覚悟を決めた日
ネリ博士は、無事なのか─!?
研究所へと到着し、中へと進むウカ達に待ち受けるものとは─!?
そして、、、
─エピローグ─
レンを先頭に、研究所の地下へと足を進めるウカとリンの3人。
先程の瓦礫を弾き飛ばして以降、ウカは見るからに限界が近かった。
目の周りが常に赤と橙色で点滅しており、肩を借りる格好で、リンに脇を支えられるように歩くその足は、今までのウカとは、比べ物にならない程遅かった。
階段を降りきると、妙な埃っぽさの中に若干の焦げ臭さやアチコチから、電気のショートした様なバチバチと言う音が聞こえる。
床にはAIの軍勢や、博士の作った戦闘アンドロイドの破片がアチコチに散らばり、戦闘の激しさを物語っていた。
ようやく研究室に辿り着いた一行は、博士の安否も心配しながら、胸に去来する、はやる気持ちを抑えながら、慎重にドアノブを回した。
部屋の中では、白衣を着た何かが動いており、それを見るなり安堵したレンは、その白衣に向かって声を掛ける。
『博士!!助けにきました!』
声を掛けられた白衣はレンの声が聞こえるや、コチラに振り向くと、猛スピードで近付いて来る。
『マ…ス…たー……あ…』
言葉を言い終わらぬ内に、リンを振りほどき、壁へレンを押しのけると、その謎の白衣の目の前に立ちはだかった、ウカ。
ガシャーン!!!!
強烈な機械のぶつかる音が聞こえるや、ウカの左肩には、刀が突き刺さっていた。
すんでの所で致命傷を免れた様には見えるものの、常に背中からはショートをした様なバチバチと音が鳴り、目の周りを赤と橙色に点滅をさせ、ウカはもう立っているのすらやっと、と言う感じである。
謎の白衣はそのままウカを強く押し込んで行き、床が大きくヒビ割れた隙間へと落とすと、そのまま地面を踏み、ウカのお腹辺りで挟み込んだ。
このままでは、ウカはちぎれてしまうかもしれない─
だが─
それでもウカは、レンとリンを見据えて博士の事を心配していた。
『は…カ…セ………ヲ…』
最後まで聞き取れないまま、目の周りが赤い点滅に変わり、警告音が鳴り始めていた。
ウカが、マズい─!
直感でそう感じ取ったレンは、手に持った対AI用の武器で、その白衣を力いっぱい殴りつけていた。
『オラァ!』
気合を入れ、思い切り叩いたものの、自分の手にすら痺れが来る程の衝撃を食らい、その場に尻もちを付いたレン。
それもそのはず。
この武器は、特殊スタン棒である。
使い方を知らないどころか、スイッチすら押してなかった事もあり、ただ単に硬い棒で鉄製の機械相手に殴りつけたに、過ぎなかった。
殴られた白衣は、何事もなかったかの様に振り向くと、その刀をレンへと向ける。
今度こそ終わりだ─!
目を閉じ、深いため息を吐くと、レンは悟った。
しかし─!!
「予備電源アップロード」
と、聞こえるや、挟まれたウカが両手で地面を押し込みながらバチバチと音を立て、自らの下半身を引きちぎりながら、白衣に突進していた。
『マスターは、私が守る!!』
学校から飛び出た時の様な、超高速で突進をするやそのまま研究所の扉を突き破り、行く手を阻む机を蹴散らしながら、壁に勢い良く衝突した。
押し込まれた白衣は、壁から垂れていた高圧の電気ケーブルに押し当てられ、その場で大きなスパークが起きると、そのまま動かなくなる。
その光景を、何も言わずに見続けていたレンとリンは、周りに動く機械音がない事を確認すると、ウカの後を追い、研究室の中へと入って行った。
部屋に入るや、片隅に倒れ込む博士を見つけると、そのまま博士の事をリンに頼み、レンはウカへと駆け寄って行く。
ウカ─
よく見れば、左肩には大きな穴が空いていて、左肘から先はもげており、右肩には大きな火傷の様な跡がくっきりと残り、お腹から下はちぎれていた。
そんなウカを見つめながら、首の下に腕を差し込む形で抱えながら、声を掛けたレン。
『ウカ…!大丈夫か?』
『マ…ス…たー…は、ぶジ……ですか?』
『お前のおかげでな。ありがとう。』
『わ…タシ…は……』
言い終わらぬ内に、ウカの目の周りは弱く赤い点滅から、黒へと変わった。
ウカのバッテリーが、完全に切れた事を告げる合図だった。
それを目の前で見ながら、レンは泣いていた。
俺がやらなければ、ならないんだ─!
未来を守らなければ、ならないんだ─!
心に強く決め、戦う事を決意した、レンであった。
─第1部 完─
その身を犠牲にする形で、指導者を守ったウカ─
そのバッテリーは、尽きてしまった─
続編を、お楽しみに─




