↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
36/57

第三十六話 キョンシーファクトリー

フーガが酒に溺れた。

「ゔー……頭いった……」

すっかり月が上がっている空。涼しく心地よい風の中、二体の魔族はクアンの執務室の方へ戻っているところだった。

「頭って全身じゃないですか」

「あのー、あれだよ。スライムの頭っていうのは。なんというか、頂点から中心にかけての、こう……」

もうすぐそこという所で、べちっとフーガは何かに衝突する。

「あでっ。ああ、いたんだ。クアン」

「どうもぉ。楽しんできてくれたぁ?」

「楽しかったよ僕は。なんか暴れてたっぽいし」

「フーガさんはね」

クアンは二体の姿を確認すると、振り返り、壁と向き合う。それからまた、ぶつぶつと何か唱えながら壁に触れると、再び壁が開き、階段が現れる。クアンは少し振り向いて横顔を見せてから、ゆっくりと階段を降りていく。


「それで、この通路はどこに向かってるんだ?」

二体はクアンに続いて階段を降りているところだった。

「え? 執務室じゃないんですか?」

「多分そう。階段もカーブなかったはずだし、あの入力もちょっと違ったよね?」

「なんでわかるんですかそんなの」

「やっぱすごいんだねぇスライムくん」

フーガの予想が的中するのを示すように、階段が終わると数メートルほどのまっすぐの道が出てくる。鉄板が打ち付けられた壁に、両サイドの細長い電灯。階段の中は十分に明るく照らされている。

「ここは結構歩くよぉ」

視線の先にはすぐに開けた空間がある。その空間は地下にあるとは思えないほどに広く、全面張りの金属が光を反射している。フーガたちの歩く通路には、人間か人型の魔族にはちょうど良さそうな手すりがついていて、そこから少し下を見ると大量の棺がお互いに立てかけられていた。

「なんでこんな高いとこに通路を作ってんだろ」

「えーっとねぇ視察に来た魔王軍本部の魔族が出てきた殭屍(キョンシー)に足を引っ張られたり、スライムとかはそのままどうしようもないことになったりぃ」

「あーもう十分です」

がたがたと棺が動く音や、通気口から入ってくる空気の細い音。様々な音が広い空間の中で響いてくる。

「あー。ここってどういう場所なんですか? 殭屍(キョンシー)の保管場所とか?」

「生産工場かなぁ。古典的な方法だと時間かかるしぃ」

「こういう感じで大量生産してるんですねー……」

「しかも殭屍(キョンシー)はゾンビより条件楽だし作りやすいんだよぉ。ゾンビとかスケルトンだったらこんな一まとめにはできないねぇ」

「そういえば、なんでここに僕らを連れてきたんだ? いろいろ教えてくれてるし」

「教えてるのは、自信作だからかなー。共有したいじゃんそういうのって。連れてきた理由は、おいおいねぇ」

聞いても返ってこない答えをフーガは気にすることはしなかった。

次回 第三十七話『ハウ・トゥ・キョンシー』

6/13 (土) 20:00更新予定

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。