キズ者語り
日々 女体化していく 鬼空の姿がかわいらしく?見えて来る。
肩がシッカリしていたのに……
背が高く感じていたのに……
女性ホルモンが多くなると 肩が丸くなり、身長も低くなった気がする。
可笑しいな身長は変わらないのに……
唇も 艶っぽく見える
それでも その口から出る言葉は 今までの男口調。
寿樹は 自分が女性であると 始めから意識があったのだと この時思う。
寿樹……僕は寿樹の代わりに 鬼空の面倒を看ているよ。
いつ帰って来るか わからない 君の帰りを待ちながら、日々真正家に奉仕続ける。
それは、今まで僕が真正家と寿樹に恩恵を受けて来た 恩返しのように。
「のう、最近 わたしを良く見ておるな。」
鬼空が 健太に言う。
寿樹の部屋だった場所は 鬼空が入って。そこの部屋でパソコンの線を引いた僕は 必然的にそこでパソコンを開く事になる。
「うん、粗相をするといけないから。」
「何のそそうだ?」
鬼空は 言葉の繊細さに欠けるから ひとが何を考えているか 読もうとしない。
「色々だよ。」
鬼空が 畳の上を四つん這いになって 健太の方へ近寄って来る。
「わたしが 女らしく なったからだろう?」
「……そうだね、ちゃんと 私と言えるようになったしね。」
少し偉そうな健太の姿が鼻についたみたいで 鬼空が怒り始めた。
「おちょくってるのか このわたしを!」
否定する健太に
「この わたしとsexがしてみたくなったか?」
「……まだ、だね。」
健太は 昔の 鬼空を思い浮かべた。
今さっきまで、日に日にかわいらしくなっていくと思って見ていたのに、急に結論を出されたら 僕は負けた気がした。
「寿樹とは するくせに。」
鬼空が つの口で愚痴る。
彼には いつも通りの動作だろうが その顔では世界の男が 虜になりそうでたまらなかった。
「寿樹には まだまだ 遠いよ。」
寿樹と比べて 精一杯 離してやった。
鬼空の顔が 濁る。
つまらなそうに 身をひるがえした。
「みんな、寿樹と比べよる。 わたしは わたしだ!寿樹ではない!!」
「そっか、悪い事いったね。寿樹と鬼空は 別々だよ。ごめんなさい。」
男らしい時の鬼空を思い出した。
あのカッコいいプライドのある鬼空を……。
あの時の鬼空も好きだったな。
「ねぇ、言葉使い直しても 鬼空の心の中はそのままなの?」
すると、鬼空が 珍しく深いため息をついた。
「……戻りたい。」
「そ、そうだよね。僕も 昔に戻りたいな、楽しかった頃に。」
鬼空は こっちを向き直した。
「わたしとおまえは キズ者同士と言ったろう?」
「傷……?」
健太が 衝撃を受けた。
「思い通りに 恋が実らなかった 傷者同士さ。」
何か 見ないふりをしていた 大きな闇が 今 覆いかぶさって来て、健太に恐怖をもたらした。
「あぁ、い、言ってたね……。鬼空は 彼女を置いて来たって。そして、僕は……僕は……、 なんだっけ……。」
「健太?」
鬼空が 変な目で 健太を見た。
僕の両目から 熱いものがあふれると 頬を伝わり 落ちて行ったので 涙だと 始めてわかった。
「僕は 傷なんか 負ってないと 思ってた。愛する人を 待っているだけで 傷ついてなんか いないと 思ってた。でも、 本当は 僕は知っていたんだ。」
鬼空は 心配そうに 健太を見つめる。
「寿樹は清一郎を 選んで、もう帰って来ないって事を!!」
健太が 激しくコブシで机を叩いた。
ガツンと響いた。
鬼空はこんな健太は見たことが無いといった様子で驚いた。
誰にも言えず 自分の心の中に しまっていたものが 今 あふれ出したみたいだった。
「自分でわかっていて、自分にウソをついていた。僕は大バカだ!」
また、机を何度も叩くので、そのコブシを抑える鬼空。
「やめないか!」
「鬼空には そんな僕が 見えてた?」
「何を?」
「そんな僕が 僕が無様に見えてた!?」
「おまえは 頑固だからな、何言っても聞かないだろう。」
また、机を殴ろうとする健太の腕を 止めに入る鬼空。
まだ、男らしい力は残っているらしい。
「帰って来ない人を 自分に偽って 待ち続けてる バカだって……ずっと思ってたんでしょ!」
「そんな事は 思っていない。」
暴れる健太を 抱きしめるように止める鬼空。
微かに 寿樹の香りがした気がした。
手を伸ばして 鬼空を抱き寄せた。
「寿樹と 同じ香りがする……。」
熱い涙を流す健太を見つめた。
「しばらく 寿樹と思っておけ。」
健太は目の泉のせいで、そこに寿樹が居るように見えた。
このつづきは、R18に御座います。
次の文面で 話が飛ぶことがあるのを ご了承下さい。




