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Desire Verse Online Next ~悪童と呼ばれた剣神、次の世界では悪目立ちせずに過ごしたい~  作者: 廿楽
第一章 新たな旅立ち

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第23話 帰り道

「話し合いは終わったか、お前ら」


「おう。なんとか致命傷で済んだぞゴドー」


「どういうことだ……」



 ゴドーらの元に戻り、疲れ果てた表情でそう答える。

 隣でバレットはにっこにこである。あんな壊れスキルが手に入れば、テンションも上がるのも当然か。



「私が得たスキルは『穹神の残光』。空中の相手に対して、射撃属性の命中と威力に補正がかかるスキル。神様に認められた証なんだってさ」


「ほほお……確かに神への信仰や奉納やなんかで、証のようなスキルが手に入るとは聞いたことがあるが、これがねえ」



 口裏合わせの結果、スキル前半の説明だけで済ませることになった。

 飛行に関しては、現状公開すべきでない。



「それも大事だが、ここから少し、俺たちの当初の目的に付き合ってほしい」



 納得するゴドーの背後から、ガンマがそのようなことを言う。



「当初の目的?」


「クィリナスに行けるようになっているか、それの確認だ」



 ガンマら遠征隊の当初の目的の1つ目。

 ドラコニス水系を渡る大河船の港、クィリナスの開放。

 世界レベルが足りずに引き返す道中で、サンダーバードに壊滅させられたという経緯だったはず。



「どうする? お前たちさえ良ければ、確認しに行きたいところではあるんだが……それなりにいい時間ではあるんだよな」



 ゴドーの言葉で思い立ち、ステータス画面の時計表示を見る。

 午前1時を回ったところ。

 ある程度時間に余裕がある大学生の俺はともかく、カンナのような勤め人には明日の朝が怪しい時間帯である。



「キリが良いから私は落ちる。セツナは?」


「どうするかな……リリースからぶっ続けだったし、俺も飯食って寝るかな」


「そうか、じゃあここで一度解散とするか。俺へのメッセージは気軽に送ってくれ。また一緒にプレイしよう」


「はいセツナさん! これ私のアドレスだから。ちゃんと誘ってよね」


「お疲れ様です皆さん!」



 全員とフレンド登録を済ませ、ブランシュへの道を行く。ゴドーたちは宿へのファストトラベルを使用し、早々に帰っていった。

 隣にはカンナがぴたりとついている。



「セツナ」


「おう」


「楽しかった?」


「ああ。カンナは?」


「私も」



 淡々とした会話。しかしそこには温かさがあった。

 デザバス時代の冒険の後、こんな風に誰かとログアウト用の宿まで歩く帰り道が、俺は好きだった。



「明日も来るのか?」


「仕事終わったらダッシュでログインする」


「元気だな、本当」


「そういうセツナは?」


「必修が午前中だけだからずっといるかも」


「うう……羨ましい」


「5年前は俺の方がリアルの拘束時間長かったからな」


「そうだったね」



 他愛の無い会話が続く。そこに背後から声がかかる。



「いちゃついてるねぇご両人」


「ふぉーりなー!? あんたクィリナスの確認に行ったんじゃ」


「私も仕込みとかあるからねぇ。ログアウト用の宿に戻ろうとしたら、いちゃついてる君たちがいたものだから」


「いちゃついてねえから。デザバス時代もこうだったろ」


「ああ、そうだったねぇ。クロエくんはそうだったとも」



 ふぉーりなーがくつくつと笑いながらこちらを見ていた。



「ふぉーりーも、今日はお疲れ様」


「別に疲れるようなことしてないよぉ」


「……まあ、久しぶりに遊べて、楽しかったよ」


「素直で良いことだねぇ、お姉さんがよしよししてあげよう」


「いらん」


「セツナ、私のは?」


「そっちもいらん。便乗しようとしない」


「がーん……」



 隣で落ち込むカンナは見なかったことにする。

 ふぉーりなーは興味深そうにカンナを見つめ、手招きをしている。

 それに誘われてカンナが俺から離れた。




「カンちゃん。時間はこれから沢山あるんだ。そう焦る必要はないよ」


「何のことかな。私は常に冷静沈着クールな女」


「誰かさんに関わらなければ、そうなんだけどねぇ昔から……」


「むー!」


「むくれないむくれない。本当可愛いんだからキミも」


「……ふぉーりーでも、セツナはダメ」


「……別にそこは自由恋愛の範疇だと思うんだけれど、理由を聞いてもいいかい」


「私に勝ち目がなくなるからダメ」


「はぁ……キミにしてもクロエくんにしても、その自己肯定感の低さはなんなんだろうねぇ本当に……」




 2人の会話は小声で聞こえない。

 しかしカンナがむくれて抗議しているのは見えた。どうせまたしょうもない嘘でも吐かれたのだろう。

 その時、ゲーム外からメールの通知が来る。

 差出人の名前は、妹だった。



『にいへ。メールを見たらTELください』



 シンプル過ぎる。とりあえずログアウト後に構ってやろう。

 ウィンドウを閉じていると、カンナがこちらに戻ってきていた。



「セツナ、メール?」


「妹から。戻ったらTELくれってさ」


「ああ、あの子。急ぎかもしれないし、ファストで戻る?」


「んー……まあそうしようか。じゃあなカンナ。また明日」


「うん。おやすみ、セツナ」


「じゃあねぇ、お2人さん。良い夜を」


 ファストトラベルで戻った先は、遠征に出る前に登録した安宿。

 ベッドで横になり、眼前に表示されたログアウトボタンを押す。

 すると意識がふっと軽くなり、現実へと帰還が開始された。


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