第6話 キャラメイクと継続ボーナス
「UI周りはデザバス時代とそんなに変わってないな」
『Desire Verse Online Next 』を開始し、キャラメイク画面に入って最初の感想がそれだった。
デザバス時代のクロエは、当時小学生だった俺が憧れたヒーローをモデルとした、正直かなりヒロイックな見た目をしていて、俺自身の成長につれて段々と気恥ずかしさが大きくなったこともあり、一度ビジュアルを課金アイテムで修正したこともある。
なるべく当時の恰好と被らないことを意識してキャラメイクをしよう、と思った矢先に見慣れない項目に目が留まる。
「種族……デフォルトで人間以外が選べるようになったのか」
デザバスの初期キャラメイクでは作ることができなかった異種族アバター。何年目かの大型アップデートの際に転生システムと称して異種族へのコンバートが可能になったのは聞いていたが、正直あまり心惹かれず気にしていなかったのだが。
「森妖精、土鉱精、水妖精、火竜人、骨人、ここまでは前にも居たはずだけど、これはなんだ……?」
俺の視線の先には混人種と混魔種の2つがある。
種族説明によると、混人種は人と異種族の文字通りのハーフであり、混魔種は異種族と異種族のハーフであるらしい。ただ、どうもこの2つ、何と混ざるかがランダムになっている様子。
混人種は半分人間が確定しているからともかく混魔種は滅茶苦茶事故りそうな気配がある。
「正直なところ混魔種に惹かれるけど、あんまり変な組み合わせになっても面倒くさいか。混人種、と」
どうもこの画面では何のハーフになるかは分からないらしい。始まってとんでもないものになってないことを祈るだけである。
種族を選ぶとお決まりのキャラメイク。あまり現実の体と乖離したアバターにすると慣れるまでに非常に時間を要するのはデザバス時代で通った道。若干リアルの玄江瞬よりもマッシブにはしたものの、ほぼ同じ体格に設定。
顔はぶっちゃけ適当である。VRセットを被った際のスキャニングで取ってある顔のデータを呼び出し、そこから目の色を変えるだけで済ませる。髪もまた適当。前世のクロエは全体的に黒かったので、今回は髪を白、目を赤のウサギスタイルにしてみる。
「初期のステ振りはSTRとVITが板。古事記にも書かれている。だけど今回は前とは違う振り方にしよう。STRとAGIに振りわけて……」
ある程度体を動かすことに慣れているならばDEXとAGIはそこまで序盤重要ではない。それよりは一撃を重たくした方が結果的に被弾が減り、生存率が上がる。だが今回はクロエから遠ざけるためにもある程度ステ振りの段階から変えていこうと決めていた。
「残りはLUKに全振りっと。……ん? 継続ボーナス?」
継続ボーナスと銘打たれた画面の右下に光る50という数字。
どうもデザバスをプレイしていたアカウントで『Desire Verse Online Next 』、デザネクにログインするとステ振りに使えるボーナスポイントが得られるらしい。また、それをステ振りに使わず余らせることで、ランダムにスキルを得られるとのこと。
「うーん……。序盤のステータスはぶっちゃけ誤差だしな。全残しでスキルガチャ一択」
スキルが何を得られるかは開始してからのお楽しみの様子。初期武器を使い慣れた大剣ではなく、盾を装備出来る片手剣に設定。これでキャラメイクはほぼ完了。
「最後に名前を入力してください、か」
クロエ・アサルトバスターの名前を入力し、苦笑しつつ消す。この名前はデザバスに置いてきた。
「下の名前をもじるにもなぁ。瞬間、一刻、モーメント、刹那……」
逡巡の後、一つの名前を入力する。
セツナ・リンドー。性は母方の苗字をもらうことにした。
「それじゃあ今日から俺はセツナってことで。ゲームスタート!」
キャラメイク画面からホームタウンへの遷移。混人種として体が作り変えられる間に、スキルガチャのリザルトウィンドウが表示される。
スキル獲得『走破Lv1』
スキル獲得『目利きLv1』
レアスキル獲得『即応防御』
レガシースキル獲得『剣神の残光』
明らかに見えてはいけないものが見えた気がした。




