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赤い魔石は火属性ですよね? いいえ、違います・・・  作者: MMLB
第二・五章 柾黄 蓮と久城 葵 編
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68話 ”常識”や”普通”の曖昧さは、他人との価値観の違いにある・・・

デスク内からは手掛かりが見つからず、

次にれんが目を付けたのはデスク上にある二台のPCだった。



れんは二台のPCとモニターの電源を入れ起動を待つ。



暫くすると二つのモニターにパスワード入力画面が写し出され、

れんは分かりそうで分からないパスワードを推測する羽目になる。


「あいつがパスワードで使いそうなものか・・・」



威流たけるは案外適当な性格をしているから、

簡単に入力出来るパターンだと思うんだけどなぁ。



れんは数字やアルファベットを順番に入れてみたり、

本人の名前にしてみたり、会社名にしたり試してみたが全て違っていた。



久城くじょうさん。威流たけるのパスワード思い付くのある?」


れんは作業を後ろから見守るあおいに問い掛ける。



「う~ん、流石に思い付きそうなの無いですね・・・

 そっちのパソコンは柾黄まさきさんに任せるので、

 こっちのパソコンは私がやりますね」


デスクの左側にあるPCをれんが、

右側にあるのをあおいが担当する事になった。



あおいはそこいらの椅子を持ってきて作業を始める。



れんは入力に手間が掛からない簡単なパターンを探し、

あおい威流たけるの好きそうな物から探していく。



思い付いたものから手あたり次第入力していくが、

桁数も分からない英数混合のパスワードを探し当てるなど、

普通に考えれば不可能な話であった。



直ぐに行き詰まり、れんは頭を抱えているが、

あおいは黙々と作業を続けている。



「はぁ~、威流たけるは変なこだわりを持ってるからなぁ~」


あいつが最近ハマっていたものってなんだっけか?

何にか飯を食べている時に話していた俺にはよく分からなかった事・・・



れんは記憶を辿り、何か覚えていないか探ってみると、

何かのゲームを勧めて来た時の事を思い出す。




ある日の食事中に料理に手を付けずに話に夢中になっている威流たけると、

”説明が分かりにくい”と思いながら料理を口に運んでいるれん



「そんでね、連射クロスボウを避けてだね」


「なに、その凶暴な赤ずきんは?奴隷なのに騎士なの?」


「ダークファンタジーなの、そういうゲームなの」



威流たけるが今ハマっているゲームの話をしているのだが、

話の内容が頭に入って来ないので、れんは素直に感想を述べた。



「面白さがまるっきり伝わってこないんだが」


れんもやってみれば分かる」


威流たけるがそこまで夢中になるのがよく分からない」


「コントローラーを投げたくなるくらい楽しいぞ」



正直、威流たけるが何を言っているのかさっぱり理解出来ず、

誰もが聞くであろう質問を投げかける。



「ゲームの素人だから一応聞くが、それは楽しんでいるのか?」


「投げてからが始まりみたいなものだ!!」


「試合中にラケット投げるテニスプレイヤーみたいな感じ?」


「それとは違う」



威流たけるれんのたとえ話を、首を横に振って否定した。


自分で分かり易い例を挙げてみたれんだが、

何かが違うらしく、”じゃあ、何なの?”とれんは思っていた。



”投げる”件について理解する事を諦めたれんは、

自分の趣味に威流たけるを巻き込もうと画策する。



「まあいいや。でさ、もし俺がゲームに付き合ったら、

 お前は俺とのテニスに付き合うのか?」



威流たけるは身体を横に逸らしながら、

一瞬嫌そうな顔をしたが、少し唸ってから答えを出した。



「むむむ、布教の為ならぁ~・・・致し方あるまいっ!!」


「へぇ~、意外な回答で驚いた。そんなに俺と遊びたいのか?」


「むむむぅ~、やぶさかではない」


「よし、いいよ。じゃあ、俺もやるよそのゲーム」



辿った記憶は、れんにとっては楽しい思い出であり、

しかも、その中に”これだ”と思う要素も見つけられた。



れんは早速、思い付いた文字を入力するが、

無情にもPCのロックは解除出来なかった。


「あっ!!分かったかも」



れんはスマホで何かを調べ、キーボードを叩き始める。


「f、r、o、m、h、a、・・・・・・」



全ての入力を終え、エンターキーを押す。

すると解除音が鳴り、モニターにデスクトップ画面が写し出される。



「やっぱり!!

 あいつ会社のパソコンにどんなパスワード設定してんだ、本当に」



その声にあおいが反応する。



「分かったんですか!?パスワード、何だったんですか?」


「あいつの好きなゲームを作った会社の名前。

 ”from hardware”だった」


赤音あかねさん、自分の好きな物をパスワードに設定してたんですね」


「そうみたい。なんか変なこだわりがあるんだよ」


「そうなんですね・・・”好きな”ものを・・・」



この時、あおいは良からぬ事を考えており、

威流たけるのPCのパスワードを勝手に”自分の名前”にしようとしていた。



現在のパスワードが分かれば、パスワードの再設定が出来る。

その事実があおいの恋心を間違ったの方向へ走り出させた。



好きなものをパスワードにするという事は、

”パスワードにしたものを好きになる”という事では無い。



そんな当たり前の理屈を明後日の方向に捻じ曲げさせたのは、

”好きな人に好かれたい”というあおいの平凡でありきたりな欲望だった。



あおいは念の為、パスワード入力欄に自分の名前を打ち込んでみたが、

結果はお察しの通りであった・・・

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