CARD21
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俺は合宿から帰ってからの三日をひたすら部屋のベッドでだらけて過ごした。そして気が付けばGWも残り二日。あと二日を、全力でだらけよう、と決意を新たにした矢先だった。
晴夏――今日、暇だよね
ギャル子からそんなメッセージが来る。
一ノ瀬優輝――お、おう
晴夏――もう再来週には試合でしょ。だから追い込みしたい
相変わらず、ものすごいやる気だった。
とはいえ、正直、あと一週間でギャル子の実力をどうこうできるとは思えないのだが。
確かに、彼女は本当に努力を重ねているし、着実に成長している。だが、【ゴブリン】デッキ以外への理解が全く足りていない以上、大会では苦戦を強いられるだろう。ライバルである桜華院や君津総合は、オリジナル性の高いデッキで勝負してくる可能性が高いからだ。
もちろんそんなことは口に出さないのだが。
一ノ瀬優輝――まぁいいよ。
そう返信すると、ものの十分で家のチャイムがなった。
「お前、うちに向かいながらメッセージ打ってきただろ」
「うん。押しかけるき満々だった」
まぁ、こちらも求められれば断るつもりはなかったのだが。いつも通り、部屋に通して早速デュエルの準備をする。
「あ、そうだ。ちょっと報告があるんだけどさ」
「え、なに」
「クラスでさ、あたしたち付き合ってることになってるみたいよ」
カットしていたデッキが俺の手からバラバラと落ちていった。
「は?」
「毎週毎週、優輝の家に通ってるの、誰かに見られたんだって」
どう返答していいかわからなかった。
「え、その、なんかごめん」
なんとか絞り出した言葉がそれだった。考えてみれば、別に俺は何も悪いことはしてないんだけど。
「別にあたしはいいんだけど」
と、彼女は一拍おいて、
「でも、優輝は困るよね」
そんなことを言った。
「……いや、別に俺も困らないけど」
「だって、優輝は桜木先輩のこと好きでしょ」
「何を根拠に」
俺はささやかな抵抗を試みるも、
「見てればわかる。もうバレバレ」
一刀両断される。
「優輝さ、教室にいるときと、テンション全然違うもん」
そんなことない、と否定することはできなかった。
「まぁ、でも先輩、カード以外に興味なさそうだけど」
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