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Desire Verse Online Next ~悪童と呼ばれた剣神、次の世界では悪目立ちせずに過ごしたい~  作者: 廿楽
第一章 新たな旅立ち

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第17話 『酒神』

「さっきぶりだなルーキー諸君。遠征パーティのリーダーをやらして貰ってるガンマだ。いやしかしゴドー、お前の所の新人は随分イキが良いようだな?」


「頼むから茶化すなガンマ、それに俺のパーティじゃねえ。今のところリーダーは不在だ」


「まあいいさ、ともかく歓迎する。初日で全員横並びの状態なんだから、もう少し血気盛んな連中が我先にと来るかとおもったんだが、案外来なかったな」


「その辺のガチ勢は今頃フィールドに篭って黙々とレベリング中だろうよ。或いはクエストの消化か」


「それもそうかぁ……まあ30人揃ったからいいけどよ」



 先ほどの広場で説明をしていたガンマというプレイヤーは、ゴドーの知人らしい。デザバス時代にも遠征ギルドを結成していたようで、世界を文字通り渡り歩くことに情熱を燃やしていたそうな。

 しかし彼の言葉に引っかかりを覚える。3パーティ合計30人がエリアボスのレイドのキャパならば、俺たちのパーティは7人しかいないのだから。



「俺たちのパーティは7人しかいないのに、という顔をしているねぇ。だが答えは単純だよ少年。飛び入り参加が3人いたというだけさぁ」



 ガンマの背後から突如として声が上がる。

 声の主はローブのフードを目深に羽織ったプレイヤー。しかしその声には聞き覚えがあった。つい最近、リアルで聞いた覚えのある声。フードを外した姿に俺とカンナは固まった。



「驚くなよゴドー、彼女はふぉーりなー。元『四神連合』の神の一角だ」


「どうもー、元酒カスの神様でーす」



『地獄の酔っ払い』、『最悪の付与術士』、『歩く毒沼』。彼女を示す異名は数あれど、多くのプレイヤーが最初に思い浮かべるのは『酒神』。

『酒神』ふぉーりなーその人が、デザバス時代から変わらぬ顔でそこにいた。


 

「待てガンマ。『酒神』の名を騙った別人と言う可能性は――」


「あれ? 信じられてない? ちょっとガンマさん、話が違うんじゃないのぉ?」


「俺も最初はそう思ったんだがな……アレを見せられちゃあ信じるほかなかったよ。ほら、ふぉーりなーアレ出して」


「あぁ、アレか。ごめんねぇ、察し悪くってさ」



 彼女が手のひらにオブジェクト化したもの。それは紛れもなく『四神連合』のエンブレムの欠片。



「オブジェクト名『酒神の残光』。なるほど、あの世界で神に至ったプレイヤーへの引継ぎボーナスってことか」


「まあそんなとこかねぇ、ちょっとした身分証明には大げさだけどね」



 ちら、とゴドーがカンナを見た。カンナが『拳神』であることはバレているのだから、当然だろう。しかしカンナを見ているのはゴドーだけではなかった。



「ふーん……良い引きしたねぇ、カンちゃん」


「……まあ、ふぉーりーにはバレるか」


「じゃあ、隣のキミは、そういうことか」


「……すまないゴドー、ちょっと俺とカンナは席を外す。先に説明やらなんやらを聞いててくれ」


「ん……ああ、行ってこい」



 ゴドーらに任せ、俺とカンナ、ふぉーりなーはその場を離れる。

 終始面白そうに笑っているふぉーりなー、珍しくげんなりしているカンナ、広場の隅で三人で向かい合う。



「言っとくけど、元四神組なら今のカンちゃん見たら確実に誰だか気付くからね。全体的にそのまんまじゃんリアルと。なんならネームが前よりも捻ってない分猶更(なおさら)


「少し身長低く作ったのに……」


「全体のシルエットがリアルとほぼ変わってないから、あんまり意味ないねぇそれ。いやむしろキメラ分でちょっと設定身長より伸びてるんじゃない?」


「そんな……!?」


「欠片もデザバス時代とアバター構成変えてないふぉーりなーに言われたくないだろ。いっそ清々しいわ」


「クロエくんは割と凝り性だもんねぇ。顔は割とそのまんまなのはご愛敬って感じかな。……久しぶり、でもないか」



 毒々しいピンクと黒のツートンヘアー。病的なまでに白い肌。テクスチャに直接書き込んだらしいハートの瞳。

 初見のインパクトではビジネススーツに中世風鉄仮面だった仮面襲撃者(レイダー)と双璧を成す、『四神連合』の金庫番。

 サービス終了から5年が経過しているとは言え、その姿は記憶に焼き付いたままだった。



「ああ。でもってこっちじゃセツナだ。……しかし正直意外だ。あんたはソロでやるものかと勝手に思ってた」


「セツナくんお姉さんのことぼっちだと思ってる? 泣くよ?」


「思ってない。下手糞な泣き真似をやめろ」


「ちぇー、泣き虫なのはキミのくせにぃ」


「ねえカンナ、こいつ一回殴っといて」


「ふぉーりーの残光に腐蝕融解(メルトコロージョン)の効果がないとも限らない。迂闊に殴ったら肘から先がなくなるかも」


「流石にないよぉ、キミらの残光そんな物騒な効果ついてたの?」



 ふぉーりなーが公開した『酒神の残光』の効果はこうだ。

 1つ、悪酔いの状態異常をシステム上無効化する。

 2つ、周囲の悪酔い状態にある者に毒、麻痺、混乱を付与する。

 3つ、酒類の製造、販売に対してボーナス。



 なんというか、ゼルギオス麾下の眷属神の残光と比べると見劣りする。

 2つ目がかなり怪しいラインではあるが。



「んじゃ情報交換ってことで。そっちも教えてもいいってラインまでで良いよん」


「やっぱり教えちゃまずいラインのもあるのか」


「あるかもしれないし、ないかもしれない。真実はいつも酒の中」


「煙に巻いた言い回しもそのまんまだね、ふぉーりー」


「キミたちが単純すぎるのさぁ。精進したまえ」



 表情が読みづらく、内心を窺い知れないカンナ(最近は表情がころころ変わるせいで余計にわかりにくくなっている)。

 彼女とは別の意味で真意が読み取れない、言葉を弄する酒カス。それが『酒神』ふぉーりなーというプレイヤーである。

 こちらの聞きたいことの半分も真面目に答えてくれるかどうか、今から頭が痛くなってきた。

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