18.聖女、お怒り
そして始まるピ●ゴラ●イッチ
このことはマリエの耳に入った。彼女はジョシュアとまともなフォルツァート教信者を連れて教会に出向くと、ブチギレながら神像を蹴飛ばした。
「どういうつもりよ、フォルツァート!!我らに恵みをもたらす豊穣の神ハロルドくんに危害をもたらす連中を放置なんてどういうつもり!!」
「マリエ……マリエ……。豊穣の神は彼に加護を与えているフォルテ様だ。不敬だぞ」
「でも、私にお米とお味噌と昆布と鰹節を手配してくれたのはハロルドくんとまねきねこ商会だもの!!」
マリエは神像の前で、いかにヤベェ連中がフォルツァートの名を借りてめちゃくちゃやってるか、怒鳴り散らした。フォルツァート教の神官の皆様はあまりの暴挙に気を失いそうだったが、やがて淡い光が降り注いで、マリエが満足そうに頷いた。
「なんか、ティアさんとやらが腐れ信者を裁いてくれるって!」
ジョシュアと神官たちはその言葉に一瞬考え込んだ。ティアって誰だと脳内を巡らせる。そして、先に答えが見つかったのはジョシュアだった。
天秤の女神ユースティア。
ハロルドに加護を与えているはずの女神の名である。
彼女は神話上、フォルツァートの妻であるとされる。要するに、マリエがフォルツァートにキレた結果、さらに怒っている女神を呼び起こしたということになる。
るんるんでスキップしながら教会を出ていくマリエを何か恐ろしいものでも見るかのような目で見てしまう。
「ユースティア様の神罰の記録、いくつかあったな」
「あー……でもあの女神様、本当にやっばい人間のやっばい行動にしか神罰落とさないんでまだマシですよ。少なくとも国が揺れることはないと思います」
ジョシュアはしれっとそう言った図太そうな神官が少し羨ましかった。
「父上と兄上に報告……この件、めんどくさい連中が消えるとむしろ喜ぶかもしれんな」
よく考えなくても、あんな連中がのさばっているから大変なのだ。消えてくれた方がせいせいするかもしれない。
そこまで考えてからジョシュアは「ダメだ、短絡的な思考は」と首を振った。
しかし、ジョシュアほど繊細でない神官たちは「ホントだー!!やった!!俺、もしかしたらクソ嫌いな司祭とかが横領とかしてたし消えるかも」などと発言している。図太い。
なお、このあとにブチギレハロルドの冷ややかな目を見て、ジョシュアは今度こそお兄ちゃん御用達胃薬に手を出すことになる。




