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赤い魔石は火属性ですよね? いいえ、違います・・・  作者: MMLB
第三章 赤音威流の異世界暮らし 編
81/85

81話 規則に文句を言い守らない奴が”規則を増やしている”事に気付いていない・・・

食料問題が解決し、勉学に励む機会となった威流たける


ただでさえ国語や英語などの語学が堪能では無いのに、

新教科”異世界語”となると苦戦するのは明白であった。



異世界に来てからの威流たけるの起床時間は、

陽が昇ったら勝手に起きるという適当さでよかった。


だが、なるべく多くの勉強時間を確保する為、

これからは早寝早起きをしなければならず、

図書館が”窓から日が差す時間”しか利用出来ないという性質上、

決まった時間に起きるという習慣が必要となった。



目覚まし時計が無いので「それは無理だ」と威流たけるは諦めていたが、

額の上に果物を置いて、落ちない様にそれを草で縛ってから寝ると、

朝になったら早起きこげちゃんがそれを食べに来る事で問題は解決した。


顔が垂れてくる果汁でベッタベタになるのと、

寝ている姿がマヌケなのが如何いかんともしがたいが、

目覚まし時計としてはなかなか優秀な部類だった。



デジタル機能をアナログで解決する。

人間の文明はこうやって衰退していくのであろうかと思う威流たけるであった。



食料は前の日に捕った魚を木の枝に刺してから焚火で焼く。


魔石の使用方法の向上により、海辺を吹き飛ばす様な愚行を、

ここではする必要がなかった。



食事が済んだら町へ向かい、衛兵が図書館を開けるまでその場で待ち、

後は陽が暮れるまで勉学に勤しむ。



なるべく早く言葉に慣れる為、単語を声に出していたが、

周りの人間が「同じ言葉を何回も繰り返す変な奴が居る」と、

悪い意味で注目を浴びる事となるが”気にする必要は無い”と自分に言い聞かせた。



暫くはそんな日々を繰り返し、徐々に言葉を覚え始めた頃、

適当に選んだ絵本が読めた時には年甲斐も無く心が躍った。



絵本が当たり前に読める様になってくると、

今度はちょっとした小説を読んでみたくなり手頃な物を手に取っていく。



その中でも”女性の勇者と戦いに疲れた魔王”の平凡な日常を描いた話が、

こう何か心にグッと来るものが有り、ひたすらに読みふける。



悪い意味で有名人になった俺ではあったが、

毎日図書館に通い詰めていると話し掛けて来る者もちらほら出てくる。


拙いながらも「私、外国から来た、言葉勉強している」と伝えると、

”変人”の汚名は返上され、暇を持て余した者と会話の練習が出来た。



流石に毎日暗い部屋に籠っているのもしんどいので、

ふらふらと町を散策する日もあったのだが、

とんでもない店を見つけてしまった。


その店に窓などが無くて、中に何があるのか見えない。

赤い壁にピンク色の文字で何かが書いてあるのだが、

俺にはまだ読めない単語だった。


「こここっ、これはあれなんじゃないか!?」



成人男性であれば興味が無いという奴はいない、

素敵な女性が沢山いるお店。


しかーし、俺には先立つ物が無い。

だから、間違えたフリをして中に入ってみてもいいじゃないか。


単なる目の保養だ。

決してよこしまな気持ちがあるわけでは無い・・・


言葉を覚えるのに一番効率的なのは、

その言葉を話す彼女を作る事だと聞いた事がある。


彼女を作る訳では無いが、ちょこっとお話するぐらいは見逃してくれい。



威流たけるがこの店を見つけた事で、

語学へのモチベーションは爆上がりするのであった。



そして、威流たけるは別の日にまたとんでもない店を見つける。


見つけた店の看板は他の商店より明らかに大きく、

緑色で書かれた文字は荒々しく強く訴えかけてくる。


何故か禍々しさが漂う単純な言葉が二つ。


”こんにちは 労働”


ただそれだけだった。


「これは、まさか冒険者ギルド的なやつなのか?」



そこに入って行く人も出て来る人も重々しい雰囲気を漂わせている。

だが、ここなら仕事の斡旋をしているのは間違いなさそうだ。


「いずれ世話になる事になるだろうが、

 今は見なかった事にしよう、そうしよう」



威流たけるの語学へのモチベーションは少し低下した。



モチベーションを上げ下げしながら日々を過ごしていく威流たける


そんなある日の事。


日も落ち、誰も居なくなった図書館で威流たけるが帰り支度をしていた時だった。

入り口が何やら騒がしく、衛兵が誰かと言い争う声が聞こえて来た。


「今日はもう暗くなりましたので、どなたであろうと利用は出来ません」


「暗くても問題は無い、手持ちの蝋燭立てがある」


「ここへ蝋燭や松明などの持ち込みは厳禁です」


「貴様、この私に恥を晒せと申しておるのか」


「そちらの都合に合わせて規則を変える事は出来ません」


「衛兵の分際で貴族の私の言う事が聞けないのかっ!!」


威流たけるが入り口まで来ると、

衛兵と身なりの良いちょび髭おやじが口喧嘩をしていた。


ちょび髭おやじの護衛らしき兵が武器を携えているのが見え、

何かトラブルに発展しないか威流たけるは心配になり様子を伺う。



ちょび髭おやじは横柄な態度を取り衛兵を突き飛ばすが、

貴族相手に槍を突き付ける事など出来るはずも無く、

どうにかして穏便に済ませようと説得を続けている。



威流たけるは「他人の会話が聞き取れる」と感動するも、

聞こえてしまった以上このまま放っておくのも忍びなく、

思い切って二人に声を掛ける。


「あのぉ~、そちらの方はここで何かを調べたいという事なんでしょうか?」



ちょび髭おやじは訝しげな顔して手で追い払う仕草をするが、

最近足しげく図書館に通う怪しい男が加勢してくれると思い、衛兵は事情を話す。


「そうだ。だが、こう暗くては中で書物を見る事は出来ないと伝えているのだ」


「蝋燭を持ってきていると言っているのが、まだ分からんのか!!」


「だから、それは持ち込み出来ないと散々お伝えしておりますが」



また、二人の言い争いが始まると、

状況を把握した威流たけるは、ポケットから魔石を取り出す。


「それなら、どうにか出来るかもしれませんので、

 もう言い争うのはやめませんか?」



ちょび髭おやじは威流たけるの言葉を全く信じておらず、

余計な口を利くなと悪態を吐く。


「お前の様な貧乏人に何が出来るというのだ。

 私の前で大口を叩いても良い事はないぞ」



「まあ、見ていて下さい」


そう言うと、威流たけるは黄色の魔石を起動した。

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