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ライクの「14」のこだわり

場所:いつもの空間(おやつを食べ終え、だらだらとトランプをめくっている時間)


サルム「ねえねえライク。さっきからトランプの『14』のカードを探してるみたいだけどさ、トランプって13までしか無いよ?っていうか前からずっと思ってたんだけど、ライクって何かあるとすぐ『14時間考えた』とか『14分フリーズした』とか言うじゃん。どうしてそんなに『14』って数字にこだわってるわけ? 15じゃダメなの?」


ニル「……確かに。神様の時間感覚なんて基本無限なんだから、人間の単位である『14時間』とか『14年』に固執するの、客観的に見てちょっと不自然だよね。ライクのことだから、またどうでもいい数式の因果関係とか、ゲシュタルト崩壊した哲学的な理由でもあるんじゃないのさ」


ライク「……ふふ。二人とも、よくぞ聞いてくれたね。確かに私たちが生きる『狭間の空間』には時間の概念がない。でも、私が管理するアルーフ世界には時間がある。そして、私が『14』という数字を使い続けるのには……神としての、ある、消せない記憶ログが関係しているんだ」


サルム「えっ、消せない記憶!? なにそれ、急にカッコいいじゃん! 聞きたい聞きたい!」


ライク「まだ、私が世界を創ったばかりの、本当に最初期の頃の話さ。私の世界の人間たちは、今よりもずっと未熟で、生きることに不器用だった。ある時、特定の地域で、原因不明の数式のバグ……人間たちの言葉で言う『原因不明の奇病』が発生してね。その病にかかると、肉体のエネルギーが急激に消費され、数日以内に命を落としてしまうんだ。私は必死で修正の数式を計算した。……でも、私の悪い癖だ。考えすぎて、こっちの因果を直せばあっちが壊れる、というループにハマってしまったんだよ」


ニル「……あー。ライクのいつものやつね。一番やっちゃいけないタイミングで引きこもっちゃったんだ」


ライク「そうなんだ。私が『これだ!』という完璧な治療の数式を導き出した時、人間の世界では、すでに最後の患者である小さな男の子が、まさに命の灯火を消そうとしている瞬間だった。

私は急いでその数式を世界にダウンロードした。……男の子の呼吸が止まってから、私の世界時計のカウントで、ちょうど『14秒』が経った時だったよ。数式が心臓を再び動かし、男の子は大きな呼吸をして、目を開けたんだ。……奇跡的に、間に合ったんだよ」


サルム「……え、じゃあ、その男の子が助かった時間が『14秒』だったから、ずっとその数字を大切にしてるの……?」


ライク「うん。あの時、もしあと1秒でも計算が遅れていたら、私は一つの命を救えなかった。神である私が、自分の『考えすぎる癖』のせいで、命を失う恐怖を一番深く味わったのが、あの『14秒』だったんだ。だから私は、あの時の戒めと、命を救えた喜びを忘れないために、何かを深く考える時はいつも『14』という数字を基準にするようにしているのさ。……どうかな。私はなんて、過去の失敗を糧にする、誠実で優しい神様なんだろう。うん」


ニル「……ふぅん。まあ、ライクにしては珍しく、ちゃんとした理由があったんだね。ちょっとだけ見直したよ」


サルム「うわぁぁん! ライクめっちゃ良い神様じゃん! 14秒の奇跡! 超感動した! 私、これからトランプの14のカード、自作してライクにあげるよ!!」


ライク「ありがとう、サルム。君のその素直な優しさは、いつも私の計算を温かくしてくれるよ。

……あ、ちなみにね。その時、あまりにも私がパニックになりながら数式を書き換えたせいで、その男の子のバイオリズムにちょっとだけバグが残っちゃってさ」


ニル「……バグ? どんな?」


ライク「その子ね、助かったのは良かったんだけど、それ以降『14日に一回、14時間だけ、語尾が全部【じゅうよん】になる呪い』にかかっちゃって。しかも、その子が大人になって子孫を残したら、その遺伝子がなぜかアルーフ世界全体に爆発的に広がっちゃってね。今や我が世界の首都では、2週間に一度、全住民が『おはようじゅうよん!』『お腹空いたじゅうよん!』って真顔で言い合う、地獄みたいな14時間耐久デーが定期開催されてるんだよね。住民からはかなり不評なんだけど……いや、でも一体感が生まれると考えれば、むしろ親切設計――」


ニル「……前言撤回。やっぱりただの設計ミスによる大迷惑神じゃん。美談の裏で、世界を深刻なシュールホラーに染め上げるのやめて」


サルム「アハハハ!『おはようじゅうよん』マジ最高じゃん! ライク、今度そのバグ、うちのガルフ世界にも――」


ニル「サルム、口を閉じなさい。これ以上バグを増やすな」


ライク「わわ、待ってくれ! 住民たちのプライバシーを守るための、言い訳の計算をさせてくれーー!!」


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