人間を取り込む悪魔
私達は今、下水道を通っている。向こうに何か、見える
「…出口か?」
下水道なのに、広い空間に着いた。辺りを見渡すが、誰も…、
「キリカ!上!」
上から巨大な…巨人の悪魔が現れた。しかも、
「アイツ…中に人を取り込んでる!?」
見た感じ…3人くらい、透けた腹の中に取り込まれていることを確認できる…。
「…オマエ、オイラノジャマ、スルノカ?」
喋った。こいつも喋る悪魔だったのか。先程の質問の解答は…勿論、
「人間を襲う悪魔は、退治させてもらう!」
「やっつける!」
私達は…臨時だが『退治屋』として、悪魔と戦う!
「ジャマ、スルナァァァァァ!」
奴の巨大な手が私達に振り下ろしてきた!私達をそれをそれぞれ左右に跳んでかわす。
「シロ!地下鉄の時と同じ戦い方で行くよ!」
地下鉄での戦い…それは、私が遠距離で魔法の刃を飛ばしながら、その隙にシロが近距離で攻撃する作戦だ。ただし、
「人間には攻撃しないでよ!」
「人間…助ける、りょーかい!」
取り込まれている人間は、必ず救助する…。
かなり巨大な姿だから、退治に時間がかかるかも…。それでも奴の拳は止まることはない。
「…まずい!」
私が作る刃は意外と小さい…ナイフが小さいせいで、迫りくる拳に弾き飛ばされていく。
やられる…!
「危なぁい!」
誰かが私を抱えて壁へと逃げた。
「大丈夫でありますか!」
なんと…私を助けたのは、村田警官だ。
「なんでここにいるんですか!?」
「心配になって…後を追ってきました!」
この上記で危機感は無いのか…、
「何か手伝えることは無いですか?」
「安全の為、隠れていてください!」
警官でも…一般人はできれば巻き込みたくない、だから隠れてもらった。
「キリカ!」
攻撃がまた来る!
私が魔法で作った刃で手足を攻撃して動きを止めるが、シロは何故か攻撃しない…?
「人間、傷つけちゃう…」
そうか…シロ、約束守ってくれてるのか…。どうすれば良いのだろうか…、
パァァン!
音と共に、奴の右足が破裂した!?
「やりました!足止めだけでも…」
どうやら、村田警官の拳銃で撃ったみたいだ。
…まてよ、私のナイフは効かず、拳銃は効いた…?
「オノレェ、ニンゲンガ…」
破裂した右足が少しずつ再生している…?
「これは…まるで『スライム』であります…」
身体が透けている…『スライム』………!?
「そうか、奴は『スライム』だ!」
スライムだということは、拳銃みたいな強い衝撃であれば…、
「あの力を…使おう」
私は魔力を体内に巡らせる…そうイメージする。
「か、身体からオーラが…超能力者でありますか!?」
宙に浮き、オーラに包まれ…そして私は真なる姿を現す。
鬼の角が付いた輪が頭の上に浮いていて、赤い目をした…『鬼人』の姿だ。
「私の一撃で、腹を切り裂く!」
私は大きく鋭い右手を奴の腹に引っ掻いた!私の予想通り…腹に傷をつけることにより、体内に取り込まれた人達が傷口から漏れていく。
「シロは取り込まれている人を救助!村田警官は救助した人を避難させてください!」
「し、シロさん!こちらに!」
「助ける!助ける!」
シロは近くに倒れている人を悪魔から遠ざけ、村田警官はその人たちを見えないところに隠れさせた。
「キサマァァァ!」
…獲物を逃がせば、そりゃあ怒るか。だが、
「この『鬼人の魔法』を使わせたからには、容赦しない!」
思い出せ…かつて戦った悪魔の弱点を!…私の記憶が正しければ…悪魔の本体は、頭!
つまり『脳』だ!
「その頭ごと、砕いてやるよ!」
私は猛スピードで悪魔の目の前へと攻める。
「ヤメロォ…!」
私に攻撃しようとする、だがシロは元の姿に変え、キリカに攻撃させないよう奴の両足を拳で破壊した。
体勢が崩れ、攻撃が緩み…隙ができた!
「砕け散れぇ!」
私は人の手よりも大きなこの鬼の手で、奴の頭を切り裂いた!
「ヤメロォォォォォ!」
私が奴の脳を破壊したことにより、無事退治はできた。
奥へ進むと攫われた人たちが発見され、その後…警察や救急隊に救助された。だが、第二都市住人の生き残りは多くはなかった…。
そして次の日…都市の街中に配られた新聞にはこう記載されていた、
「たったの四日で第二都市の犠牲者多数!」
「臨時退治屋と警官1名が撃破!」
「都市伝説『大都五不思議』噂は本当だった!?」
三枚目に記載されていた「大都五不思議」…それは、数年前に大都市内で流行っていた五つの『噂』…のはずだった、
「お前たちには、『大都五不思議調査部』専門退治屋に任命する!後日、その調査本部へ移動してもらう」
…いきなりすぎて受け入れず頭に入ってこない私と、既にポカーンとしているシロ、そして軽傷で済んで解放されたばかりなAjisai_chanの3人は…まさに今、社長命令が下された。
「どういうこと!なんで移動なわけ!?」
今まで何でも屋として稼いでいたAjisai_chanも納得できない様子で…、
「後そこの身長高い奴!誰なの!?」
「あ…そういえば、シロに会うのは初めてだね…」
依頼で留守にしていることが多かったから、最近入ってきたシロとは初対面だ。
「こいつさ…悪魔だよね?なんでさっさと殺さないの?」
Ajisai_chanがすぐに悪魔だと気付いた途端、彼女は怒りをあらわにして、
「じゃあキリカ!アンタはなんでソイツを殺さないの!?ソイツは人類の敵なのよ!」
シロは確かに悪魔だ、だけど…けど……、
「…わかってる、わかってるけど………」
シロは私を助けてくれた恩人で、契約を交わしたパートナーで、それに………。
なんでだろう、涙が止まらない…?
私の思いが込み上げてくる…苦しくて、悲しくて…でも、シロと過ごす日常では…穏やかで、何処か懐かしい『何か』を感じた気がした…だから、
「……ない」
「はぁ?今、なんて言ったか?もう一回言えよ!」
Ajisai_chanの怒りがエスカレートしていく。
「そこまでにしろ!Ajisai_chan!」
それを鎮めようとする社長。
その場で…私は止まらない涙を流しながらこう叫ぶ、
「殺さない!シロは私のパートナーで、大事な『家族』だ!」
みんな驚きのあまりに一瞬静まり返ったが、
「…ふざけんな!?何が『大事な家族』だ…アンタはバカじゃないの!?悪魔は人間を殺しまくる怪物だ!そんなヤツと共存なんてマジありえないわ!」
なんだろう、先程とは違う『何か』が…、
「………何も知らないくせに」
「知るかそんな…」
「私達の苦労も、苦しみも、何も知らずにただ平穏で贅沢に暮らしている一般人が…」
…『怒り』だ。私はただ許せなかったんだ。
「一般人共みたいな人生にすら恵まれなかったこの私の…私の何がわかるっていうんだ!?」
「そこまでにしろ!」
その社長の叫びで、シロは私を包むように抱きしめる…涙を流す私をギュッと抱きしめてくれた。Ajisai_chanも先程より少し落ち着いた様子だった…。
「…時間を作るから、後日改めて詳細を説明する。今日は早く帰って休め」
「はい…」
もう夕方だったので、私達はそれぞれ帰宅したのだった。
私は…、みんなが………。
その夜…深夜0時、
「キリカ、部屋から、出ない…」
帰ってから、部屋から出ない。ごはん、食べてない…。シロ、心配…。
だから、シロ、入ってみた。
「キリカ…」
キリカ、寝ている…けど、
「…ごめん、ごめん……ごめんなさい………」
キリカ…寝てるのに、涙…、苦しそうだった。わかってる、シロのせいだ。でも、
「シロ…」
なぁに?
「あなたも…傍に……行かないで…」
シロのこと、気にしている…?
だいじょうぶ、シロ…シロは……、
「もう独りにはさせない。キリカをもう一度守ってみせる…」
シロはキリカにそう言って抱きしめた…キリカとシロの2人は一つのベッドの上で眠りにつく…ただその時のシロは、とある青年の面影があった………。




