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おとぎ話から生まれた悪夢

こちらは「ある盗賊の独白」の続きの投稿になります。想定以上に長くなったのでさらに二回に分けます。

約7000字ありますが台詞多めです。


※胸糞描写注意

 これはヴェスティア帝国の建国以来、数百年に渡り語り継がれているおとぎ話である。


◆◆◆


 昔々、人には言葉と知恵がなかった。


 かつて世界は四方を黒い泥の海に囲まれた大陸で、地上の神々と人が共存していた。

 力を持たない人を護り、慈しむ神々に愛された地上は、飢えも争いもなく皆が平等で平和だった。


 ある日の黄昏時、泥の海の彼方から大勢の悪魔達がやってきた。悪魔によって空と海は覆われ世界は闇に包まれた。山のように大きく、暗闇のように黒く歪な姿をした悪魔は世界を支配しにきた侵略者だった。後に”古の支配者”と呼ばれる者達である。力を持たない人を護るため、神々は悪魔と果敢(かかん)に戦う。されど数多なる侵略者の暴威に為す術もなく跳梁(ちょうりょう)される。その悲劇を見た人々は(なげ)き哀しみ中には発狂する者まで現れた。やがて人同士で争いが各地で起こるまでになった。奇しくも人が言葉を手に入れるきっかけである。

 世界はますます混乱に陥り、傷つき疲れ果てた神々はその瞳に敗北の色を宿した。


 ある日、黒い雲に覆われた空から眩く輝く黄金の一柱の光が悪魔達が(うごめ)く泥の海を貫いた。自分たちですら敵わぬ悪魔を消し去る新たな脅威、その圧倒的な破壊力に地上の神々は恐れた。しかし人は"光の御柱(みはしら)"と(たた)え敬い希望を膨らませた。光の御柱は言葉を手に入れた人に知恵を与えた。


『大地の下にはお前たちが望む力が眠っている、堀れば願いは叶うだろう』


 そして人は掘った。ある者は植物の種を植え食料を手に入れ、ある者は宝石や金属を手に入れ財を築いた。農耕と商工の始まりである。

人は瞬く間に文明を発達させ、悪魔を退治する者まで現れ始めた。神々との共存の関係が崩れ始めたことに、地上の神はひどく忌避(きひ)した。

人に知恵を与えた光の御柱を神々は強く批判した。地中に眠るのは本来人が手にするはずがない神の力だったからだ。

 光の御柱は地上の神々を説得して彼らの力を集約し自らの力を合わせ、世界中に蔓延(はびこ)る悪魔達をいくつかの湖の底に分散して沈めることで、そのすべてを封印した。


 それから長い年月が経った。

 地上に悪魔はいなくなり、世界はふたたび平和に戻るかと思われた。しかし言葉と知恵を手に入れた人は神の力──神の力の眠る土地──を巡り争いを激化させた。神の介入はもはや火に油を注ぐようなものだった。そこで光の御柱は争いに心を痛めるある若い恋人に目を付けた。少女に地上のすべての神々の力を封じこめ、少年には己の力を託して二人に争いを平定させた。後に二人が多くの人々を束ね築いたのがヴェスティア帝国である。


◆◆◆



「ここまでは帝国の文献に残っている内容。貴方もご存じでしょう。しかし皇族の衰退による王の代理政権が主になってきた今はこんな話が続いています」



◆◆◆


 二人の間にできた子供は、地上の神々と光の御柱の相反する力を合わせ持ちていた。子孫が増えるたびに分散させ、その力を失っていった。やがて普通の人と変わらぬようになり、社会にゆっくり溶け込んでいった。

 そして、『もし二人の血族が途絶えれば再び世界は混沌(こんとん)に陥る』という言い伝えだけが残った。


◆◆◆



「……と、こんな感じでしょうか、文献上は。幾年もの間、代理政権が貴方の一族をどのように扱っていたか、我々の調査で把握済みです。その上で、我々『星の智慧教団(ほしのちえきょうだん)』は、この血族が滅びれば世界滅亡という我等の悲願が達成されると確信しております」


 彼の獲物を見るかのような目付きから、俺はわざとらしく顔を背けた。

 思い出したくない遠い記憶が脳裏をチラつき、舌打ちして気を紛らわす。


「世界には今でも、光の御柱に奪われなかった力の小さな神──風や雷、炎などの様々な神々──の力を宿した者達がその力を”術”と呼び、術を使うことで人々の中で活躍し、ときには聖人として各地で名を馳せている……。俺が知っているのはこの一文だけだ。そんな誰が付けたかわからん尾鰭(おひれ)を信じるとはあんたらは相当おめでたいな」

「ただの()()ではないことは、貴方を殺せばわかることです」

「ハッ……笑えねえ冗談」





 連れてこさせられたのは、山奥の田舎には似つかわしいほど立派で大きな施設の部屋の一つだった。ようやく腰掛けた部屋は広いのに窓がなく、また物が多すぎて鬱屈としている。部屋全体が昼間のようによく見える明るい天井の灯りは彼らが財力に富み高度な技術を持つなによりの証拠だった。テーブルを挟んだ向かいに腰掛ける先ほどの男と二人きり、気分が悪い。この状態でおとぎ話を延々と聞かされ、椅子から両足を投げ出し辟易していた。


「申し遅れましたが私は『星の智慧教団』のノース司教といいます。司教といっても大した役職ではございません、気軽にノースとお呼びください」

「俺の子分達はどうした?」

「この建物からそう遠くない場所に運んでありますよ。ご心配なく、我々は無駄な殺生をしない主義でして……もちろんどこにも情報を漏らしません」


 一安心したところに水を差す言葉に思わず眉をひそめた。


「ならず者……失礼、盗賊達の間ではレイヴンと名乗っていたそうですが、貴方のことはなんとお呼びすればよろしいでしょうか」

「なんとでも…………何が目的だ。どうせヴェスティア帝国の王政の真実を知った上での話だろう。だが俺はもう六年前に死んだことになっている。あんたらの望むすごい能力もない。今更何の役にも立たねえぞ」


 凄んでみせたが相変わらずノースはしたり顔で答える。


「ははっまたご謙遜(けんそん)を。世界が危機に満ちた時こそ人々は救世主を求めるのですよ。建国の父ヴェスティウスの系譜に連なる最後の者……、光の御柱ノーデンスの寵愛を受け継げし血族。我々教団の中には恨む者もおりますが、光の御柱の強大な力を持つ貴方は喉から手が出るほどの逸材。そんな貴方を野放しにするはずがないでしょう」


 自慢げに蘊蓄(うんちく)を並べるノースにため息ついた。彼に御伽噺をやめるつもりは欠片もないらしい。


「……もういい、話を聞く。簡潔に頼む」

「ご納得いただけて大変安堵致しました」


 ノースは己が所属する組織『星の智慧教団』について話し始めた。かいつまんで言うと、『星の智慧教団』とは、帝国を主な拠点とした秘匿の宗教団体らしい。とある神話を信仰し神と崇める存在の復活と新たな世界の破壊と創造を目的とし、武器や医療機器の開発、最先端技術の研究などを行う特異な組織。先ほどの泥だらけの少年と赤い髪の少女はその研究に携わる者だと言う。


「それで、おとぎ話に出てくる悪魔をあんたらの信仰する神話では神と崇めてるってわけか。大昔の世界の破壊者をどう神と解釈しているか……深くは聞かないが、つまり今現在自分たちだけでは世界を滅ぼす力が足りず、俺の力を借りたいってわけか」

「左様」

「あんたらの目的に俺がどう必要なんだ?」

「それについては少し長くなります。なぜおとぎ話で光の御柱の力と神々は悪魔を倒さず封印したのか? 光の御柱の力は強い、あまりにも強すぎた。光の御柱が大きく力を振るえば大陸が滅んでしまう。故に地上の神々の力で自らの力を抑制し、封印するに留めた。そう我々は解釈しております」


 ノースの話を聞きながら握った手を見つめる。彼はさらに口調を強めた。


「貴方は六年前にご家族をすべて失っている。他国に親族もいないのは調査済みです。故にかの血族最後の生き残り、光の御柱の力をすべて受け継いでいるはずなのです。大陸を滅ぼすほどの力を。貴方を洗脳し我々の都合のいいように大陸を壊滅させる、もしくは今ここで殺してしまう……のが一番低コストで合理的ですが、殺人や他人の意思を捻じ曲げることは我々の理念に反します。そこで、我々がいかに正しいかをご理解し受け入れてくださった後、協力していただきたいと考えております」

「つまり光の御柱の力を使って世界を滅ぼしたいと? 俺にそんな力があるとは想像もつかんな、両親にすらそんな話聞いたことがないぞ。仮にあったとして協力するつもりは毛頭もない」


 どちらにしろ脅迫じゃねえか、全く以て馬鹿馬鹿しい。無理やり話を切り上げ部屋から出ようと扉を開けると後ろから自信のこもった声を掛けられた。


「まあ、そうおっしゃらず、我々の施設を視察していただいてからでも構いませんのでゆっくりお考えください。いつでもお待ちしております」


 再び目隠しをされ、施設を出てしばらく歩いてから外されると黄緑色の朝日が山の渓間(たにま)から顔を覗かせていた。目隠しをするのは俺をまだ信用していないからだろう。よくそんな相手から協力を仰げるものだ。それにしても夕べ襲った村が見えるということは、村から徒歩で行けるほど近いらしい。今後は村の者にも気を付けたほうがよさそうだ。誘導した教団の者が何も言わずに去っていくのを見ていると、遠くから聞き慣れた声が聴こえてきた。


「お頭ー! やっと見つけましたよお! どこ行ってたんすかあ」





 それからの俺は、何をやっても身が入らず盗賊としての活動も食べるのに最低限に留めていた。襲われる人々の顔を見るたびに、あの泥だらけの少年が脳裏にちらつき思わず手が止まる。そんな俺をいぶかしむ子分がずっと黙っているはずもなく、ある日古参の子分達に全員がいる前で問い詰められた。


「いい加減にしてくれよな。おれたちゃ遊びで盗みやってるわけじねえんだ。あんたが辞めたいってぇならいいけどよ、次の頭をさっさと選んでもらわねえと皆納得しねえんだよ」


 子分の言い分に異はなかった。けれど、俺が頭になった折に設けた定めが次の頭に継がれる保障がないのは目に見えていた。もともとどの村でも異端とされた荒れくれもの達の集まり。前のように凌辱と暴力の絶えない集団になるのは防ぎたい。今まで中途半端に救ってきたこいつらを無責任に放り出すのは矜持が許さなかった。


「え……おいお頭、今なんて……」

「嘘だろ、頭いかれたちまったのかよ」


 驚愕する者、俺の心意を疑う者、予想した通りの反応。


「盗賊団を解散する。これは決定事項だ。心配せずとも各々の居場所と金は用意してある」


 突然の決断は当然ながら多くの反感を買った。


「俺は知ってんだぜ、こいつ、強奪した女売るふりして毎回こっそり村に返してたんだ! 獲物を売った金だって、一部だけ俺達に分けてあとはみーんな懐に貯め込んでんだぜ!」

「悪者ぶって本当は正義の味方だってか? んで飽きたから盗賊やめるってえ? んな虫の良い話あってたまるか!」

「そうだ! 頭になる前は俺が世話してやったんだろうが! 恩ってモンを知らねえのかこのガキがあ!」


 目を釣りあげて口々に罵る古株達。所詮腕っぷしと頭脳だけで先代頭を蹴り落とし成り上がった生意気な若者、というのが彼らの評価だ。その一人が鼻を膨らませた顔を真っ赤にさせ斬りかかってくる。彼は昔入団したばかりの俺を鬱憤のはけ口として虐めていた()()だった。軽くいなしてナイフを持つ手を捻り、転ばせた奴の上に馬乗りになり、他の子分達によく聞こえる声で言った。


「俺はこの中で誰よりも強く賢い。全員で掛かってこられても勝つ自信がある。歯向かうのであれば覚悟を決めろ、従うのならば金を与える。近隣の村々や商人の知り合いにはすでに話をつけてある」


 悔しそうに金をひったくるように貰って去る者もいれば、別れを惜しむ者もいた。最後は俺を兄のように慕い、憧れていた子どもの子分達が名残惜(なごりお)しさに涙をこぼした。


「アニキ、ひどいよ。最後までオラ達に本当のこと話さないんだもん」

「すまない」

「いいよ、どうせオラ達にはわかんねえことなんだろ?」

「たまには会いに行く。頑張るんだぞ」


 腹に頭を押し付け甘える子分に別れを告げ、その小さな背中が見えなくなるまで見送った。




 あの初秋の出来事から三か月後。再びあの村の近くまで訪れるとどこからもなく『星の智慧教団』の遣いが現れ、何も告げずに俺を例の施設へ誘致した。施設の入り口で奴は笑顔で待ち構えていた。


「お待ちしておりました。ようこそ我が研究所へ」


 できれば二度と着たくなかったが、真実を確かめる使命が俺にはあるような気がした。少なくとも彼の前でボロを出す真似は絶対にあってはならない。


「いやー、本当にうれしい限りです。盗賊の仲間より我々を選んでくださるとは」

「今日は見学するだけだがな」

「我々の純粋たる神への敬愛と献身の結晶を目にすれば、貴方もきっと我々と心を通わすことが出来るでしょう」


 ノースは挨拶を済ませると、どうしても外せない用事があるからと案内を部下に譲ると早々に施設を去っていった。服の中に隠したナイフに気付いていないのか、持ち物や体を調べられることなく施設の中に招かれる。


「私はヨハネと申します。僭越ながらこの研究所の所長を務めております。レイヴンさん、貴方のことは司教様より伺っております、本日は私が施設内を案内させていただきます。わからないことがありましたらどうぞ遠慮なくお聞きください」

「レイヴンだ、よろしく頼む」


 差し出された手を握り挨拶を交わす。ヨハネと名乗る部下は、一見普通の男で物腰が柔らかく、怪しさを一切感じさせない言動と雰囲気を(まと)っていた。


 研究所は主に二つの施設から成っているそうだ。一つは医療に関する道具や薬を開発する施設。もう一つは悪魔──彼らの信仰する神──を復活させるための施設。彼は入口から近い医療施設のほうを先に案内した。


「こちらでは、病気や怪我の人を治療するために日々研究が行われています。実際に治療を受けている方もいらっしゃるので、まあ半分病院みたいなものです」


 開発されたものの一部を見せてもらったり、施設の内部を簡単に説明を受けた。その内容は世界を滅ぼすといった馬鹿げた信念をもつ組織とは到底思えないものだった。研究する者は真剣に取り組み、治療を受ける者達とも良好な関係を築いている様子。だが、本来の目的がわかると暗くなる気分に深く息を吐いた。


「例えばこちらの医療器具、富裕層の間ではとても評判がよく、非常に高額な値でお買い上げいただいてます。また我々の派遣する医師は各国の王室が独占しようとするほど優秀で、なかなかご贔屓いただいております」


 開発には多くの金がかかるのもまた事実だが、国の金の流れが気になってしまった。

 説明もほどほどに、もう一つの施設の建物へ移動するときヨハネと共に屋根のある連絡通路を歩いていると、ふと彼が立ち止まった。


「……エル」

「?」


 微かに聞こえた呟きに訊き返そうと口を開くと、背後から人の気配がしておもわず振り返る。

 先ほど歩いてきた医療施設のほうから、一人の少年が覚束ない足取りでこちらへ向かってくる。弱弱しい見た目のその子はどこか見覚えがある顔だった。赤みがかった茶色の髪と不安そうな瞳。


「やっぱりここに……」


 この施設に行けば彼に会える、そう確信したため俺は教団に協力するふりをした。おそらく彼女もいるはずだ。あの日からずっと、俺にはこの子たちを守る責務があると予感していた。ゆくゆくは教団の存在をどうにかしなければあの男の妄言はいづれ現実のものとなってしまうだろう。

 十三、四歳くらいの──いや、顔立ちはもう少し上くらいに見えるが仕草や表情はかなり幼く見える──青白い肌の痩せた少年がヨハネに精いっぱい腕を伸ばす。まるで幼子が必死に親を求めるかのように。


「……さん、おとうさん! おいてかないで……!」

「こらL(エル)、外へ出てはいけないと言ったはずだろう。部屋に戻りなさい」

「いやだ、こわい、今日はおねえちゃんもいないし、男のひとばっかでこわいよ……」


 よしよしと乳飲み子をあやす手つきで頭を撫でるヨハネにしがみつくように震える彼は俺の存在に気付くと、包帯で隠れていないほうの眼を大きく開き、声にならない悲鳴を上げた。がくがくと痙攣を起こし泡を吹きながら背中から倒れる彼を抱きかかえるように支えると彼のうっ血だらけの細い腕に注射針を刺した。


No.12(L)を治療室へ戻してください」


 意識を失った彼を近くにいた施設の者に運ばせるとヨハネはなんでもないかのように苦笑しながら頭を下げた。


「御見苦しいところを見せてしまい、申し訳ございません」


 この男は想像以上に手強い。


「いや……ところであのガキはもしや、この近くの村が盗賊に襲われたときにいた……」

「“襲われた“でなく“襲った“と仰って良いですよ。ここの者達は皆存じてますから。……ええ。あなたが傷つけたのは私の息子です、といってもあくまで育ての親という意味で血のつながりはありません。所詮研究者と研究対象の関係。私は公私混同しない性格なのであなたをどうしようとは思いませんよ」


 瞬きもせず俺から目を離さず芝居がかった口調で続けた。


「研究に大した支障はありませんからお気遣いなく」


 このままあっさりと言った彼に流されるわけにはいかない。


「それでも、俺があいつの左目を奪い体中に傷を負わせたことに変わりない……。もし貴方が望むのであれば、教団への協力とは別にあなた方のために尽力致しましょう」


 この施設の者達の異常な精神に俺の非道な行いが加わり、そのむごさに拍車をかけてしまっている。無意識に言葉の途中で昔の口調が出る。頭を低くさげたままの俺を冷ややかな目で見下ろすヨハネの静かな呼吸が微かに聴こえる。


「私は人に手を貸して頂かなくても私の目的を果たす自信があるので結構ですね。それに貴方に本心を打ち明けるほど私は貴方の過ちを許していませんしこれからも許すつもりはありません、早く頭を上げてください。次行きましょう」



 そして。

 通路の先にあるのは本物の悪夢だった。


 そこは、悪魔を被検体の体内に召喚し化け物にするための建物だった。吐き気を催すほど残酷で人道に悖る実験、おとぎ話を史実だと信じてしまうほど悍ましい化け物の姿。見せられたのがほんの一部だとしても、倫理の根本から失われている様に驚きを隠せなかった。


「ヨハネ、貴方はなぜ……」


 そう言いかけた言葉を引っ込めた。愚問(ぐもん)だからだ。おそらく彼らには他に行き場所がないのだ。あの少年も、この施設以外では生きられないのだろう。

No.12と呼ばれてる赤みがかった茶髪の少年がラインツです。ラインツの正体がますます複雑になっていきますが、次話で明かされます。

レイヴンには実は本当の名前がありますが、当人が死んだことにしておきたくてあえて名乗っていません。レイヴンとラインツとグレーテル。この三人が出会うことで各々の運命が大きく動き出します。全体的にファンタジーっぽく書けたらなあと執筆しております。


3/18 改稿しました。前半と後半の台詞加筆修正。



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