赤城清一郎の訪問
2020/08/16
―赤城清一郎の訪問―
鬼空と海を眺めて 帰って来た健太。
案外満足そうにしていたのを ホッとして見ていた寿樹。
それはほんの一瞬のつかの間だった。
寿樹が赤城清一郎と一緒にいる姿を見た健太は、またボルテージが上がった。
「寿樹!だれと会っているの?」
側近になった健太には聞く権利があった。
寿樹は少し強張った。
赤城清一郎は寿樹の父親の兄弟の息子。
つまり従弟に当たる。
寿樹とおんなじで 奇麗なストレートの髪に 均等のいい顔立ちをもった男性だ。
同じ従弟内でも 頭も良くて 親の家系から すんなり官僚ポストへ着いたという話だ。
頭が良いだけに正当な理由を掲げては寿樹を横取りする、気の抜けない兄弟として健太の脳裏にある。
その兄、赤城恭司郎は清一郎と真逆の性格で、力ずくで寿樹をさらって行くもっと最低な男だった。
健太が恭司郎が居ないか辺りをキョロキョロしていると……。
「お久しぶりです。坂受さん。」
と不慣れな名前で呼ぶ清一郎の姿があった。
「お久しぶりです清一郎さん。お兄さんも一緒ですか?」
健太もすぐに返す。
「いえ、今日は兄は来ていません。御一緒の方が良かったですか?」
「いいえ、結構です。」
ホッとする健太。
そういう顔色を見て、清一郎は笑う。
「私と兄はあまり仲が良くないので、一緒に来ることは少ないかと思われます。」
「その方がこちらも都合が良いです。」
あんな兄が来ては、寿樹を守りきる自信がまだなかった。
「坂受さんは、側近になられたのですね。すっかり寿樹様の番犬という訳ですか?」
よく権宮司か禰宜職と間違われるが、そこは側近として理解できているらしい。それにしても 嫌味も込めて言ったのか?健太にはそう聞こえる。
「そうです、よく吠える番犬と言われています。」
すると、寿樹が健太にヤメロと割って入って来る。
(寿樹は清一郎の事が好きなのかよ)
心の中でハッキリと寿樹に問いかけた。
寿樹はチラッと健太を見る。
「清一郎、まだ先日なったばかりでな、未熟な側近を許してくれ。」
寿樹が謝るから余計に腹が立つ。
「いいえ、立派な役目について、成長されましたことに驚いております。」
清一郎の余裕ぶった返答に更に腹が立った。




