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健太の日記  作者: 蔓草登上
69/111

鬼空の牡丹が咲いた日

挿絵(By みてみん)

 2020/09/27


真っ赤な真実



「鬼空、今日は祈祷(きとう)の外部だね。忘れ物はない?」

健太が鬼空の特級の白衣、(はかま)血痕(けっこん)を発見する。


「大変だ!鬼空どこでケガしたの?」


「ウソだろう!?」

鬼空も驚いて健太の指す方へ首を回す。


左脚首から血が流れている。

「左足の上から出血してるみたいだ。」


出かけようとしていた矢先だった。

袴の紐を解く鬼空。


「痛くないの?」

「痛くはない。、一体どこから……。」

(つる)()さん呼ぼうか?」

「待て!時間がない。新しい(はかま)斎服(さいふく)を持ってきてくれ。」

と言って鬼空は寿樹専用トイレへと消えてしまった。


 健太がタンスから斎服を揃えてフと気が付いた、寿樹の生理がかなり遅くから始まった事を思い出した。

まさか、もしかして鬼空も……。




 あわてて斎服を手渡し着替え整えると弦賀さんの運転で鬼空は行ってしまった。


 どうしよう、弦賀さんにも言えずに行ってしまったよう。

健太は一人でウロつきまわった。


 鬼空も女体化したら真のカリスマが居なくなってしまう。

それより、鬼空はまた嫁がされたりするのだろうか?

そんなの嫌だ。



「健太さんがオロオロされてましたが」

「下腹部から出血があったから、健太に着替えを持ってきてもらっていた。」

「出血は止まりましたか?」

「いや……。」

「?」

「案ずるな。例のやつが来たのだ。」


 弦賀が一瞬考えて

「なんと!鬼空さま⁉」驚きを隠せず大声を上げた。







 祈祷を無事に終えた鬼空が屋敷に帰宅すると斎服を脱いで検診着になる。

弦賀はプレハブの研究室で資料をめくり、カルテと見比べていた。

健太は正装着を預かり、他に血痕が無いか確認する。

トイレを終えて出て来た鬼空はそのまま研究室へ入る。


「予想以上のスピードなので、確かめますよ。」

回転椅子で振り返りざま鬼空を寝台の上へ指示する。

検診衣に袖を通したていどで直ぐに検査が始まる。


腹部にエコーを使って様子を診る弦賀。

「フーン。まさかですけれど、鬼空様が女性になられるとは……。」


弦賀がモニターを鬼空に見せて説明を始める。

鬼空もベッドの上でエコー画面を見る。

「これが、子宮です。睾丸が消滅する前に子宮が育ってます。こんな事有りえ……ない。」

弦賀が驚きを隠せないでいると


「寿樹が女性化したのだから、俺もそろそろだったんじゃないのか?」

鬼空は割と冷静に答える。


「いえ、寿樹さまと鬼空様の身体の作りが全く違ったので、ほぼ同時に女性化なんて在り得ないんです。特に鬼空様は睾丸があるにも関わらず子宮が出来るなんて。」

弦賀が珍しく困惑している状態。


「じゃあ、生理じゃないのじゃないか?」

「それだったら、納得できますがね。このエコーに子宮が映っているので、そうでしょう。」

鬼空があおむけでため息をつく。


「ちょっと腹部を触ってよろしいですか?」

「ああ。」

「どこか痛い所とかありますか?」

「そういわれてみると、何となく痛いかな。」

弦賀は痛みの場所を探る。

「そこ、その辺りが痛い。」

「それは、生理痛の特徴ですね。」


鬼空は自分ののどを摩ってみた。

「まだ咽喉ぼとけあるのにな」

「多分、睾丸がまだ末梢されてないせいでしょう。子宮が出来た以上、急激に体に変化が訪れるかもしれません。御準備下さい。」

「準備って?」

「次第に身体が丸みをおびてきて、声が高くなったり、体毛が無くなります。そして、乳房が張ってきます。多分、心の方がついて行けないでしょう。」

「心が?」

「私や健太さんに、男性であった以前と同じように接する事が出来なくなる。自覚を持たないといけないですね。」

「わからない。どー接しろというのだ。」

「それが、心配だったんです。」

大きなため息をつく弦賀。


 鬼空さまには出来ない。

この先なにか大きな第三次が起きるに違いない。

弦賀には、予兆がした。



「私はどうでもいいのですが、男性の前で裸や下着を見せない、生理を悟られないようにするなど……。」

「……生理、そういえば女性の生理とはいつ来るのだ?」

「月に1度です。詳しいことは女性の方に聞いた方が良いかもしれません。」


 鬼空が弦賀の前で足を開いて座る姿に、ピシリと膝を叩いて説教した。

「足はズボンを履いていても、閉じて下さい。」

無理矢理足を閉じさせられる鬼空。

しばらくするとまた開く足。



 採血を取っている間に、衝突は起きた。

健太は斎服の洗濯を終えて干している時に大きな叫び声を耳にした。



「俺はオレだー!!俺の生き方だ!俺が決める!」

「あなたが決めても、周りが理解できません!あなたは今、身体が大きく変化しているのですよ!」

二人とも大声を上げながら血を取るものだから、鬼空の血管から血が噴き出した。

アッと押さえる弦賀にバッと跳ねよける鬼空。

「動いたらダメです!」

「何がダメだ!失敗したら謝れ!」


 膝を紐で縛られていたから余計に腹が立ったのだろう。自らほどいて椅子を蹴散らかして研究室から出て行ってしまった。


研究所を出ると検診衣1枚で途端に寒くなる。

身を縮めて部屋に戻ろうとすると、ローカで健太と八合った。


「鬼空!どうしたの?腕から血が……。」

「うるさい!どけ!」

言い終わらないうちに鬼空にいきなり殴られる健太。


ローカの隅に飛ばされる音が鳴り響く。

力はまだ、男並みだ。


立ち上がる前に健太にまたがり、馬乗りになって殴りかかってくるから、健太は両手で顔をふさいだ。

目に鬼空の血が入る。

「やめろ!鬼空!どうしたんだ!?」

健太の胸倉を掴んで、

「健太、俺はどっちだ!!男か?女か?」

と質問を投げかける。


「鬼空の身体は女の子になろうとしてるんだよ。でもまだ途中だ、これから完璧な女性になる。」

鼻に重い衝撃が当たった、鼻の奥がキーンと日常あまりない感覚に陥る。また1発殴られたんだと思う健太。

健太の顔から血が流れる。

でも、鬼空の腕から流れ落ちる出血もある。

一体どちらの血かわからないまま酷い有様となる。


「僕は鬼空が男でも女でもどちらでも、構わない!どっちでも好きだよ!」

「見え透いた嘘を!お前は寿樹が好きだろう!」

また殴り掛かろうとしてきたので、必死で顔を覆う。

痛いのは嫌だ。

そう思ったら ドッサリと重いモノがのしかかってきた。

その重いモノは鬼空自身だった。


 鬼空は健太の上に倒れてビクとも動かない。


「健太さん!大丈夫ですか?」

弦賀さんの声がした。



 鬼空が健太に殴りかかっているのを見て弦賀さんが鬼空に麻酔を打ったらしい。

それも、動物用の速攻効くやつ。


 弦賀に言われて鬼空をタンカに乗せると、検診衣の紐がほつれて鬼空の肌が露わになる。

腕からも 脚からも 真っ赤な鮮血が鬼空の白い肌にまるで朱の花が咲いているように色付いていた。


 骨格はシッカリした男性の体つきなのに鬼空の体内は女性になろうとしているなんて不思議だ。

タンカに乗せた鬼空を、再び研究所のベッドへかつぎ込んだ。

弦賀は脱脂綿に消毒液を濡らすと腕の周りを拭き始め、出血が止まっているのを確認し健太の方を見る。


「健太さんの傷も診ますね。」

「いや、こんなの大したことないですよ!半分は鬼空の血だし。」


脱脂綿に消毒を付ける弦賀。

「口を開けて下さい。」

幸い、口の中は切れておらず、唇から少し血が出ているだけであった。


「良かった、そんなに酷くなくて。

でも、明日には張れるかもしれませんね。」

「大丈夫です。人に会う予定はないんで。」

「健太さんは優しいですね。それでこそ男ですよね。」

「あはっ、何を言ってるんですか弦賀さん僕は弱い男ですよ。」

弦賀はしんみりと話はじめた。


「私は正直、健太さんがこのお屋敷に戻って来てくれてホントに良かったと思っているんです。今まで寿樹様がここを治めて来たでしょう?急に居なくなると鬼空様が大暴れしだしますので、これを恐れていたのです。」

「鬼空はお父さんの気質に似ているからね。」

「もしかしたら、鬼空様はお父様似で寿樹様はお母様似かもしれませんね。」

弦賀は優しく健太の傷を看てくれた。



 健太は顔の血を洗い流しに、洗面所へ行った。

鏡を見ると、もう今からうっすらと赤く腫れあがっている頬と唇。

「ああ、明日やばいかも」

健太は頬に手をやり洗面所を後にした。

帰りがけに研究所に目をやると弦賀は鬼空の鮮血をきれいに拭き取っていた。

 鬼空の股から真っ赤になって出て来たタオルにびっくりして立ち止まる健太。

そっか、鬼空は生理だったっけ。

女性は生理になると怒りっぽくなるって聞いたことがある。

でも、その度に僕が殴られるのはごめんだな。


 弦賀さんはセッセと鬼空の身体の鮮血を拭いている。

僕はそれに見とれていた。

白く長い鬼空の太ももからくっきりと赤い血の線が芸術のような動きを出し、ある一種の絵画のような美しさを感じた。

僕は神社でタブーとされる肌の露出や鮮血に心の底から沸々と湧き上がる喜びを感じる事がある。

ダメだと言われているから、余計に意識してしまうのだろうか?

昔から、ダメだと言われていることに興味があったかもしれない。

寿樹の屋敷へ泊りに行くことに、ダメだと反対させて実行してみたり。

ダメだと言われる性的な遊びに、ハマってみたり。

これは、青年期の興味だと思っていた。

でも、神聖となる場所な程 半面ゾクゾクするほど魅力を感じたり。

神に仕える双子に、神聖以上の魅力を感じたり。

とにかく、僕は神社に向かないのだと思った。


脚がキレイ、鮮血が奇麗、ダブーが起きた、ここが神聖なる場所である。

感性に身をゆだねて見とれていると、鬼空の長い両太ももが直角に立てられ新たな絵画が作り出された。

弦賀さんが直角に立てた膝に左手、肩の方に右手を当てると不思議なことに、寝ていたハズの鬼空の身体がまるで自ら寝返りを打つかのようにゴロンと横を向いた。

あれ?寝てるよね?

そこを深く追求する時間はなかった。

同時に鬼空の白いお尻が露わになったので、ちょっと目をそらす健太。

なんだか入りづらくなったぞ。

お尻の割れ目の血痕までキレイに拭き取る弦賀を見て尊敬する健太。

凄いな弦賀さんは業務として何でもやりこなす。

僕には無理だ。

僕には鬼空の裸体が芸術の一つにしか見えない。


恥ずかしくなって健太はきしむ廊下をゆっくりと歩き出した。








 あれから何刻かたっただろうか

健太と弦賀が夕ご飯の支度をしていた。

すると、どこからともなく聞きなじみのある 嫌な叫び声が聞こえて来た。

「弦賀―!!」


「弦賀さん鬼空が起きたみたいです。」

健太が震えながら小声で叫んだ。

「そのようですね。」

弦賀が手を洗ってタオルで拭いていると。

ドスドスとローカを怒りに任せて歩く音が近づいてきた。


「弦賀!何を入れたんだ?」

近くでその声が鳴り響いたので身震いをした。

「はい。」

振り返り見るとまたしても検診衣を真っ赤に染めて 仁王立ちをしている鬼空の姿があった。

二人ともあちゃーッと目を手で覆う。


 健太は手に負えないライオンが目を覚ましたと思った。

弦賀はなだめるようにそのライオンを食卓から連れ出した。



トイレに入ると股下から出ている紐を引っ張るように指示を出す。

「どれだ?」

「失礼します。」

弦賀はトイレに入って鬼空のまたぐらを見る。


 紐はすでに真っ赤に染まり、太ももに滴れ流れる鮮血と共にピタッとくっついて紐はどれかわからなかった。

手を鮮血に染めながら紐を示すと、鬼空はそれを持ち引き上げた。

「ちがいます!下に引いて下さい。」

案の定思いっきり引っ張られた脱脂綿はそのまま重力で床に叩きつけられ、辺り一面血だらけになった。


「なんだ これは!」

鬼空が嘆く。

「スミマセン私が説明不足で」

「ちがう、女とはこんなものを隠して過ごしているのか?」

鬼空の関心が違った。


「そうです」

怒られるかと思いきや鬼空は落胆した様子で

「もういい。自分でやる。」

鬼空はトイレから弦賀を追い出した。


「鬼空様、私は日頃女性の方がどのように対処されているか皆無です。私のやり正しいか分かりません。このような失態大変申し訳ありませんでした。」

トイレの中でトイレットペーパーの音がする。

鬼空は自分で血痕を拭き掃除しているらしい。

「弦賀、もう良いと言っておる。寿樹に連絡とってくれぬか。」

「はい。」


寿樹が居なくなって、真正家は男3人。

鬼空の女性化が始まろうとしている中、誰一人と生理用品の使い方を知る者は居なかった。





 夕飯の支度を終える健太。

帰って来た弦賀さんの様子を見て。

「鬼空可哀そうだね。ここには女の子が居ないから教えてくれる人が居ないね。」


弦賀は軽くうなずくとスマホから寿樹へ連絡をかけた。





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