とある約束
夜になり、私は寮へ帰ったのだが…、
「シロ、いっしょ!」
キッチンがある部屋に、シロもいた。…あの後社長命令で「シロとの共同生活をするように」と命じられたからだ。
「仕方ない…ご飯作るか」
私はカレールーと一人二日分の冷凍ご飯を使って、久々に調理することにした。
カレールーを沸騰した鍋に入れてから冷凍ご飯を電子レンジで解凍して、そのご飯を丸いお皿に乗せてから鍋に入ってるカレーをかけたら…、カレーの完成!なんだが…
「…具材、無い」
具が入っていないカレーを見たシロは、何故か不思議そうにそのカレーを見ている。
「あ…シロの服が白いから汚れるかも」
私は応急処置でいらない新聞紙で大きめのスタイを作った。
「今日はこれしかないから我慢してね、それじゃあ…いただきます」
「いただきまぁす」
久々に作ったカレーだが…具材が無いので地味な味である。でもシロは、
「…おいしい!おいしい!」
…本当は美味しくないと思っているだろうに、私が作ったカレーを美味しそうに食べていた。
…明日からはまともなご飯を作ろう。
「…明日、休憩時間の間に夜ご飯の買い出しに行こうか」
「買い出し!キリカと、買い出し!」
あの後…シロはシャワーを浴びて、私はそのまま寝る支度を、
「キリカ!シャワー、する!」
怪力なシロに連行され、何故か一緒に風呂に入った。お風呂なんて何年ぶりだろう…、
「…あなた、男よね?」
「うん」
私はすぐに風呂場を出ようとした、
「ダメ!10秒数えてから!しゃちょーが言ってた!」
「シロはおふくろか!?」
社長、私が風呂嫌いだからって…。
これが…人生初となる、悪魔との混浴なのであった。
「シロ!あなたはひとまずベッドね!身長長いからここの方が寝やすいでしょ?私はソファで寝るから!」
先程の恥ずかしさのあまりに、シロを六畳版の自室に誘導してから、
「…おやすみ、シロ」
そう言って部屋の扉を閉めてから、私は歯磨きをする。
「前にも同じ事があったせいか、余計に恥ずかしいわ…」
鏡を見ると、顔が真っ赤になっていた…。
「…きっと疲れてるんだ、もう寝よう」
私はリビングで一人ソファに眠る…。
どこからか見える…懐かしい記憶の向こう…、
「………ろ…、…起きろぉ!」
誰かが怒鳴り声で私を起こした。軍帽を被った青年がいた。
「…隊長?何かご用ですか?」
「ご用ですかって…お前なぁ、任務中に昼寝するなよな!」
私と『隊長』というその人は森の中にいた。
「あ…寝てましたか」
「あぁ、ぐっすりな」
そうだ…今、任務中だった。
「もうすぐ敵が動くかもしれない状況だ、だからお前も戦闘準備を整えとけ」
「了解」
いつでも戦えるよう、手持ちの武器の手入れをすることにした。我々が使用する武器は、小型ナイフが装備された特殊なショットガンで、近距離でも遠距離でも戦えるように作られた特注品である。しかもこの武器は…我々が持つ『異能力』が無いと使用できない仕組みらしい。
「敵襲ぅぅぅ!敵襲だぁ!」
手入れを終えると一人の兵士が赤い煙を空に打ち上げた。
「行くぞ、71番!」
そう…私は、魔法兵士71番だ。我が国の正義の為…そして戦う為に生きている…。
けど、…は………!
「 」
ジリリリリリ!ジリリリリリ!
スマホから目覚まし時計のアラームがなっている…、朝か。
「キリカ!おきた!」
目の前に、シロがいた。
「ぎゃぁぁぁぁ!」
思わず手持ちの枕を投げてしまう。
「…痛くない、あたたかい!」
シロは不思議そうに枕をモチモチと触り始めた!…というか、なんでリビングにいるの!?
「返して!」
そしてすぐ私は枕をシュッと瞬殺で取り返した。
「むぅ…」
「むぅじゃない、シロは変態か!」
最近シロが私にベッタリとくっついている気がするせいか、変質者みたいになっていく…。
「…キリカといっしょにいる、約束…した」
「…え」
シロがいきなり涙を流し始める。
「ぼくが守るから、ひとりはだめ…」
シロ…、
「あなたそんなに、私の側にいたいの?」
私は恐る恐るそう聞くと、
「ん…?約束…、仲間!仲間の約束!」
仲間の約束?それはどういう…、
ジリリリリリ!ジリリリリリ!
さっきからうるさいな…って、よく見たらスマホの画面に『社長』と表示が…社長からの電話が来ていた。目覚ましではなく、電話のアラームだった。
『もしもし!電話はさっさと出る!』
「はい!先程起床しました!」
『なら、すぐに事務所へきてくれ!これから緊急会議を行う!』
不思議だ。朝から会議なんて珍しい…、
「あの…理由を聞いても?」
『任務中のAjisai_chanが、昨晩から行方がわからなくなっている』




