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64話 何故、楽しい時間はアッと言う間に過ぎ去って行くのだろう・・・

ドキドキお宅訪問以降、毎日海岸でリリーと会う様になったが、

腕を組んで待ち構える山賊僧侶という ”余分なオマケ” が付いてくる日もあった。



リリーが山賊僧侶の名前を”マティオン”と教えてくれ、

AEDは”アーク”、大斧持ちは”ビーフィー”で、

棘付き棍棒持ちは”ポーキー”と教えてくれたのはマティオンだった。



ことのほかマティオンは絵が上手で、

各々の人物の特徴を捉えた絵を砂浜に書き、名前を教えてくれた。



ただ、それがリリーの不興を買うという事をマティオンは理解しておらず、

俺に何かを教える役目を奪われたと思ったリリーはへそを曲げてしまった。



マティオンがそれに気付くのが遅すぎた代償として、

拗ねた女の子をなだめるという、慣れない事をする羽目になった。



チキンも含め、僧侶達の名前がどう見てもカレーの種類なのだが、

「出来過ぎた偶然もあるものだな」と、どうでもいい事を気にするのは止めた。



頻繁に顔出すマティオンだったが、案外忙しそうにしているので、

興味本位で付いていくと、僧侶達が村の入り口で瓦礫の撤去作業をしていた。



以前の戦いで村に目立った被害は確認されなかったが、

戦いの爪痕として ”無数の骨” となった骸骨兵の残骸がその場に残っていた。



本来、戦いの後の瓦礫の撤去などは村人が協力して行うものなのだが、

やれ「呪いが怖い」「病気が怖い」だので、村人は撤去作業に抵抗感が有り、

参加者の少なさから作業が遅々として進まない。



僧侶達の様子から「弔う為に骨を集めている」と察した威流たけるは、

魔石を利用した方法を思い付き、村の出入りの邪魔にならない場所に移動する。



紫の魔石を起動し、リリーを助けた時と同じ要領で周囲の骨を吸い寄せ始めると、

想像していた通りに骨が威流たけるを目掛けて転がり始めたが、

「こんな事して罰当たんないかな」とちょっと心配になった。



何をするのかと期待の眼差しを向けていた僧侶達はこの光景に目を疑う。


あれだけ苦労して集めていた骨が、転がりながら集まって行き、

威流たけるの前に山の様に積みあがっていった。



だが、それは飽くまで散らばった場所のほんの一部を集めたに過ぎず、

全てを片付けるにはまだまだ時間が掛かりそうではあった。



威流たけるも、なるべく手伝いたい気持ちがあるものの、

「骨集めを毎日やったら身体に悪い影響がありそう」という理由で、

一日置きで手伝う事をにした。


また、「呪われたら、絶対にお祓いはしてもらう」というのも勝手に決めていた。



集落に通う様になってからリリーにほぼ毎日食事に誘われるが、

大人一人分の食材費用を負担させていると思うと素直に行くとも言えなく、

断り続けリリーの機嫌を損ねてしまう。



そんなある日の事。


威流たけるが村の入り口で骨集めに精を出してた時に、

ふらっと立ち寄った老婆が作業中の威流たけるに声も掛けず、

芋の入ったかごを道のど真ん中に置いていった。



別の日にも、どこぞの婆さんが、

豆の入った”ずたぶくろ”を置いて去って行く。



これはどうしたもんかと威流たけるが悩んでると、

マティオンがそれを拾っては威流たけるに持って帰る様に促す。



数々の物品を有難く頂戴すると、威流たけるはそれを全てデイジーに渡した。


そのお陰もあって、遠慮なくリリーと一緒に食事が出来るので、

リリーは毎日ご機嫌で威流たけるもニッコリである。



食事のお礼に庭の草むしりをやらせて欲しいとお願いし、

威流たけるは庭の草をむしっていくが、餌だと思ったこげちゃんが、

それを片っ端からもりもりと食べていく。



段々と庭が手入れされていくと、デイジーと庭で過ごす事が増えていき、

二人の仲も段々と進展して行く・・・事も無く。


毎回、混沌製造機カオスメーカーに引っ掻き回されて終わる。



それでも、威流たけるとっては楽しい毎日だった。

だが、そんな楽しい日々も終わりを告げようといていた。



村の入り口に散らばっていた骨の片付けも終わりが見えて来た頃、

マティオンに誘われ、威流たけるは教会に行く事になった。



教会に着くとアークに迎えられ、俺は教会の執務室に通された。


部屋の中央に置かれた机の上には地図が置いてあり、

アークはその地図を指差している。



置いてある地図を見てみると、右下には森に囲まれた村があり、

そこにはデイジーとリリーの顔が描かれていた。


そこがこの集落であると分かったのは、マティオンの気遣いのお陰だ。



集落から伸びる街道を進んでいけば、近場の町まで行けるというのが見て分かり、

その経路を教えてくれているのか、赤い線がこの集落と町までを繋いでいる。



赤い線の所々に狼や熊の絵が描いてあるのも、マティオンの気遣いなのであろう。


危険な場所を教えてくれている事の感謝を伝える為に狼や熊を指差し、

マティオンに頭を下げると、マティオンは両手を腰に当て豪快に笑っていた。



俺は再度地図をじっくりと見ていると、

町に近い場所に描かれていた絵に嫌な予感を覚えた。



赤い線から離れた森に”四本足”ではない見覚えの有る生き物が居るらしい。

丸い胴体に小さな頭、そこから細い八本の足が伸びている・・・


RPGではお馴染みの敵、”蜘蛛”だ。

小さくても怖いのに、大きいともっと怖い。


「ですよねー、絶対に居ると思ってた」


知ってた方が良いけれど、知りたくなかった情報を知ってしまった。

俺の前途は多難である。



それに、巨大化した蟻とか蜘蛛といったら、

もうあれですよ、重火器をぶっ放して宇宙人と戦うやつ。



旅立つ前に、ロケットランチャーか戦闘用ロボットが欲しくなる威流たけるであった。

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