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赤い魔石は火属性ですよね? いいえ、違います・・・  作者: MMLB
第二・五章 柾黄 蓮と久城 葵 編
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69話 人の秘密を暴いてはいけない。後できっと後悔する事になるぞ・・・

久城くじょう あおいには人に言えない隠された”性癖せいへき”が存在する。



普段は性癖が外に漏れ出さない様に栓をギッチギチに閉めているのだが、

たまに油断して、ゴムパッキンが緩んだ蛇口から垂れる雫程度の漏洩を起こす。



ただ、性癖と言っても女性らしい可愛いもので、

普通の人より”ちょっと”だけ愛が重たいのである。



学校や会社でよく目にする事が有るはずだ。


好きな人の好みに合わせた服装や髪型にしたり、

関係を深める為に勇気を出して食事に誘ったりする女性。


また、LINEやメールの返信が無いと狂った様に電話したり、

「私、包丁の扱いが得意なの」が、どういう意味なのか分からないといった、

どこにでも居る()()()()女性の愛の重さを”豚”とした場合。


久城くじょう あおいの愛の重さは”ロードローラー”程である。



正に”ちょっと”重たいだけ。



好きな人の身も心も自分で満たしたいという可愛らしい乙女心。

他人のパスワードを自分の名前にするなど、お茶目なアプローチに過ぎない。



威流たけるを見つける手掛かりという当初の目的はどこへやら、

是が非にでもパスワードを解明したいあおいに吹く向かい風。



威流たけるのデスクに座っている所を部署の先輩に見られ、

あおいは即座に連行される事となった。



れんが連行される彼女を手を振りながら見送ったのは、

「こいつ目的変わってんな」という事に気付いてしまったからだった。



れんが調べていたPCからは何も手掛かりが見つからず、

もう一つのPCのパスワード解析に入る。



先程と同じパターンで推測した結果、パスワードは”cola”と分かった。



PCに残された検索履歴を確認するれん


すると、そこにはパワースポットに関連する単語が並び、

威流たけるの意図が色濃く残されていた。



「まさか、あの魚の像でスピリチュアルにでも目覚めたのか?」


あの時、蕎麦屋で聞いた大将の話なんて半信半疑どころか、

なに一つ信じられる要素なんて無かったと思っていたのだが・・・


威流たけるが”願いが叶う”なんて本当に期待していたとは、

流石の俺でも予想が出来る訳ない。



「それだけ追い詰められていたって事か・・・」


れんの脳裏に嫌なイメージがよぎる。


威流たけるれんにだけ気を許していて、

隠している素の性格をさらけ出しているとは思っていた。


だが、考え方や感覚の”本質的な部分”は常に隠していると、

れんはそう感じてはいた。



「おかしな事をしてなければいいが・・・」



しているっ!!あいつは絶対おかしな事をしている。


自暴自棄になって死を選ぶなんて素直なタマじゃない。

目的達成の為に勝手な行動を起こして自爆するタイプだ。


毒キノコで野垂れ死ぬパターンより電車の手摺りを舐めて、

鉄道警察でお縄になっているパターンが有力か?


いや、調子に乗って魚の神様にお供え物を追加しに行っている。

そんな気がする・・・


「昨日の所に行ってみるか」



れんは外出の準備をする為に、一旦、自席に戻る。

ジャケットを羽織り、鞄を手に取る。



営業部からエレベーターへ向かうれんは、

後方から()()()()()()()()()気配を感じる。



その気配はれんの横を歩きながら声を掛けてくる。


「どこを探すつもりですか?」


「仕事に戻ったんじゃないのか?」


れんは足を止めず問いかける。



「あっ、大丈夫です。今日は有給にしました」


「このタイミングでよく許可が下りたな」


白長しらなが部長が口添えしてくれたので」


「何を言ったらそうなったんだ?」


白長しらなが部長に赤音あかねさんの住所聞いただけですけど」


「そんで?」


「”赤音あかねの事を頼んだ”って言われました」



有給の許可が下りた経緯をしれっと語るあおいに、

本日二度目の”狂気”を感じ、いまどきの若者の感覚に戦慄を覚えるれんであった。



れんは横目であおいを見ながら、

「公然と住所を聞けたラッキー」とか思っているんじゃないかと勘繰っていたが、

ぐうの音も出ない程、その通りであった。



久城くじょうあおいの後先を考えない所は威流たけるに似ており、

もしかしたら案外お似合いのカップルなのではとれんは思った。


だが、”それを聞いたら調子に乗りそう”という所まで似ていそうなので、

絶対に言わないと、たった今この瞬間に決めた。



エレベーターに乗り込み、れんは最初の問いに答える。


「取り敢えず、近くの公園に思い当たる場所があるから、

 まずはそこに行く」


「近くの公園ですか?」


「そう。まさかとは思うんだが、昨日行った所を探してみる」


「分かりました。その次は自宅ですねっ!!」


「まあ、そうなるな・・・」


あおい威流たけるの自宅に行ける喜びを押し殺している。

だが、漏れている。伸び上がる語尾から性癖が漏れ、れんに感付かれているのだ。



エレベーターを降りた二人はエントランスを抜け、ビルの入り口から出る。

れんは公園に向かって歩き出し、あおいはその横を歩く。



歩きながられんは心配になっていた。


この女を威流たけるの家に連れて行って大丈夫なのか?

もしかしたら、威流たけるを誘拐して監禁している犯人が居て、

「それがこいつなのでは?」と考えてしまう。



いくら趣味が読書と言っても、

れんはミステリー小説の影響を受け過ぎである。



だが、敢えて”誘拐”されたと言うのであれば、それを行ったのは、

れんが今から行く先に鎮座している白い魚の像がその”誘拐犯”となるだろう。

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