我が世界の「へんてこ可愛い動物」と、神様の小さな愛
場所:いつもの空間(夜も更けて、少し落ち着いたトーンのファミレスの空気感)
サルム「ねえねえ、さっきの猫の話から思ったんだけどさ! うちのガルフ世界って、他にもめちゃくちゃへんてこで可愛い生き物がたくさんいるんだよね。最近の私のお気に入りは『ステップウサギ』!見た目は普通のモフモフしたウサギなんだけど、移動する時だけなぜか『タタップ、タン!』って完璧なタップダンスのステップを踏むの。しかも1匹が踊り出すと、周りのウサギも全員集まってきて大群でラインダンス始めちゃうわけ! 脳直で見てるだけで超ハッピーになるんだよね!」
ライク「あぁ、サルム、想像しただけで私のアルーフ世界に軽快なリズムが響いてきそうだ……。でも、移動そのものを表現に変えてしまう生き物か。生命の躍動をそのまま形にしたようで、本当に深いよね。私の世界のへんてこな動物といえば、森の奥に住む『ランタンリス』かな。この子たちはね、尻尾がガラス細工のランタンみたいになっていて、夜になるとポワンと温かいオレンジ色に光るんだ。ただ……私が設定をちょっとドジにしすぎちゃって、彼ら、自分が光ってるのを忘れてよく木の実と間違えて自分の尻尾を齧っちゃうんだよね。『あつっ!』ってなって1秒フリーズするの。そもそも私は、なぜ彼らの学習能力をあんなに低くしちゃったんだっけ……?」
ニル「……はぁ。ライク、自分の作った生き物を不器用にしすぎ。尻尾齧ってセルフ火傷するとか、可愛そうだけどアホすぎるでしょ。……まあ、うちのバート世界にも、変な生き物ならいるけどね。『ため息ペンギン』っていう、地上だと常に『はぁ……』って小さくため息をつきながら、トボトボ歩いてるやつ。見た目もなんか、ちょっと哀愁漂うタキシード着たおじさんみたいで、お世辞にも華やかとは言えないんだけど……」
サルム「えー! ため息つくペンギン!? なにそれ、ニルにそっくりで超ウケるんだけど! でもそれのどこが可愛いのさ?」ニル「……うるさいな、まだ話の途中。そのペンギン、地上ではすごく不器用で、いっつも段差につまずいて転んで、ため息ついてるの。でもね、夜になって海に飛び込むと、信じられないくらい綺麗に泳ぐんだよ。まるで星空の中を飛んでるみたいに、水中でキラキラ光る泡の軌跡を描きながら、すごく自由に、楽しそうに泳ぐのさ。普段がどんよりしてる分、そのギャップが……まあ、ちょっとだけ、悪くないなって思うわけ」
ライク「はっ!……あ、すまない、聞いていたよ。ため息ペンギン……。不器用な日常の中に、誰も知らない最高の輝きを秘めているなんて、すごくドラマチックで優しい設計だね。……実はね、さっきの私のランタンリスなんだけど、なんであんなにドジなのか、14時間くらい考えてやっと思い出したんだ。あの森はね、すごく暗くて深いから、迷い込んだ人間や他の小さな動物たちが、よく怖くて泣いちゃうんだよ。だから、リスたちがドジをして『あつっ!』って間抜けに驚く姿を見て、みんながクスッと笑って元気を出せるように、あえてあの性格にしたんだった。……うん。やっぱり私は、世界を優しい笑顔で満たしたかったんだね。忘れてたよ」
サルム「……え、なにそれ。ライクもニルも、なんか急にエモい話ずるいんだけど!でもさ、それを言うならうちのステップウサギだって負けてないよ! あいつら、ガルフ世界で戦争とか、おっきな喧嘩が起きそうになるとさ、なぜかそのバチバチしてる真ん中に突撃していって、大群でタップダンスのラインダンスを始めるんだよね。最初は人間たちも『なんだこれ!?』って怒るんだけど、ウサギたちが必死に『タタップ、タン!』って踊ってるのがバカバカしくなっちゃって、だんだん武器を置いて、最後はみんなで手拍子し始めちゃうの。あいつら、ただ能天気なだけじゃなくて、世界中を笑顔のステップに巻き込むために生まれてきたんだよね。……私の、自慢の子たちなんだ」
ニル「……ふん。サルムのくせに、たまには神様らしい良いこと言うじゃん。……まあ、私たちが暇を持て余してだらだら見てるだけの世界だけど、あいつらが懸命に生きてるのを見てると、退屈な神様の時間も、ちょっとだけ意味があるように思えてくるよね」
ライク「そうだね……。みんな不完全で、どこかポンコツだけど、だからこそ愛おしい。私たちの世界は、本当に愛すべき命で溢れているね……。ああっ、ダメだ、感動しすぎて涙で計算式がかすむ……! どうしよう、ニル、サルム、私の涙のせいでアルーフ世界に局地的な豪雨が……!」
サルム「わわっ、ライク泣かないで! エモい雰囲気終わっちゃうじゃん!よし、湿っぽいのはここまで! 次は気分転換に『誰の世界の動物が一番食いしん坊か選手権』やろうよ! うちのウサギ、ポテトめっちゃ食べるからさ! せーのっ!!」
ニル「……やめて、ポテトは私の(涙ぐむライクを放っておいて、急に素に戻ってポテトの皿を死守する)」
ライク「うう、待ってくれ、まだ感動の余韻の因果計算が……ズビッ(鼻をすする)」




