動き始めた影
大きな地震が発生─
ウカは倒壊した家からレンとリンを守り、
カナに助けられていた。
その一方で、ネリ博士の研究所は─
─第10話─
ネリ博士研究所─
大きな揺れと共に、研究所が少しばかり傾く感じを味わった。
棚の書類や、ビンに入った薬液は、床に落ち四方八方に散乱している。
心配になり確認してみると、ここまで作り上げた試作の戦闘アンドロイド達は、故障しておらずちゃんと動いてくれる様だった。
ポチッ─
ネリ博士がこれ以上の損害を減らす為に、起動スイッチを押すと、研究所周りの警備も兼ねて防御モードへと移行した。
荷物を取りに帰った彼らが帰って来たとしても、渡したGPS端末さえあれば、中には入って来れるのだから、問題はないだろう。
今は、地震が何者かによる故意的であった場合の、最悪の予測をしておかなければならなかった。
ドカン─!
と、大きな音がするや、乱暴に研究所内に複数の機械音が聞こえた。
どうやら、防御モードへと移行した研究所の地下に繋がる、裏の入口が発見されて何かが入って来てしまった様だ。。
『ここまでか。だが、アイツらがいれば。。』
そう呟くと、遠くで聞こえる銃撃音。
ネリ博士のこれまで作り上げた、試作型戦闘アンドロイド達が、応戦してくれるはずである。
今までに作り上げて来た試作のアンドロイド達は、ゆうに100体を超えていた。
時間稼ぎくらいは、出来るだろう。
しかし─
長期戦になれば長くは持たないだろう事は、誰よりも分かっていた。
┈┈┈┈┈┈┈ ❁ ❁ ❁ ┈┈┈┈┈┈┈┈
到着したウカ達─
ッ─!!
研究所前が、おかしい!
異変にいち早く気付いたカナは、到着するなり小型バギーから飛び降りるやいなや、駆け出していた。
ウカを抱えながらその後を追ったレンとリンは、入口が閉じている事に気が付くと、音声ナビ通りにGPS端末を扉へと押し当てる。
ロックが解除されると、研究所の中は焦げ臭い匂いや、砂埃が充満していた。
異様な様子に一瞬たじろぎながらも、博士の事を考えると、体が勝手に動いていた。
『博士!!無事なら、返事をしてください!』
レンが声を掛けるも、反応はない。
リュックに詰めて貰ったAIとの戦闘用武器を取り出すと、意を決して地下へと足を進めて行く。
ウカも何とかリンに支えられながら、レンの後ろから歩いて来ていた。
周りを確認しながらも、慎重に地下へと進む一行ではあったが、やはり戦闘経験がないレンでは、少しばかり頼りなさは否めなかった。
『マス…たー。あぶ…ナイ!』
ウカが声を掛け、レンを押しのけると上から瓦礫が降って来た。
『ウカ……!!』
声を掛けるも、ウカはその重力のままに瓦礫の下敷きになっていた。
だが─
背中からバチバチと音を立てながらも、ウカはその瓦礫を、自力で弾き飛ばしてみせた。
『まダ……ダいじ……ョウ……ブ……でス……』
そう語るウカだが良く見れば、その目の周りが黄色と赤色に点滅をし始めていた。
もう、限界かもしれない。
これ以上無理は、させられない!と、レンは心に強く誓い、ウカを押しのけると、前へと進み始めた。
┈┈┈┈┈┈┈ ❁ ❁ ❁ ┈┈┈┈┈┈┈┈
カナ視点─
バギーから飛び降りると、一目散に庭の中心部へと駆け寄り、刀を大地に向けて突き立てた。
ココが怪しい─!
直感だった。
今までの戦闘経験を生かし、とにかくAI達を倒さねば、博士が危ない─!
そう、頭の中が告げていた。
『まさか、博士を狙って来るとはね。』
そう呟きながら、突き立てた刀で円形のえぐり出した大地を切り刻むと、そのまま地下へと突入して行く。
それぞれに銃を構え、ある者は剣を持ち、機械音を鳴らしながら行軍をしてくる、AIの軍勢達に向かって行きながら、その巧みな刀捌きで、どんどん切り倒して行く。
その数は、ゆうに100体を超えていた。
電波塔の方面へと続く様に作られた、人工的なトンネルを進みながら、研究所の方は大丈夫だろうか?と、一瞬頭をよぎる不安。
しかし─
構ってなどいられない。
まずは、コチラを何とかしなければ、ならないだろう。
アレを使うか─
カナは、旅立つ前に渡されたカプセルの事を考えていた。
ママには、極力使用禁止と言われたけど。。
いざとなれば、使うしかない─
そう、心に決めていた。
ネリ博士の研究所へと、AI達が迫る!!
ネリ博士は、無事なのだろうか─!?
そして、限界の近いウカ─
その一方で、
行軍して来るAI達を相手に、戦い始めたカナ─
今後の展開を、お楽しみに─




