高名な魔法使いの弟子となった者が、

師と同系統の魔法を習得する事で”流派”に入門し、

その一門として師と共に行動している。


魔法を悪用する犯罪者みたいなのも居て、

歴史上でも魔王に協力した魔法使いの記録が残されている。



聞けば聞く程、悪いイメージが膨らんでいくのだが、

魔法使いの良い話は無いのか?



そもそも異世界なら、

石を投げたら魔法使いに当たるってぐらい、そこら辺に居るもんじゃないの?

魔法使いが少ないから脳筋みたいな人ばかりなの?


「ちょっと判断ミスったかも・・・」



威流たけるが不用意に口にした魔法使い発言が、

今後どんなデメリットがあるのかは全く想像が出来ず、

もう魔法使い設定で押し通せば良いと開き直るのであった。

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