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赤い魔石は火属性ですよね? いいえ、違います・・・  作者: MMLB
第二・五章 柾黄 蓮と久城 葵 編
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73話 邪魔する奴は財力ひとつでダウンさ・・・

男はスマホを受け取り、恐る恐る耳に当てる。


「はい・・・えっ!?はい、はい、あの、その・・・」



電話口の相手が誰だか分かると、

管理人は途端に態度が変わり、先程までの勢いなど見る影も無くなる。


青ざめた顔に脂ぎった汗が流れ、スマホを持つ手は震えていた。



話を聞いて状況を把握した男は、

ゆっくりとれんに顔を向けた。



”銃口でも突き付けられている”かの表情をする管理人に、

れんは静かに問い掛ける。


「おいお前、俺の名を言ってみろ?」


「こ、このマンションの、オ、オ、オーナーの、

 柾黄まさきれん様です」


「その通り、正解だ。

 では、お前が持っている鍵がどう有るのが正しいのか分かるか?」


「もももも、勿論、柾黄まさき様にお渡し致します」


「そうだな。その程度の事は分かるようだ」



管理人はジャージのポケットに入れていた鍵の束をれんに差し出す。

れんは鍵の束を受け取り、そのまま話を続ける。


「それで君は、職務怠慢と職権乱用によって懲戒処分を受ける事になり、

 本日を持って解雇となる」


「待って下さい、先程の事はお詫び致します。

 今後、この様な事が無いよう真摯に努めます」


「残念だが、それにもう少し早く気付くべきだったな。

 今後の君は懲戒解雇の身で職を探さねばならないが、

 柾黄まさき財閥グループ及びその傘下、

 取引先も含めた関係各社の全てが君を雇う事は無いだろう」


自分の起こした事がこんな大事おおごととなり、男は言葉が出てこない。

そんな絶望の淵に居る男の耳元でれんが囁く。


「お前はもう死んでいる」


社会的に抹殺された管理人は愕然とし、その場にへたり込んだ。



その後、駆け付けたれんの家の使用人達に連れられ、

男は姿を消す事になる。


管理人が持っていたスマホを受け取った使用人が、

れんに声を掛ける。


「坊ちゃま」


呼び方が気に入らないれんが使用人を一瞥いちべつすると、

その意図を察し呼び方を変えた。


「失礼致しました、れん様。

 このスマートフォンはいかがなさいますか?」


「そのスマホ、新しいのに変えておいて」


「畏まりました。お帰りまでにはご用意致します」


「宜しく頼んだよ」



そう伝えたれんあおいの腕を引き、

エレベーターに向かう。



呆気に取られていたあおいは、

何が起きていたのかをれんに説明を求める。


「いったい、何をしたんですか?」


「買ったの、このマンション」


「はい?」


「だから、このマンションを今買ったの!!」


「だから、あの管理人をクビに出来たんですか?」


「そう。マンションの管理会社もうちの傘下に変えたから」


「まさか、本当にお坊ちゃんだったんですねっ!?」


「”本当に”ってどういう事だよ、まったく。

 あと、”お坊ちゃん”って言うのも止めてくれ」


「良かったんですか?そんなにお金を使っても・・・」


「いいんだよ、どうせ大した使い道も無いし、

 威流たけるが俺に家賃を払うとか楽しそうでしょ。

 とにかく早く威流たけるの部屋に入ろう」



威流たけるの部屋の前に着いたれんは、

部屋番号の掛かれた鍵の束からお目当ての物を探し当て鍵を開けた。



ドアを開けると奥の部屋の明かりが点いており、

玄関から廊下を通り、奥の部屋の扉を開く。



奥の扉の先にあったのはリビングルームだった。


そこには誰もおらず、テーブルの上には威流たけるの鞄と、

いつも着ている薄手のコートが乗せられていた。



れんはそのままリビングとダイニングを探し、

廊下の途中にあった別の部屋はあおいが探すことになった。



全ての部屋と風呂場やトイレを見回り終えたあおいはリビングに向かうと、

リビングを隈なく探したれんは、威流たけるの鞄を調べていた。


柾黄まさきさん、どの部屋にも居ませんでした」


「そうか。鞄の中にスマホも財布も入っているから、

 遠くに出かけたとは思えないんだが・・・」


「でも、鍵は閉まっていたんですよね?」


「どういう事だ!?神隠しにでもあったというのか?」


「あの、今日はここで待ってみませんか?」


「そうだな、どのみち他に手掛かりも無いしな」



二人は鞄をテーブルに置き、ダイニングテーブルに腰を掛け、

そのまま待ち続けるが、ただ時間だけが過ぎていった。



ふと、れんは自分の鞄の中をまさぐり始める。


柾黄まさきさん、どうしたんですか?」


「いや、スマホに連絡来てないかなと思って」


「さっき、新しいのに変えてくれって言ってませんでしたっけ?」


「そうだった!!ちょっと、取りに入って来る」


れんは立ち上がって玄関に向かい、

暫くしてから、れんは使用人を伴って戻ってきた。


使用人は有名店のロゴが印刷されたいくつもの袋を手に持ち、

それをテーブルの上に乗せてから、部屋を出て行った。


「食べ物と飲み物を用意させたから、

 好きな物を適当に摘まんでよ」


「ありがとうございます。

 何か食べておいた方が良いですよね」



二人が食事を終えた頃には、

半分に欠けた月が窓から見える時間帯になっていた。



うとうとし始めるあおいに少し眠る様にと促すれんであったが、

起きたまま威流たけるを待ちたいと、あおいはそれを断った。


れんは交互に休んだ方が良いと説得し、

空いている威流たけるのベットを使う様に勧めると、

恐ろしい程あっさりとあおいは提案を受け入れた。


独りで待っていたれんも、

テーブルに伏せて、いつしか眠ってしまっていた。



二人が眠りに落ちた頃、

白い魚の像の前には二つ折りにされた紙が二つ。

ただ、それだけが残されていた。

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