5.敵国目前
ところ変わって、花香手前まで来ているハロルドたちは火を囲んでいた。
ハロルドとアーロンの目の前ではコトコトとシチューを煮ている。アーロンの足元ではスノウが大量の涎を出していた。神獣とは。
「……中に入ってるのは?」
「何の肉だっけ?羊?」
「そう。ちょっと前に立ち寄ったオアシスで買ったやつな」
ロナルドに問われて、ハロルドとアーロンは何でもないようにそう答えた。ロナルドは二人の答えを聞いてホッとしたような顔をした。
フロッグ肉をうっかり食べてしまったのが衝撃すぎたらしい。
ハロルドたちは美味しく食べられればそれでいいの精神であったが、ロナルドにとってはそうでなかったようだ。ハロルドたちも普段の生活では基本的に鳥やボア、牛系の魔物肉を食べているが、いつもそれが手に入るかと言われればそうではないので、安くて安全に食べられるそこそこ美味しいものなら気にすることはない。
「今回はまともな肉か」
二人は「いつもまともな肉だよ!」と思いながら鍋を見ていた。
「ルイでもこんなに文句言わねぇぞ」
「というか、ルイは普通に食べてたよね」
そんなことを言う二人の言葉に、シャルロットが少しばかり頭を抱えていた。
フロッグ肉は下位貴族や平民にとっては普通に食べる肉でも、王族や高位貴族が食べるようなものではない。
(まぁ、この二人のご飯が美味しいからでしょうけど)
ちなみにルートヴィヒ第三王子のお気に入りは照り焼きサンドイッチである。
ハロルドたちはかなり食事にこだわっていることも知っているので、つい手が伸びる気持ちはわかるが、王族が友人の手作り料理を食べているというのはちょっとびっくりする。
「うん……こんなもんか」
アーロンは味見をすると、一つ頷く。スノウが「おれも!おれも味見!」と騒いでいるが無視されている。いつものことである。
「ブライトがいたらコイツと同じ顔してるんだろうな」
「さすがに涎だらけにはなってないだろうけど」
友人に近付いていることを思い出しながら、シチューをよそう。
早く助けに行きたいと逸る気持ちはあるが、それをグッとこらえる。
「何もやらかしてないといいけど」
アーロンは冗談を言うようにそう口に出した。
ブライトなら自分で暴れて出国してきそうだ、なんて思ってしまうあたり、ある種の信頼があった。
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
暴れては、いるなぁ……うん。
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