くせ毛とストレート
「うわぁびっくりした。どしたの?のぞきですか?」
寿樹が健太の脱衣所の戸を開けて立っていたので驚く健太。
「観察」
「なんで?」
「なんでも。」
「僕を観察しているの?うれしいけど。」
「その、濡れるとクルクルとなる天然パーマが見たかった。」
(うそだー。)心の中で思う健太。
「……寿樹もっとこっち来てココ見てごらん。もっとクルクルしてるところがあるよ。」
健太が前髪の横を指で示す。
風呂場の床を踏み入る寿樹。
健太がガッシリと捕まえた。
「捕まえた!!」
「だましたな!!」
脱衣所で大きな声が木造の屋敷ではまる聞こえだった。
「一緒にお風呂入る?」
「もう入った。」
「僕がよごしてあげるよ。」
寿樹の着物の襟を開けて健太がいやらしくなる。
寿樹は嫌じゃなかった。
健太がわざと襲い掛かろうとしているのも、人の苦しむ顔を喜ぶ恭司郎とは違ってやさしかった。
「笑ったな。」
寿樹は笑っていた。
「すまない。」
「本気だぞ。」
「健太っておかしな男だって、つくづく思ってな。」
「もしかして、清一郎と比べてる?」
「……」
図星だった。
「寿樹の家系ってみんな血族だから、髪の毛きれいなストレートだよね。僕にとっては矯正かけてないそこまでのストレートの方が貴重なんだけどな。」
貴重、我が父も血族を重んじているが、それも一つで他と混ざりたくないのだろう。
「清一郎は僕よりいくつか若いよね。身体も若いし肌も若いし、僕は勝てっこないからね。」
健太が膨れて言う。
「健太も若いぞ、童顔だから。」
「それ、フォローになってないよ。」
また健太が怒る。
寿樹が笑う。
一緒に風呂に入るはジョーダンだったが 久々に笑った事に 少し元気が出た。




