届いた 上下セット
届いた 下着をつける鬼空。
「どうだ健太。」
僕の 目は もう どっかに行っていた。
鬼空が 届いた下着を付ける前に トランクスを脱ぎ捨てた工程を見ていた僕は 目がどこかへ飛んで行ってしまった。
「めっさ、女の子らしくなったな?な?」
注意するどころじゃない。僕の方が ノックダウンさせられてしまった。
鬼空は 男の時のまま何も変わってない。
「めっさって 何ですか?」
「北海道の 言葉だっけかな?それより どうなんだ?」
「どうって、下着 事態 人に見せるもんじゃないと思うんだけど。」
寿樹の時はこんな事は無かったのに と思う健太。
「コレつけて 白衣着たら 透けて見えてしまうと 思わんか?」
目を凝らして 白衣を引っ掛ける 鬼空の姿を見る。
確かに 紺色のレース花柄まで わかってしまう位 白い生地には透けた。
「せっかく 清楚な紺を選んだのに 透けてしまってはな……。」
「じゃ、着けなければ?」
自分で言っておきながら 妄想して 鼻血が出そうになる健太。
そういえば、寿樹は晒巻いてる時あったな……。
「まだ、乳出てないからいいか」
一人で解釈して さっさと次の下着を手に取る鬼空。
「もう一つあるんだ。」
と得意げに言う。
レースで黑い。広げると レースだらけで 本当に隠れるのか 疑ってしまう。
「僕はここ出るから、一人で着用しててください。」
危険を感じ、この場から離れようとする健太。鬼空に肩をわし掴みされた。
「一緒に見ようよ!一人で下着付けるの恥ずかしいよ。」
「ふつう、下着は一人で着けるものです。」
「じゃあ、健太。俺が下着つけて、ムラっときたら 誰が止めてくれるんだよ。」
「誰も止めません。」
「本当は 見たいだろ?」
「(見たい)見たくありません」
「見たいだろ。」
「(見たいけど)見たくありません。」
「男なら 見たいだろ?」
「男だけど 見たくありません。」
負けた……。
男とは どーして弱いものか つくづく思う。
男なら 黒のレース しかもスケスケレース どこもかしこも レースにそそられる。
二人して 妄想するだけに 息を荒くして見入る 黒レースの下着。
鬼空が 身に着けた。
「やっぱり 俺、ぺちゃぱいだな。」
鬼空がぼやく。
「そーだね。」
まだ 男性の素質がある鬼空の身体では 黒のレース下着の魅力は 存分に発揮できなかった。
「何が違うんだろう?」
「サランラップに下着付けちゃった イメージ?」
「サランラップで悪かったな。」
鬼空が睨みを効かせる。
健太が 目をすごく細めて 見る。
「でも、シルエットはかわいいよ。」
鬼空がブラジャーを脱いで 叩きつける。
「どーせ、俺は オカマもどきで終わりだよ!!」
鬼空が 怒った。
うーん、寿樹もこんな時期があったと思うのに、鬼空みたいに 悩んでる素振りを一度も見たことが無いぞ。
寿樹と 鬼空で どこが違うのだろう?
健太は 考えてみる必要があった。
「くれぐれも トランクスなんか穿かないように。」
「そういえば、寿樹は最初から パンティだったな。」
「(アレが)付いてないから パンツでいいと思ったんだろうね。」
「俺も付いて無いけど……。寿樹の意識は女だったって事か?」
その答えは、健太が 一番知りたいところだった。
「(意識が)女性だといいな。」
健太の方が、寿樹を女性と意識していた。
「寿樹俺より先に女体化したのに 愚痴一つこぼさず 嫁に行ったな。」
それを考えると 寿樹は 強い。
許嫁だからと 嫁ぎに行ったが、普通の女性でもなかなか行けないであろうに、DSD疾患の寿樹が嫁に行くというのは、簡単に言うと 突然宇宙人と結婚しなさいって言われてるのと同じくらい凄い事だと思った。
「寿樹って、凄いな。」
「寿樹、凄いね。」
二人とも 意見が一致した。
「健太寿樹の事 好きだろう?」
「好きだよ。」
「俺の事は?」
「好きだよ。」
「間違えた。」
「?」
「寿樹の事愛せても 俺の事は愛せないだろう?」
「愛っ?」
そういえば、不思議だな。学生時代は 寿樹も鬼空も一人だと思っていた時期があるのに、愛は別れるのかな?
「俺は、健太殴るし、誰にも相手にされず天涯孤独ってやつか。」
「そうだね、殴るし、脅すし、吊るし上げられるし。でも、鬼空のファンクラブがあるじゃないか。」
「女性ファンだろう?だけど 俺の身体は女体化するし……。」
「男性の相手がいいの?」
鬼空が頭を抱える。
「ダメだっ!俺が 男を受け入れられねー。」
「うん、そうだろうね。」
鬼空が天を仰いで 大きくため息をつく。
「死にたい……。」
「鬼空だって 僕と同じ事を言うじゃないか。」
「そうか?」
健太が、羽織を持って来て 鬼空にかけた。
「とりあえず 目の行く場がないから コレ着なよ。」
と言いながら。




