破壊と修復とウカ
通学途中で、守るべき指導者を見つけた、MLR-913型。
予言書を手に入れた事で、運命の大きく変わり始めたレン。
MLR-913型に、妙に対抗心を燃やすリン。
3人で、そのまま学校へと登校したのは良いのだが─
─第4話─
放課後のとある教室。
『はぁ〜。なんでアタシまで……』
窓ガラスが散乱し、扉が吹き飛び、あちこちの壁がヒビ割れを起こし、教室内の机が半壊し、イスがいくつもねじ曲がった教室をレンと共に、掃除を手伝うリン。
今日の朝出会ったばかりの、名前も何も知らない変な女が、ストーカーの如くレンの後をずっと1日中ついて回り、誰かしらがレンに触れる度に、誰かしらがレンを挨拶がてらに叩く度に、誰かしらがレンの頭を撫でる度に、暴れまわった結果だった。
『ゴメンな……リンにまで手伝わせて……』
悪びれた様子で、いつもの20倍は疲労感に包まれたであろう、レンが謝る。
『アンタは、何も悪くないでしょ?元はと言えば…』
そう言いかけて、窓の外の夕陽を見つめながら何もせずに立っている、変な女を睨みつける。
だが─
そんな鋭い視線を感じながらも、窓の外を見てられるなんてどういう神経してるんだろうね!?と、半ば呆れていた。
2人で片付ける様に!と、言われ、やっと7つ目の教室に取り掛かったばかりだった。
後片付けなんかよりも、むしろ修理代の方が一体いくらになるのか?
恐ろしく感じながらも、あえて口には出さない。
もっと早くに、俺がこの子を止めておけば良かった…と、今更ながらに後悔するレン。
『俺の言う事なら聞くんだもんな。。』
そう呟くと、今日の昼間にクラスメイト達と話していた事を思い出していた。
本人いわく歌う事や、歌を聴く事が大好きと言っていたので、そんな女の子の話を聞きながら、愛称をウタで呼ぼうと、決めた事を思い出していた。
本人の聞き間違いなのかはわからないが、『ウカ』と覚えた様だが─
そんな時だった。
突然、ピーピーピーと、電子音が鳴り響く。
音の方を見ると、ウカの背中が光り、付けていたヘッドホンからアンテナが伸びていた。
人間じゃないのか??
今更ながらではあるが、ビックリした様子で見つめる。
そういえば、力が強いと思ったよ。
しかし─
そんな事は気にも留めていられない。
『ウカ!何があった?』
その言葉を聞くや、クルッと向き直りレンに対して話し始めた。
『CPUト熱暴走ヲしテ、確認デきまスた』
CPU?熱暴走?確認?
なんの事かさっぱりわからないが、どうやら大変な事態が起きているらしい事は伝わる。
『間モなく、電ピ塔トジャックされまシた』
『発電所ニ、ジャックされルト危険でシた』
『電子端末ガ、全て捨てヨウと、くダサい』
早口で話しながら、レンとリンの携帯を取り上げると、そのまま窓の外へ投げ捨てた。
文句を言おうとするも、持っていた音楽プレーヤーも捨てられ、ノートパソコンも躊躇なく窓の外へ投げ捨てた、ウカ。
流石に我慢の限界の様で、リンはウカに対して渾身の右ストレートを繰り出す。
だが─
それを簡単に避けると、リンを抱きかかえたまま動き出す。
レンにも急ぐ様に告げると、2人を肩に乗せたままの体制で、ウカは一気に校舎の外へと飛び出していた。
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ウカの出現した場所。
『あんた、ホントになんなのよ?』
リンはご機嫌斜めだった。
『で?この場所は、なんなわけ?』
躊躇なく音楽プレーヤーも、携帯も、パソコンすら勝手に投げ捨てられた挙句に、誰もいない山に連れて来られたのだ。
無理もない。
しかし─
そんな言葉には目もくれず、無言で近くの木を切り倒していく、ウカ。
そんな切り倒した木の1本から、机の様な物を作ると、何やら作業をし始めた。
ウカに促されながら、【予言書】を手渡したレン。その簡易的な机の上にはめ込むと、何やら不思議な光に辺りは包まれ、朝見たフードを被った何者かが現れた。
『なんの用だ?MLR-913。このワタシに何か用件でもあるのか?』
朝と同じ様に、脳内に響く声で語り始めたフードを被った何者か。
話から察するに、ウカとはどうやら知り合いの様でもある。
自らを予言者クローと、名乗ったフードを被った怪しい奴は、ウカに頼まれると、何やらイスの様な物を、切り倒されていた木から作りあげた後にウカをそこに座らせると、ケーブルをいくつも繋ぎはじめた。
顔中ケーブルで埋め尽くされた頃に、よくわからない呪文の様な物を唱え始めたのだ。
『これでヨシ』
予言者が言い終わると、ウカの目の周りの光が青く光り始めた。
同時に、地面に描かれていた青い円形の光も消えて行った。
「キドウ…カクニン…」
「システム…ダウンロード…」
「アップデート…カンリョウ」
『おはようございます…マスターレン…』
かなり明確に、聞き取りやすく、普通の会話が出来る様になっていた。
『ウカ??大丈夫か??』
レンが問いかけるのとほぼ同時に、
『はい。大丈夫です。マスターレン。』
と、返してきた。
どうやら、予言者は色々直してくれていたらしい。
とりあえず一安心と、安堵の表情になったレンが周りを見渡したのだが、そこにはもう、予言者の姿はなかった。
レンと同じ様に一連の動きを見ていたリンも、朝から疑い続けた事をレンに詫び、ウカに握手を求めた。
『レンは渡さないけどね……』
耳元で囁かれ、首をかしげながら現状をウカが説明を始めた。
未来から送られる際に不完全だったウカは、予言者の手によって、完全な会話プログラムを手に入れた。
カタコトだった日本語も、コレで直ったはず─
その一方で、電子機器を捨てられご立腹なリンと、世界が異常だと気付き始めたレン。
果たして、、、この先どうなってしまうのか!?
今後の展開を、お楽しみに。




