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Desire Verse Online Next ~悪童と呼ばれた剣神、次の世界では悪目立ちせずに過ごしたい~  作者: 廿楽
第二章 『アフター・グロー』

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第35話 ドラコニス水系

「折角ギルドを作ったんだし、どこか冒険しようよ」



 きっかけは、ユークリッドのそんな一言だった。



「どこかって、どこへ?」


「どこへでもさ。歩いて行けるところならね」



 流石にぼくは飛べないからさ、とバレットを見ながら言う。

 バレットは他のプレイヤーに気付かれない程度に浮いて移動をすることを覚えたらしい。移動方法が某スカート付きのロボットのそれである。



「別に私も、皆さんを置いて飛んでいこうなんて思わないですから。私にだってそれくらいの分別はあります」


「世界レベルが上がらないと見えない壁があるんだって、空にも」


「ああ、なるほどぶつかったんだな……」



 キッ、とバレットに睨まれるが気にしない。というか無暗に飛ぶな。


 

「行き先なら俺に1つ当てがある。昨日の解散後に確認に行ったが、予想通りクィリナスが解放されていた」



 ゴドーがそう提案する。昨晩の世界レベル5の時点で、街に入ろうとした際のシステムメッセージがなくなっていたそうだ。

 ステータス画面で確認した世界レベルは現在11。想定より上がるペースが早い。

 この感じだと、サンダーバードの次のエリアボスも倒されているのだろうか。



「俺は街に入って宿を取ってすぐに落ちたから、その後のことは分からん。ガンマたち遠征組は大河船に乗って先へ進むつもり満々だったが」


「でもあの面々だと水上戦闘は難しそう。ふぉーりーも落ちてたし」



 ドラコニス水系を巡る船旅は、決して楽しいクルーズの旅ではない。

 水棲モンスターの楽園であり、異常気象も頻発する。デザバス時代には、ギルド対抗の海戦イベントの舞台にもなった。あまりにも遠距離職の優遇が酷く、一度きりの開催ではあったが。

 そんな場所をふぉーりなーを欠いた前衛主体の面々で挑むと考えると、多分また全滅してリスポーンしたのだろうと失礼な予想を立てる。



「船旅かあ、いいねえ~。ぼくは基本的に川も海も徒歩だったから」


「そういえばユーの踏氷の靴ってまだ作れないんだっけ?」


「北大陸のモンスター素材が必要なんだよねぇ。時々輸入されたのがこっちにも出回るらしいんだけど、やっぱり高くてさ」


「なるほど。私も見かけたら確保しておく。お代は出世払いでいい」


「わあ、ありがとうカンナ。しかしでっかいねえ。昔のカンナはすごくちっちゃかった気がするんだけど、心境の変化?」


「そんなところ。ユーはあんまり変わんないね。……ちょっと胸盛――」


「あああああストップ! 見栄張ったのはそうなんだけどさあ!」



 カンナとユークリッドはデザバス時代にも少し交流があったようで、既に意気投合している。なんでも閉ざされる森で遭難していたカンナ、当時のえび転を救出したことがあるとか。

 ワープ、ファストトラベル禁止エリアで彷徨っていたえび転と、同じく巡礼の旅の途中で迷子になったユークリッド。初対面の2人での珍道中があったそうだが、詳しくは聞いていない。



「今からだと、必然的に船の上でのログアウトになるだろ? なるべく全員の時間が取れる時にしたい気持ちがあるんだけど」


「まあそれもそうだな……今週末、全員何か予定はあるか?」



 ゴドーの呼びかけに対して、特に誰からも声は上がらない。エタニティだけがやや難しい顔をしているが、おそらくバイトのシフト表を思い出しているのだろう。俺からすると猫を何匹被っているのか分からない妹だが、バイト先ではかなり慕われているらしいから分からない。



「それじゃあセツナ、今週末にクィリナスから大河船の旅ってことでいいか」


「それで良いよゴドー。……やっぱりサブマスやらない? 明らかにこの手の話し合いに慣れてる人間じゃんアンタ」


「いいやもうデザバス時代で懲り懲りさ。立ち上げの発起人であるエタニティがサブマスになるのが、一番角が立たないだろう」


「お兄様はわたくしがサブマスなのが何かご不満でも?」


「不満があるとかじゃないが、最終的に俺が間違ったら、殴ってでも止めてくれそうなのはゴドーかなって思っただけで」


「お前のその俺に対する信頼感はなんなんだろうな……」



 昨日バレットに年長者として怒っていたところを見て、怖さと同時に頼もしさを感じたのは間違いない。からかわれるので言わないが。



「水棲のモンスターですか……気を付けるモンスターって居ますか?」


「なんでも危険ではありますよ。特にまずいのはクジラと水龍の類です。前者その大きさから、船への被甚大な被害が想定されます。後者は単純に強いのと、嵐を呼ぶのでこちらも船への被害が大きくなりがちです」


「はえー。まあそんな相手はそうそう出てこないですよね、エタニティさん」


「昔はどちらもそこまで頻繁に出てくるものではありませんでしたが、今がどうなっているかはわたくしにもわかりませんね……」



 デザバス時代のその2種は討伐推奨レベル40オーバーと、開始地点すぐの場所に湧くにしては異様に強敵だった。ちなみに参考までに言うと、ギルド地下のヘビーリザードの討伐推奨レベルが8なので、今の俺たちがエンカウントすれば、ほぼ死ぬ。



「まあ遭遇したらその時はその時だ。じゃあ今週末にクィリナスで集合して、全員での船旅ってことで。時間は追って連絡する」



 今日の所は一度解散し、本格的な全員での冒険は週末へと持ち越しとなる。

 

 次の目的地はドラコニス水系。水神ドラコニスが眠る神秘の大河。

 

 

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