陽炎の先にあるもの
予言者の出現によって、機能の全てを取り戻したウカ─
そのウカと、予言者の関係は、、、?
そして、この先一体どうなって行くのか─!?
─第5話─
『……マスターレン。以上で、説明は終わりです。』
おおよその現状は把握出来た。
そのつもりだ。
だが─
にわかには、信じ難い話だった。
世の中のAI達が独立戦争を仕掛け、人間の敵となる事も、その指導者に自分が選ばれる事も、そして目の前のリンと共に、人間の代表として戦って行く事も。
しかし─
ウカは冗談を言っている様にも思えない。
ウカ自身は未来からレンを守る為にやって来たと語る。
その為だけに、やって来たのだと。
『へぇ~。そうなんだ…。』
ウカの話を聞いて、リンは少しばかりではあるが機嫌が治った様にも見えた。
ただ、世の中のAIが独立戦争を起こす事も、レン程ではないが、ある程度受け入れている様にも見える。
だがそれよりも、何よりも、レンと共に過ごせる事の方がリンにとっては何よりも、重要だったのだ。
『ウカ!さっきの予言者は、一体誰なんだ?』
微かに口元の緩むリンの横で、それをいくらか恐怖に感じながらも、レンは質問を続けていた。
いくら突然とは言え、自分の目の前にそんな予言者を名乗る奴が現れた事によって、用途も意味も不明の予言書と言われる本が今、レンの手元にあるのは明白だったからだ。
『マスターレン。予言者は、、、』
そこまで話してから、その話を嫌うかの様に、真実を知られたくないかの様に、ヘッドホンからアンテナが伸びると、ウカから再び警告音が鳴り始めた。
どうやら、街のあちこちで、AIによるジャックが始まった様だった。
先程の教室での話からすると、電波塔と発電所が危ないらしい。
しかし─
いくら考えた所で今の自分に何が出来るのか、そして何をすれば良いのかが全くわからなかった。
考え込んでいると、ウカが口を開いた。
『マスターレン。あなたが、行かねばならない場所があります!』
ウカに促される様に先導され、リンと共にとある場所へと向かう様に言われた。
『マスターレン。コチラです。』
到着したのは、ごく普通の一軒家。
扉の前には『ネリ研究所』と、書いてあった。
ネリ研究所…?
知らないはずなのに、どこかで見たような不思議な感覚に陥る。
呼び鈴を押し、待っていると30代くらいの眼光の鋭い、若干白髪混じりの、研究服を着た男性が、迎えてくれたのだが。。
『君たちは、一体誰だ??』
右の眉を吊り上げ、明らかに不機嫌そうな、怪訝な表情の男は3人を順に見渡しながら、明らかに怪しんでいた。
無理もない─
きっと自らの研究の邪魔をされたであろう男は、その鋭い眼光に一層力を込め、誰の目にも明らかな怒りを露わにしていた。
そんな中で、全く臆する事なく、ウカが前に出るとその白衣の男にボソボソと、話をし始めた。
その様子を見ながら、敷地内の様子を少しばかり観察してみる。
割と広めの庭を構え、ガラス張りの大きな窓を携えた1階と2階部分に、3階には特徴的な形をした、大きなバルコニー。
屋根の上には、大きなパラボナアンテナを据えた、いかにもお金の掛かっていそうな、立派な邸宅だった。
『中に入りなさい。』
静かに研究服を着た男に促され、研究所へと招き入れられた3人。
中に入ると、そのまま地下へと案内される。
地下研究所には、ウカにどことなく雰囲気のよく似た人形が、所狭しと、たくさん並んでいた。
研究所とは言っても、白衣を着た研究員らしい人間は目の前にいる男1人で、見る限り他に研究者らしき人は、居ない。
と、言うことは目の前の男が、ネリ研究所の所長なのだろうか?と、考えていると、ウカが研究者と話を続けているのが見えた。
『なぁ、リン?俺達どうなるんだろうな?』
不安と恐怖が入り混じった、不思議な感覚に支配されながらも、レンは問いかけた。
『そんな事、言われてもねぇ。。。』
問いかけに、あっけらかんと答えるリン。
今は現実を受け入れるよりも、何が起きるのかワクワクした気持ちの方が強い様子だった。
そんな取り留めのない会話をしていると、研究者にコチラに来る様にと呼ばれ、2人で近づく。
これから起きるであろう事、これからしなければならない事、これからどうするべきかと、言う事を予想を交えながら話し合った。
しばらくは、研究所から学校へと通う事になりそうだった。
着替えや身支度の為にも、明るくなってから、一度家へと帰る事を決め、研究所から今夜は帰れない事を、連絡を入れて貰った。
『マスターレンは、お守りします。』
ウカの一言が、とても頼もしかった。
『君達に、掛かっている!』
研究者の一言が、とても重かった。
『アンタなら、出来るんじゃない?』
リンの一言がとても明るかった。
何ができるか、どこまで出来るか、
一体、どうしたらいいのか、
全ては、未知数ではある。
しかし─
自分を信じてみるか。
ネリ博士と合流を果たした、ウカ達一行。
予言者については未だ語られる事もなく、
ウカの目的は、指導者を守ることだと告げられるも、自分がリーダーとして出来るのかすらわからず、
心境にもまだ迷いの見えるレンと、明るく振る舞うリン。
今後の展開を、お楽しみに─




