王子の失墜
ざまぁです。文字数が少なくて、すみません。
一時間後、最終話投稿します。
バルカ王子は後ろ手で縛られながら、目の前にいる人を睨む。
その人は、顎に蓄えられた豊かな髭をゆっくりと撫で、きつい眼差しで彼を見据えていた。
「バルカ、昔から馬鹿だ馬鹿だ。と思っていたが、ワシがいない間に、こんなやらかしをするとは」
「何をいうのです、父上! あの聖女を追い出しても、また代わりの聖女はいるでしょう。どうして、あの女に拘るのですか」
「その聖女とは、此奴のことか」
王が顎をしゃくると、横の扉から国軍に囚われた老女が入ってくる。
「だ、誰だ!」
「ほう、バルカ。お主が、自分で決めた婚約者の顔も忘れているとはな」
「は、何だと。ミルアナはこんな老人じゃない! 若く、美しい女性だ」
「しかし、そのミルアナ嬢は怪物との取引の結果、若さを無くしたようだ」
王の言葉にショックを受けていると、だんだんと老女がミルアナに見えてくる。
白髪に生えたまだらな白金の糸に、しわくちゃだが白い肌にミルアナが好む露出の激しいドレス。冷静に見れば見るほど、老女はミルアナにしか見えない。
「この女は、悪しき怪物と契約した魔女だ。即刻死刑だ。お前は、それにどう関わっている」
「俺、俺はその女に騙されただけだ!」
王は、フンと鼻で笑った。
「ここまできて、言い訳か。お主の計画の何もかも、ワシは知っている。ここで素直に言えば、生涯幽閉にしたがな……反省の色はなしときた」
バルカぞ王子は、みるみる顔が青ざめていく。
「お前は、国家反逆罪にだけでも死刑に値する。それに足して、怪物と――悪魔との契約ときた。悪魔との契約も、もちろん死刑だ。ワシはお前のような馬鹿息子でも、可愛かったんだがな……」
王がコツン、と王笏を床に叩き付けると、侍従がお盆を持って、近づく。
「バルカ。お主は、ミルアナ嬢とともに毒杯による死刑だ。公開処刑でないだけ、温情だと思え」
「ち、父上っ! 俺は、俺は」
必死に手を伸ばしたが、王はバルカ王子を一瞥もすることなく、退出する。その光景に、彼の瞳は濁った色になった。
「王子! 私を助けて」
しゃがれた声に振り向けば、ミルアナが泣き叫びながら、彼と同じように手を伸ばしている。
(あいつだ。あいつがいたから、あのミファという女が現れて、こんなことになったんだ)
憎悪の籠った眼差しを向けると、ミルアナが引き攣った声を出す。
(全部あいつが悪い。あいつが悪い。いや、俺以外の全員が悪いんだ)
バルカ王子はぶつぶつと呟きながら、最後の貴族牢まで連れて行かれる。
その間も、彼は自分の非をを受け止めることなく、最後まで恨言を叫んで毒杯を賜った。
その時、同時にミルアナも毒杯を賜ったが、バルカ王子と同じく、いつまでも泣き言や恨みを叫んでいたという。




