8.神の干渉
ハロルドたちが着実に、国の中心へと進む様子をセルピナは鼻歌混じりに眺めていた。
これでも、待った方だろう。
神を信じる気持ちが薄くなるのは仕方がない。
神にだって全てを助けられるわけではない。干渉できる範囲は限られているし、場合によっては見捨てなければいけない定めのモノもある。
自然を壊して新しい物を作るのも、成長の過程として仕方がないだろう。
限度、というものはあるが、それは自業自得だ。
争い合うのも仕方がない。
競争なくば、成長もない。
しかし、魂の浪費だけはいけない。
許せない。
認められない。
そんなことをされると、世界の均衡が崩れる。
輪廻を巡ることができない。
フォルツァートは魂を他の世界から引っ張ってきているようだが、そんなもので賄える消費量ではない。
生み出すにも、時間が足りぬほどだ。
「……僕だって、何も考えずに全てを滅ぼそうとしているわけではないさ」
しかし、歪みを正すには荒療治が必要なものだ。
改革には痛みが伴うのは仕方のないことだ。
「何。この人間たちのように、取り返しのつかないことをやろうとしているわけではない」
しかし、自分たちがやったことの咎がどれほどのものか。必ずわからせなければならない。
二度があってはならない。
合わせて。
二度目など、本来あってはならない。
終わったのならば、どんな事情があったとしても、白紙に戻らなければならない。
「そう。迎えるならば、あの子達も最初からやり直さなければならなかった」
あの双神の迎え入れた転生者たちを思い返しながら、そう呟く。
前世の記憶を持ち越すなど、良いことだとは思えない。ある種の試練ですらあるだろう。
「まぁ、協力してくれてるしきちんとあるべき状態に戻してあげるのも慈悲というものかもしれないねぇ」
セルピナはそう言って楽しそうに、自身がとても親切な神であるという自画自賛するように笑みを浮かべた。
「今となってはありがた迷惑というものだろう」
疲れた声の男の声が静かな神殿に響く。
ハロルドの様子は、本人の祈りもあって確認していた。妹とセルピナの概念の近さからある程度の動向も察して溜息を吐く。
ハロルドの懸念は当たりそうだった。
どの神も己の正義で動き、そのせいで巻き込まれる人の子がどうなるのか想像もしていないだろう。
「今回は私が彼につくか」
ちょうど近くに、以前少しばかり力を分け与えた剣もある。
男は妹を呼び、少しばかり業務の代替を頼む。
神の愛も、罰も、受け入れることは難しいものだ。
男が鏡に手を翳すと、先ほどまで映っていた冥界の風景は消えていた。
そして、明るかった神域に闇が訪れた。
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
ある種神様らしい傲慢さでもあるかもしれない。
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