3.とある国の、終わりの始まり3
実際、ケリーは人を味方にするのがあまりにも上手い。この国に着いてからすぐに、自国の協力者と繋がることができることを当然のように考えている節があるが、こんなこと、普通にできるものではないのだ。
おそらく、エーデルシュタイン王国でも多くの人間が彼のために働いていただろう。しかし、それがエーデルシュタイン王国の害になっていないのは、正しく『ハロルドの危険性』について理解しているからだ。
(花香もそれができれば延命できただろうにねぇ)
ハロルドは自分のことをどう思っているか知らないが、ブライトは彼が親切であることを知っている。敵対するものに対して容赦なく振る舞えるようになってきたことは確かだが、それでもその本質は優しく穏やかなものである。少なくともブライトやルートヴィヒはそう考えている。だからこそ、本来、そう在れるように環境を整えてあげたいのだが、あまりにも邪魔が多すぎる。
この国も、邪魔の一つだ。
「さて、軽く確認だけしてさっさとここ出ちゃおう。ハロルドくんは僕を巻き込まないようにしてくれるだろうけど……『女神様』はそうじゃないだろうしね」
「えっと。ブライトくんの言ってた予測っていうのは可能性が高いのかい?」
ブライトの予測というのは、ハロルドからの手紙に基づくものだ。
ハロルドはセルピナを全く信用していない。ネーヴェがハロルドの身体を乗っ取って勝手をしたことも知っている節があった。だから、ハロルドは『緊急時にセルピナが自身の身体を乗っ取って花香まとめて冥界に落とす気ではないか』という悪い予感を抱えていた。
セルピナが多くの魂に対する善意で動いていることを疑ってはいない。しかし、彼女の守るべき対象に自身が含まれていないことをハロルドは察していた。
「僕がそんなこと、わかるはずないでしょ。でも、ハロルドくんが警戒しているんだ。そう思わせるだけの言動をした女神がいるはずだよ。これだから、神という勝手で傲慢な存在は困るんだ。信じられるのなんてフォルテ様くらいだね」
他の女神がドカンとやらかし言動をとっているせいで、フォルテの知らないところで信用と信仰が積み重なっている。
フォルテもたまにやらかすがそれが可愛いレベルであったからこそのことだろう。
「せっかくだし、ハロルドくんやうちの騎士たちが少しでも無事に済むように兵器とかぶっ壊して行こ」
「なぁに、この子……絶対僕より君の方が怖いよ……」
二人の危険度は方向性が違う。
それ故に互いにドン引きし合っていた。
「なんでさ。ちょっとした破壊活動で君のところの兵も無事に帰れる可能性が高くなるんだよ?というか、カトル陛下が居なくなって一番困るのケリーさんだよ!僕、あの皇帝居なくなったら絶対にアンタ殺すって決めてるんだから!」
ブライトの言葉に、ケリーはちょっと泣きそうになりながら頷いた。
(僕を殺したいヤツいっぱいいるのは知ってるけどさぁ!)
ここまでストレートに言う必要はあるのか、と彼はしょんぼりした。
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
カトルちゃん陛下に寵愛されているが故+なんか周りが助けてくれるから生きている美形のおっさん。
この美貌と実際対応したときの若干の憎めなさにくらっときて「うんうん。お話し聞こっか〜♡」となるやつが案外多いとか。
【お知らせ】
続刊、コミカライズが決まりました!!
最新4巻は1月25日発売いたしました。
WEB版より3万字程加筆しております。
コミカライズに関しましては、情報解禁許可が出次第、またお知らせさせてください。
現在、1〜3巻も好評発売中です。こちらもよろしくお願いいたします。
4巻店舗特典はこちら↓
OVERLAP STORE様
書き下ろしSSペーパー『黒猫と王女様』&イラストカード
全国の特約店様
書き下ろしSSペーパー『苦労神と苦労人』
これも応援していただきました皆様のおかげです。引き続き、本作をよろしくお願いいたします。




