7.厄介な存在
ケリーが無事かどうかについては、ハロルドたちは深く考えていなかった。
父親を名乗る能天気なおっさんなど、ハロルドたちにはあまり関係ない存在なのである。友人であるブライトさえ無事であればそれでよかった。
ケリーに何かあったとしても、それは花香のせいであり、エーデルシュタイン王国とは関係がないと考えているせいもあるだろう。
実際、ブライトが警戒するだけあって、ケリーは厄介な存在である。
(何人か殺しに行ってるそうだけど、『何となく』殺せなかったらしいしなぁ)
神子様に害をもたらす可能性のある存在、許すまじ。
そう考えるやばい連中が、だ。
ハロルドは特にそうなって欲しいと思っているわけではないし、そう思うほどの興味もない。ただ、国際問題になったら大変なので辞めておいてねと思うくらいだ。
だから、彼に関しては「まぁ、死なないだろう」とは考えている。
そこまで考えたところで、「あの人、もしかしてかなり厄介な人間では?」と今更思って苦笑した。
「あれ、どうせだったらこっちで死んでた方がいい気もするなぁ」
「見るからに厄介だもんな」
ハロルドとアーロンはそんなことを言いながら、ピリピリしているカトルを眺める。
その様子から、ケリーはどうにも、かなり気に入られていることが察せられる。
「早く帰って、エリザとのんびりしたいな」
まだ厄介ごとが多いことをわかっているが、ハロルドはつい、そう口にする。
信じられないものを見る目をしているロナルドが視界の端に映ったが見えなかったフリをした。
「あとは好きな花と野菜を育てて、何ならもうジャンナガーデンに引っ込んでもいい」
カラムがそれを許してくれることを知っているからそうボヤくものの、周囲にはギョッとされている。
「それやるとお前のじいちゃんたちが寂しがるんじゃねぇか?」
「……連れて行けないかな」
結構本気で考えていそうである。
それができてしまうと、ハロルドは本気で隠れてしまいそうだ。
「うーん。でも、流石に友達と離れるのもまだちょっとなぁ……。エリザとも結婚したいと思っているし」
その一言で、数名がホッとした顔を見せた。
地位も名誉も求めていない神子は、どうにも引き留め難いものだった。




