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第8話 混ざり者

「あまりおおっぴらにするのはやめとこう。どう考えても悪目立ちする。」

「うん。ところでセツナ。セツナの種族それ何にしたの。」

「混人種。人と雪魔精(ヨクル)のハーフらしい。初期選択の異種族以外からもハーフが出来るとは少し想定外だった。」


種族に関してはステータス欄で確認済である。今は解放されていないが、種族由来のスキルの取得もできるらしい。純粋な人間プレイヤーが割を食うような機能だが、人間は職業の掛け持ちができることでその点を補っていたはず。


「冷気に強く炎に弱い、行動阻害系のデバフと即死攻撃を使ってきたイメージ。北のミルス大山脈の行軍には便利そう。」

「逆に西大陸はまずそう。フォレ砂漠地帯とグルボルド火山のどっちも死ねる。」

「耐熱装備無しだと数分で死ぬ魔境だからね」

「デザバスは暑さ寒さの体感がマジでやばいからな……。」


このゲームの恐ろしいところ、それは痛覚制限によって切られようが撃たれようが食われようが一定ライン以上の痛みは遮断されるものの、それ以外の温覚などについては痛覚制限に引っかかるラインまでは素通りなのである。グルボルド火山の火口に転落したものの耐熱装備のためダメージが発生せず、脱出もできない灼熱地獄の中でVRセットのセーフティ機能による切断が起こるという事案が以前話題になったほどだ。


「それで、カンナはそれ混人種?混魔種?」

「後者。黒翼魔(ナハト)重なる影(ドッペルゲンガー)のキメラ。これは間違いなく当たり。」

「滅茶苦茶に光と聖属性効きそうな組み合わせしてるな……。」


表情が分かりづらいカンナでも明らかにドヤ顔である。混ざる候補として骨人や非人型の異形種も含まれていることを考えると相当の引きの強さと言える。

ナハトもドッペルゲンガーもこの世界のデフォルトである4大陸には存在せず、デザバス時代では3年目の大型アップデートの際に実装された異次元、『暗黒領シュヴァルツシルト』にのみ存在する種族。闇と風の魔法に高い適性があり、翼による飛行能力を有するナハト、幻惑魔法と暗殺技能、種族特性による擬態、変身、分身など非常にトリッキーなドッペルゲンガー、どちらも多いに苦戦させられた記憶がある。


「種族レベル上げが重要になりそう。今の私だと現状機能してるのが翼だけだし。」

「えっ、もう飛べるの。」

「3秒くらいね。リキャスト3分」

「便利なのか便利じゃないのか微妙なラインだ……。」

「普通にジャンプした方が滞空時間長いかもしれない。滑空には使えそう。」

「あら。お連れ様がいらっしゃったのですね……珍しい、神殿の聖気に耐える魔族ですか。」


シスター・イルマが先ほどより剣吞な目つきでカンナを見据えている。やはりハーフとキメラではNPCからの反応に差があるようだ。カンナも視線の意味に気づいたようで、やや身構える。


「魔族が神に祈ってはいけない?」

「生憎ここには闇神ヴォルケインも死神ワルプルギスも祀っておりませんので。」

「前世ではゼルギオスを信仰していたけれど、信じてはもらえないか。でも敬虔なシスター様はこれをどう見るかな?」


カンナはコマンド操作を行い、一つのオブジェクトを手元に出現させる。旧『四神連合』のエンブレムを模した首飾り。そのエンブレムは欠けているものの、俺にとっては見慣れたものであった。しかしシスター・イルマは目を見開いた。


「『拳神の残光』……!エビテン様の神器をどうしてあなたのような魔族が!」

「一応俺も、似たようなものなら。」


俺の手元には別のオブジェクトが生成される。それは紛れもなく俺が最後のゼルギオス戦で俺がへし折った愛剣、『撃滅のマグナドライバ』のグリップ部分であった。


「『剣神の残光』、間違いありません……。ではあなた方は、眷属神様と深い縁があるということなのでしょう。大変失礼いたしました。」

「いや、別に良いんだけどさ。これはそんなに凄い物なの?」

「ええ、ええ。仮にそれを見たのが私でなく神殿長、或いは教皇猊下であれば神器の帰還と銘打って祝祭の準備を始めるところでした。」

「そ、そこまでですか。」

「あまりみだりに他人に見せない方がよろしいでしょうね。しかし、いざという時の身分の証明としては最上の物となりましょう。」


そこまでの物か。カンナも目を丸くしている。


「これは一体どういう物なのでしょう。俺たちはこの世界に辿り着いた時から持っているのですが、それほど貴重なものなのでしょうか。」

「私も残光について全てを知っているわけではありません。その神を深く拠り所にし、神に認められる程の功績、偉業の証として天より授かる物として伝えられていますが……。」


つまり要約すると、クロエを育て上げ、神に至らしめた功績に対するクロエからの褒美ということだろうか。

過去の自分に褒美を与えられるというのはなんというか奇妙な気分だが。


「至上の六大神様たちからの残光を授与された人は聖人として列せられていますが、眷属神様たちからの残光を得たというのは寡聞にして存じ上げません。あなた方は何か大きな使命をお持ちなのかもしれませんね……。」


継続ボーナスで得た物はチートじみたスキルというだけでなく、とんでもない身分証明書でもあったらしい。


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