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健太の日記  作者: 蔓草登上
60/111

真上様と御師様あいさつ

挿絵(By みてみん)

2020/09/19





 「寿樹じゅき様、何故?」

清一郎が赤城家あかぎけの屋敷内に寿樹が戻ってきている事に驚いた。


その反対側に鎮座しているのは、あの紛れもない真上様しんじょうさまだったので、慌てて頭を低くする清一郎。


「おお、清一郎。」

真上が待っていたかのように、声を掛ける。


「これは、挨拶が遅れまして申し訳ありません。」


「そんな事気にするな、ワシが急に来たことじゃ。

それより、お前だったかな。」

「は?」

「寿樹を貰ってくれると申し出てくれたのは…」

突然の真上の言葉に驚く清一郎。

「あっはい。私ですが。兄との約束では……?」


「うーん、その時は恭司郎きょうしろうと約束じゃったがな。20年も昔の事、恭司郎も妻を娶ってな、そればかりはしょうがなかろう。正式に撤回に来たのじゃ。」


「では、許嫁の件は無しと?」

「無しも無しで良いのじゃが、寿樹の方もこうして世帯を持たずに独りでおるからな。」


「僕、いや私でもよろしいんでしょうか?」

ちょっと焦った清一郎。喜びが体からあふれ出しそうだ。


「貰ってくれるなら、こちらとしても安泰じゃ。」

「はい!喜んで。いや、あの寿樹様のご意見は?」

「いいに決まっておろう。な、寿樹。今まで妙な虫を寄せ付けずにこうして来たのだ。我が、真成家と赤城家の繋がりが出来るということだ。よろしく頼むぞ。」

寿樹は黙ったままだ。


それを見ていた恭司郎が口を挟んだ。

「赤城家とは母方の姉妹で繋がっているではないですか」

「いやぁ、あいつは逆に意地悪されかねん。」

二人とも笑った。

「仲がよろしくないようですね。」



 清一郎は寿樹の様子をうかがって見た。

寿樹は、父親の顔を見るとモノ申したそうに

「父上、私が権力の駒になるのでしたら婚約は致しません。」

「何を言う。みんなおまえの為なんだぞ。」

恭司郎も父親に乗っかってそうだと言い立てる。

寿樹の話は取り合ってもらえないといった感じだ。


清一郎だけが寿樹を心配して見ていた。



 みんな裏がある。寿樹にはわかっていた。

特に真上と恭司郎とは仲が良くて、性分も似ている。

だから、自分の娘を恭司郎にやると手なずけていたが、恭司郎も好きな女性と結婚したかったのだろう。うまくかわして、弟に擦り付けた。

真上もそこは無理に進めない。

恭司郎を大事とし、嫌がることはしなかった。


 しかし、本当に清一郎は寿樹の事が気になっていた。

気質は兄と似たところをもつのだが、兄のやり方の悪い所はしない様に心がけていた。




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