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Desire Verse Online Next ~悪童と呼ばれた剣神、次の世界では悪目立ちせずに過ごしたい~  作者: 廿楽
第一章 新たな旅立ち

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第15話 遠征隊の情報


「むぐむぐ。なんだか広場の方が騒がしいね」


「ああ、どうも遠征隊が帰ってきたそうだ。俺がアタッカーの呼び込みをかけている時に、北門の方へ向かうのを見たが、案外と早いご帰還だな」


「へえ。どこまで行くかとかは?」


「皇都だとちらっと聞こえたな。まともに歩いたら数日はかかるはずだが」


「馬鹿なのかそいつら……」



 皇都ミドラは、ブランシュから北に位置する、この大陸最大の都市である。

 基本的にデザバス時代の都市間移動は、レベル制のワープ装置が使われていた。

 例えばミドラであれば、プレイヤーのレベルが20を越えていれば、街に備え付けてあるワープ装置を使って一瞬で移動ができたのだ。

 しかし、それ未満のレベルのプレイヤー、およびNPC達がどう移動していたかと言えば、それは物理的な長旅である。

 途中で何度もログアウトとログインを繰り返しながら、徒歩での旅を楽しむプレイヤーはデザバス時代一定数いた。今回の遠征隊もその類なのだろうか。



「しかしいくらなんでも早すぎる。まだ3時間も経ってない」


「冷やかしに行ってみようセツナ」


「行くから腕を引っ張るなカンナ……」



 広場に付くと、件の遠征隊と思しきプレイヤー達が群衆の質問に答える姿があった。見たところかなり装備が消耗しているようで、彼らがこんなにも早く帰ってこられた理由が察せられた。



「えー、人が増えてきたんでもう一度端的に説明する。まず第一に、この世界は現状オープンワールドじゃねえ」



 遠征隊のリーダー、ガンマと名乗る男はそう切り出した。



「俺たちはここ、ブランシュから北の街道を通って、皇都ミドラに向かおうとした。当然デザバス時代の距離感覚で言えば無謀な挑戦だ。だが、大河船の港であるクィリナスまで辿り着ければと考えていた」



 ブランシュとミドラの間には大きな障害が2つ存在する。

 大陸を横断する巨大な川であるドラコニス水系と、陸路の半分以上を覆いつくす大森林、閉ざされる森。

 基本的にワープを使わないで旅をするのであれば、ドラコニス水系を行き来する大河船に乗って北上するルートを通るプレイヤーが多かった。その大河船を出す最南端の港町がクィリナスである。



「結論から言えば、俺たちはクィリナスには辿り着けなかった。いや、正確に言うなら見ることは出来たんだが、入れなかった。世界のレベルが未達である、なんてシステムメッセージが出てな」



 世界のレベル。そのようなワードはデザバスにはなかった。

 プレイヤーのレベルや条件の未達による進入制限こそ一部のエリアではあったが、街に入れないなどということは一度たりともなかったはずだ。



「困り果てた俺たちがヘルプ一覧を見ていると、世界レベルについてのものらしき記載を見つけた。なんでも全プレイヤーに課されている試練を乗り越えると世界は進む、らしい。そこから少し経った後に、世界レベルが2になった。ちなみにそれは各々のステータス画面でも確認ができる」



 彼の言葉を聞いていた群衆が、こぞってコマンド操作によるステータス画面の呼び出しを行っている。俺もそれに追随すると、ステータス画面の隅に確かに世界レベルの欄がある。何の説明もないその欄には2とだけ書かれている。



「俺たち以外の誰か、そいつが何らかの条件を達成したのだと思った。討伐か、クエストか、はたまたNPCからの依頼か」



 心当たりならある、特殊モンスターの討伐だ。デザバス時代にあったダンジョンに、特定の敵を倒すことで道が開けるものがあった。そのシステムを使っているのではないか、とぼんやりと考える。



「途方に暮れた俺たちはクィリナスから引き返すことにし、その帰路で、エリアボス級のモンスターと遭遇した」



 エリアボス級。

 俺たちが倒したキングボアよりも更に上、3パーティ、最大30人を上限としたレイド戦で戦うことが前提とされる強敵。しかしデザバス時代のフィールドにそんなものは居なかった。決まってそれらが居たのはダンジョンの奥底である。



「俺たちは思った。こいつを倒せば世界レベル上がるんじゃね、と。そこで勝ててれば恰好も付いたんだが、惨敗も惨敗。俺たちはデスペナを受けつつここにリスポーンしたってのが顛末だ」


「そのモンスターは一体どんなやつだったんですか?」


「でかい鳥だ。しかも雷と爆発する羽を降らす。少なくとも、弓使いか魔術士がいないと話にならん。モンスター名は壊滅のサンダーバード。文字通りこちらのパーティを壊滅させてきやがった」



 デザバス時代にそんなモンスターが居たという記憶はない。

 だが聞こえてくる情報だけでも俺とは相性が悪いことがわかる。基本的に剣の届く範囲にしか役に立てないのだ。

 カンナの方をちらりと見る。カンナも現状は近接格闘専門ニンジャであるからして、相性は良くない。 種族特性で短時間飛べるとは言え、まだレベル的に実戦的とは言い難い。



「そこでだ、リベンジのレイドを募集したい。3パーティ30人のフルメンバーでならば、ある程度相手のターゲティングも分散するだろうし、こちらとしても攻撃が通しやすい状態になると思う。我こそはと言う勇敢な冒険者は挙手を願う」



 正直エリアボス級ともなると、経験値やドロップアイテムが魅力的ではある。

 しかし相性がかなり悪い相手に挑むのは、装備の損耗や回復薬の浪費に繋がる。

 それにパーティ単位での募集ともなると、俺個人での参加も厳しい。

 そんなことを考えていると。


「はい! 私たち7人パーティですけど参加したいです!」


 バレットがニッコニコの笑顔で参加を表明していた。

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