31.精霊猫2
とりあえずこの精霊の猫はどうあっても着いてくるつもりしかないようだったので、名前をつける事にした。こうなってはただの人間にどうこうできてしまう相手ではない。小さく愛らしい(とハロルドたちは思っている)ブランですら、本気で反抗されたらどうにもならない。彼女が弱っていた時のような特殊な事例がなければ、人間はこういった存在に干渉することすら難しいものだ。
(でも、ブランは精霊樹を切られて弱り、リオと一緒にいるエリュテイアは寒さで弱っていた。こういった強さというのも、完全ではないのだろうけど)
過去に出会った精霊たちのことを思い出しながらそんなことを考える。寝ているうちに食われかけていたセレナのことも思い出しつつ、苦笑した。
ハロルドの出会ってきた精霊の多くは、この猫以上に自由で気ままでどうにもならない存在だったので、それを思えば可愛い気がしてきた。
「俺のこと、助けてくれる?」
「みゃ〜おぅ!!」
いいよ、とでも言うようにそう鳴いた精霊猫を見ながらハロルドは表情を緩めた。
やはり、可愛い。
「俺、猫って結構好きなんだよね……」
「その割にネーヴェ様とかあんま興味なさそうだったけど」
「だってあれ、ネーヴェ様だし」
珠の猫化状態も可愛いが、やはり言葉を話す人としての割合が大きいように感じる。
ハロルドもただの猫を抱きしめていたいとちょっとだけ思っていた。
ネーヴェはネーヴェであるというだけで論外である。おとなしくアンネリースの飼い猫でいてほしいものである。
とはいえ、ハロルドが動物を飼うのも困難である。家を突然空ける可能性があるし、面倒な存在に目をつけられる可能性もある。危ないのでお迎えが難しい。
しかし、目の前にいるのは精霊である。多くの人間より余程強く、手が出し難い存在だ。
正直、かなりグッとくる。
「そうだな。ルナリアはどうかな?」
ハロルドの問いに気に入ったとでもいうように猫は返事をした。
「ハルがデレデレしてるわ」
「ゆるしがたし」
「ぜぇったい、ウチ等の方がかわい〜のにぃ……」
ルナリアを睨みつける妖精たちを見ながら、アーロンは「そういうとこじゃねぇの?」と思ったが、彼は黙っておいた。絶対面倒なことになるためである。
「そういうところじゃねーの?」
そう。アーロンは黙っていた。
しかし、スノウはそういうことをあまり気にしない性格であるためかサラッと口に出してしまった。
「なんですってぇ!?」
「は?」
「もう一回言ってみなさぁい?」
瞬時に飛んできためんどくさい三人組に詰め寄られたスノウが少しばかり視線を逸らすと、ルナリアが「計画通り」みたいな顔をしており、ルクスはしれっとハロルドからおやつをもらっており、ルアは間でオロオロしていた。
「これ、ルアが一番可愛い可能性あるな……」
「はあああああ???」
「女子に喧嘩売ってるぅ?」
「絶許」
スノウは地雷を踏みまくっていた。
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
そういうところである
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