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Desire Verse Online Next ~悪童と呼ばれた剣神、次の世界では悪目立ちせずに過ごしたい~  作者: 廿楽
第一章 新たな旅立ち

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第22話 バレット・イン・ザ・スカイ

「『穹神の残光』……? これはスキル、なんだよね?」


「バレットちょっとこっち来い、ミリンもだ」


「あ、え? セツナさん?」



 困惑から戻って来れていないバレットとミリンを引っ張っていく。

 カンナとふぉーりなーもアイコンタクトだけで付いてきてくれた。



「ゴドー悪い! ちょっと内緒話!」


「お、おうまたか……別に構やしねえけどよ」



 ゴドー達を残してフィールドを歩いていく。

 万が一、聞き耳や盗聴のスキルを持つプレイヤーがいないとも限らない。

 十分に距離を離したところで改めて問題に向き合う。



「なあカンナ、この世界の神に穹神なんてのは居たっけ?」


「私は記憶にない。ふぉーりーは聞いたことある?」


「勉強不足だねぇ2人とも。穹神アズュール。天神アマルティア、武神ゼルギオスの2柱に連なる神にして、空を司る神様さ」


「設定なんてそんなに真面目に読んでないし……」


「右に同じく……」


「いや本当にキミたちさぁ……」



 ふぉーりなーが心底呆れたような顔をしている。

 ふぉーりなーのような設定厨に聞けば、聞いていない所まで教えてくれるから困ってなかったんだもの……。



「なんなんだようセツナさん……これは何かまずいものなの?」


「俺やカンナの想像通りのものなら、かなりまずい類のものだ。効果の詳細を確認してみろ」


「えっと……レガシースキル『穹神の残光』、飛行中の対象に対する射撃の命中、ダメージ補正を与える」


「まあここまではいい」


「うん」


「プレイヤーのレベルに応じた飛行能力を得る」


「はいアウト」


「口外しないこと、気軽に飛ばないこと、いいね?」


「ええ……?」



 案の定初心者が持ってていいスキルではない。

 カンナも飛べはするものの、種族特性によるもので尚且つ、現時点では非常に短い時間制限という調整が成されている。

 仮にこれが無制限の飛行を可能とするものなら、いよいよ俺やカンナの残光スキルどころではない壊れになってしまう。



「一応確認する。それ、どれだけ飛べる?」


「いや、あの。飛び方なんてわかんないんだけど、カンナさんはどうやって飛んでるの……?」


「んー……なんかこう、ぐわっと」


「滅茶苦茶ふわっとしてんな!?」


「……ぐわっと、飛ぶ――うわあああああっ!?」



 出来の悪い打ち上げ花火のごとくバレットが空へと射出された。

 そんなふわふわのアドバイスで飛べるとは思わんじゃん。



「あっ? 制御利く。これストラトス・ブルーと同じだ」



 制御を取り戻したらしいバレットがゆらゆらと宙に浮かんでいる。

 明らかに滞空時間がカンナの飛行能力を越えている。



「あっははっ! おっそいけど久しぶりだぁこの感覚!」


「バレットずるいよ1人だけ~!」



 落ちてくる気配、というか降りてくる気配がない。

 本気で無制限の飛行かもしれない。



「カンナさん」


「さんは外して。なあに?」


「シスター・イルマの話を真実とするなら、対象の神を深く信仰した上で功績を残すことで授かるってことだったよな」


「ゼルギオスの神殿の人だね。でもバレットはデザバス未経験だし、そんな特定の神様を深く信仰してるなんてことあるかな?」


「気付いてないのなら教えておくけど、ストラトス・ブルーの運営会社はデザネクの運営会社、Hamal Gamesに買収されてるよ。諸々の権利もひっくるめてね」



 ふぉーりなーは、未だ空を飛び回るバレットをじっと眺めながらそう呟く。その表情に普段の笑みはない。



「それはストラトス・ブルーがサービス終了してから間もなくのこと。そしてデザバスに穹神という神が登録されたのはその直後」



 ふぉーりなーがまるで探偵のように見えてきた。普段はしょうもない嘘しか言わない酔っ払いなのに。



「まず間違いなく、穹神とはストラトス・ブルーというタイトルそのものを神格化したもの。そして彼女はそのトッププレイヤーで、そのゲームを深く愛し、その経験をこの世界でも遺憾なく発揮した」


「それが、残光を得た理由ってことか」


「推論に過ぎないけどねぇ。仮に彼女と同格の元ストラトス・ブルーのプレイヤーが、同じように困難に対して活躍を見せたとしたら、その者にも残光が与えられる可能性はある。が、個人的には無いと思っている」



 ひどく真面目な表情のふぉーりなーが続ける。

 今の仮説に対しては俺も同意見である。

 仮に元ストラトス・ブループレイヤーが、みな一様にこの残光を手に入れてしまえば、プレイヤー間の差別が決定的なものになる。

 飛べる彼らと、飛べない大多数。

 ゼルギオス眷属神の残光も大概チート臭い代物だが、こちらは長い目で見れば確実に他プレイヤーも追い付ける範疇で収まっている。

 だが穹神の残光はそうではない。



「少なくとも彼女たちには緘口令を敷いた方がいいねぇ。多分、彼女は飛ぶのを我慢できないから、そう遠くないうちにバレるだろうけども」


「せめてカンナと同程度までは抑えさせるべきか。ふぉーりなーの知る範囲で飛行スキルを取得する手段はいくらある?」


「『有翼人(ホークマン)』、『黒翼魔(ナハト)』、『上級悪魔(アークデーモン)』等の亜人、魔族系の種族スキルが大半。純粋な人間ビルドで飛行を得ようとするなら、仙人(シャーマン)系か超能力(サイキック)系みたいなマイナー職に手を伸ばさないといけない」


「現時点なら超能力サイキック系がまだ現実的か……。確かアレって、めちゃくちゃ熟練度上げが面倒臭かった記憶があるんだけど」


「飛行もそうだけれど、現実には出来ないことを反復練習するのは、想像以上に大変なことだからねぇ」



 ひとまず方向性は決まった。

 サブ職を埋めて、そっちの要素で飛行出来るようにした、と捏造する。

 ようやく降りてきたバレットにそれを伝えると、露骨に嫌そうな顔をされたが、バレットのためだから、とゴリ押した。

 「お姉ちゃんお願い? って言ってくれたら呑んであげる」などと卑劣な脅迫を受けたが、決してそんな自殺行為はしていない。

 買い物に付き合うだけで済むのなら、安いものだろう。

 だから頼むから、そんな目で見ないでくれカンナ、ふぉーりなー、ミリン。

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