双子が対話している時 必ず健太は嫌われる
2020/07/20
―女性ホルモン剤番外編―
鬼空と寿樹が向き合って会話をしている。
「弦賀が俺に女性ホルモン剤飲ませてたんだ!」
「知っているよ、あれだけ大声でしゃべってたから聞こえる。」
「今さら女になるなんて ついて行かれねーよ」
「安心しろ、女性ホルモン剤を飲んだから女になる訳ではない。男性にも女性ホルモンは存在する。女性ホルモンと男性ホルモンのバランスが取れたから身体が落ち着いたのだろう。」
「相変わらず頭だけはいいよなおまえ。今の俺の身体の機能は寿樹と変わらない、寿樹のようになったらどーする?」
「私の替りを頼みやすくなる」
「おまえが楽するだけじゃないか!」
「それを言ったら私だっていつ染色体が変わるか分からない。私こそ鬼空と瓜二つとなる。……すべては身を任せるのだ、あがいても所詮 我々の力なんてそんなものさ鬼空。」
「このまま女になったら俺の人生終わりだ」
「何を言う、男で失敗したのだから女になってみろ」
健太が二人の真剣な話に気が付いた。
「何を真剣に話しているの?」
こうやって比べると二人の区別がつきやすい。
女性として変化してきた寿樹から鬼空を比べると、寿樹が断然女性っぽい。世界ではDSD疾患者は中性らしいが、僕には中学の時から寿樹は妖艶な魅力を持った女性だった。
今回、鬼空も女性になったら僕はハーレムな世界になるのだろうか…などと考えていたら二人に察しられ、ササっと離れて散っていった。
「ちょっと待ってよ。何か話してたでしょ!」
「お前に話を聞かれるくらいなら帰った方がマシだ。」
「鬼空には僕が必要でしょ?」
「なんでだ?」
「うーん、僕が力になってあげたいと思っているから」
「いらない」
「また鬼空のいけず」
健太が鬼空の後を追いかけて行く。
鬼空にとっても健太は長い付き合いのせいで言葉と裏腹に気付いてくれる健太が居心地が良かった。
しかし、いままで男でいたのにどーやって女で生活をしていくのか鬼空には人生で最大の不安でしかなかった。




