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12.男の子を拾った

 一応生きてると確認して治癒魔法をかけてあげたんだけど……どうすればいいものか。まだ目覚める様子がないな……ここに放置したらまた魔獣などに襲われる危険があるし、連れて帰るしかなさそうね。

 側にあるその西洋剣も多分この子の所有物じゃないかと思うから、とりあえずアイテムボックスに入れた。


「よい、しょっとっ」


 一応男の子を支えるように肩を組んだんだけど、超動きにくい。子供であっても、運ぶのはしんどいな。あまつさえこの男の子は同世代より身長高いし。……認めたくないが、私が同世代の女の子より小さいのも原因の一つである。

 しょうがない。このままいつもの転移点であるギルドの隣の裏路地に転移するか。


「はぁ、さて」


 裏路地に戻っても、運べないものは運べるようになることはない。そこで私はこっそり魔法を使うと決めた。演技でしんどそうに見せかけたが、私のような女の子(チビ)でも運べるよう男の子に軽量化の魔法をかけたから全然。


「マルちゃんお帰り……ええっ?!その子どうしたの?!」

「……ぜぇ…はぁ……あとでっ…説明する…からっ……空いた…部屋をっ……」

「ちょっと待って!手伝いを呼ぶから。……レオン!!」


 ミシェルさんがレオンさんの名前を叫びながら奥に走っていった。待つことしばし、レオンさんが駆けてきた。慌てて軽量化の魔法を解除する。


「応急処置をしましたので、目覚めるまで休ませる場所が必要です」

「わかった。よくやったな。こっちだ」


 レオンさんは男の子をいわゆるお米様抱っこで担ぎ、ソファのある部屋に運んだ。


「ありがとうございます。後は私にお任せください」

「ああ、任せたぞ」

「マルちゃん!服を持ってきたんだけど……使えそう?」


 どうやら女の子の服らしい。……しょうがないな。


「……ありがたく使わせていただきます」

「……何その口調」

「はて、何のことやら?」

「もう……」


 ミシェルさんは不満な顔でレオンさんと共に部屋を後にした。そっと扉を閉め、結界を展開する。

 さて、ミシェルさんの持ってきた服に着替えよう。またフリルじゃないかと心配したんだけど、今回は女性騎士服みたいなワンピースです。ミシェルさんにしては結構いいチョイスだな。それに着替えて、今着ているTシャツとズボンを男の子に着せた。それなら男の子が着てもおかしくないからね。

 ……何よ。着ていた服を男の子に着せるなんてキモい、だなんて思わないでよ。しょうがないでしょう、男の子の服は血だらけだから。


 男の子の頬と髪にも血がついてるので、浄化魔法をかけてあげた。残りは目覚めるのを待つだけだから、今のうちに手に入ったミスリルで刀を作ってみた。イメージは前世で愛用したものです。


「……うん、我ながら上出来!銘は……」


 何にしようかなぁって思った途端、男の子の紺色の髪が視線に入った。その色がとても綺麗で凜々しく、まるで星空みたい。銘は……そうね……夜空……凛夜(りんや)。凛夜にしよう。

 魔法で銘を刀身に刻んだら、心なしか刀が少しだけ青く光ってるように見えた。材料が原因なのかな?ミスリルって不思議だな。


〜〜三時間後〜〜


 うーん、目覚める様子がないなぁ。もうすぐ日が落ちるんだから、もう帰らなきゃいけないんだけど。

 拾った者としてはちょっと無責任だけど、既に収容力以上な孤児のいる孤児院に連れて帰るわけにもいけない。このままギルドで一晩休ませるしかないな。ちょっと心配だけど、しょうがない。

 男の子のものだろう西洋剣をソファのそばに置いて、万が一目が覚めたらってパンと水も用意した後、ギルドを後にした。


◇◆◇


 一方、ギルドの二階でシャルク家が家庭会議開催中。


「緊急事態ですわ!」

「どうした?!スタンピードか?!」


 ミシェルの話を聞いたアルトン(父)は緊張で顔を強張った。


「違うわ!」

「……ああ、あれか」


 さすがは夫であって、レオンはミシェルの話したいことがわかった様子。


「あれって何だい」


 シンシア(母)が急かした。


「マルちゃんが」

「「マルが?」」

「拾ってきた」

「「何を?!」」

「知らない男の子を」


 シーンと静まった室内。


「「はぁぁああ?!も、もう一回!」」

「マルちゃんが知らない男の子を拾ってきた」

「…………なんてこった」

「……そんな……男を、なんて…………あ、あたし、そういうの差別しないから……」

※シンシアはまだマルが男の子だと思ってる。


 アルトンとシンシアの顔にはショックって書いてある。


「紛らわしい言い方するな」

「あいたっ」


 レオンがミシェルにデコピンした。


「マルは怪我した者を連れてきただけだ」

「「……(睨)」」

「……テヘペロ」

「「……(デコピン)」」

「痛い!」


 シャルク家の家庭会議で、ミシェルはデコピンを三回食らったのであった。

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