正直に話したつもりが裏目に出た
偽装だけど、鬼空と籍を入れると話した。
望は健太と別れると言い出した。
健太は舞夕璃のために、離別はしないと話した。
すると、望は決心して次のように語った。
「寿樹さんと最初のお約束は、代理出産だけでした。それを自分の手で育てたくなったのは私のわがままです。その後、健太さんが籍を入れて下さり、私は最高に幸せでした。でも、わかっています、いつか舞夕璃とも健太さんとも別れなければならない事を。」
望は後日、離婚届に印鑑を押して持ってきた。
後は健太の名前だけだった。
健太は離婚届を出さなかった。
望はめっきり暗くなった。
健太の心は深く泥沼に落ちた気分だった。
そして、這い上がってこれない。
鬼空が気を使って言った言葉も、また健太を苦しめた。
「わたしは大丈夫だ。偽装結婚の件は止めにしておこう。」
「離婚届は出さないから、今も舞夕璃の父親だ。」
健太は天を仰ぐように 上を向いた。
涙がこぼれない様に。
鬼空は健太の肩に触れた。
「舞夕璃の為にそうしてやった方がいい。」
「望の心は離れてしまった。彼女の心の中は今も離婚中だ。何もかも失敗してしまったよ。」
涙がこぼれ落ちる健太。
「うん、まぁ、しょうがないよ。」
「こんな形で別れたくなかった。」
「望がどんな気持ちになるかわからなかったのかよ」
「わかってたなら なんで止めてくれなかったんだよ!」
「健太が望と別れたいんだと思ったから。」
「……お互い傷つかない方法なんて、あり得なかったのかもしれない。僕は目の前の事しか考えていなかった。」
こんな時、寿樹だったらどんな気が落ち着く説法をしてくれるだろう。鬼空では解決策が足らなすぎた。
健太はまた、自暴自棄に陥るのだった。




