失踪事件
遡ること数時間前…午後9時58分、大中央都市から少し近い第二都市にて、何でも屋のAjisai_chanはある任務を受けていた。
「えっと確か、『3日程で第二都市周辺に住む住人のほとんどが行方がわからなくなっている』か…」
いわゆる「第二都市の住人が多数が失踪、3日前から少しずつ行方不明者が増えている」という事件が、政府は悪魔と関係している可能性があること『悪魔案件』の疑いありだと判断し、警察や自衛隊とは別で悪魔退治専門の何でも屋も派遣されたのである。
「第二都市に来てはみたけど、もうほとんど住人は居ないかな…」
辺りを見渡すが、この場にいるほとんどは同じく派遣された関係者ばかりだった。それに周りは既に成人しているため、未成年であるAjisai_chanはそろそろ撤退命令を下されるところ………。
「…第二都市に派遣された関係者全員の行方がわからなくなった」
社長からそう告ぐられた時は流石に驚いた。まさか数日前からそんな事件があったなんて…。
社長からの話はまだ続く…、
「第二都市の人口は確か90名ほどで、任務で派遣された部下のAjisai_chanも含めて…関係者が17名、これはかなりの大事件になる」
Ajisai_chan達が失踪後の時点で、第二都市の全住人の安否がわからない程になっていた。
「通報があったのは4日前…『昼間に公園へ遊びに行った息子達が夜中になっても帰ってこない』と数人の母親が交番でそう言っていたが、後日…その母親達とも連絡が付かなくなったという。次の日も行方不明者が増えていき、そして昨晩…警察は『連続誘拐事件』として捜査する為、警察が動いたんだが…」
すると社長は、タブレットで一つのボイスデータを再生する。
「こちら村田!発見した第二都市の行方不明者1名が化け物に攫われた!至急退治部隊に……や、やめろ!こっちにく―――」
音声はそこで途切れたのだった…。
「村田という警官による報告の最中、化け物…つまり悪魔に襲われた事が判明した」
この報告により、連続誘拐事件から…完全なる『悪魔案件』に変更された。そして、派遣されていた退治部隊であるAjisai_chan達も…、今現在も音信不通になっている。
「これのせいで『魔害特別警報』が発令されているから…すまないが、運び屋の仕事もしばらく休止にさせてもらう」
『魔害特別警報』とは、悪魔災害を略したもので、悪魔が出没してから二日以上が経過されると発令され…「悪魔がいつどこで現れるかがわからない為、不要不急の外出を控えろ」という意味である。その為、
「私達も、しばらく強制休止!?じゃあ、給料は…」
私は未成年だが、運び屋として働いたお金で生きている…バイトみたいな感じだ。
「…今月は、減給にはなるな」
ちなみに運び屋は、1ヶ月の間働いた日数でバイト代としてもらえるが…、長期休暇だと無くなるわけではないが普段の金額より減給されてしまう。
つまり、食料が買えなくなる。
「キリカ…シロ…、すまないな…」
社長もどうにもできないと申し訳なさそうな様子だった。
「また…もやし生活か…」
「もやし?」
「キリカはもやしが嫌いなんだよ…」
そう…私は、もやしが嫌いだ!でも今はそれよりも…、
「…ごめん、シロ。カレーはまた今度ね…」
「…キリカのカレー、食べれない?」
せっかく次回の給料でカレーを作ろうと思ったのに…。寮代や生活費の為だ…申し訳ない。
するとシロが…、
「…そいつ、倒せば、食べれる?」
「は?」
な、なんか…怖いことを言い出した!?
「…そいつ倒す、お金?もらう、そうすれば…キリカのカレー、また食べれる!」
あぁそう来たか。…ん?それってつまり…、
「君たちがその犯人を討伐して、いつもの金額の給料でカレーが食べたいと…?」
なんだってー!?
シロは悪魔なのに、悪魔を討伐するのか!?それって完全に仲間を裏切ることになるじゃないか…?というか、そんなに私が作るカレーが食べたかったの!?
「…仕方ない、今回は許そう」
そういった社長が立ち上がり、
「シロ!そして…キリカ!戦闘経験がある君たちに第二都市の誘拐犯を討伐を命ずる!勿論、報酬は倍にすると約束しよう!」
そうして私達は、第二都市の行方不明者を探し…犯人である悪魔討伐を命じられ、現場である第二都市へと向かうことになった。
「昨日戦闘禁止になったばかりのに、なんで私もなの!?」




