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健太の日記  作者: 蔓草登上
26/111

妖艶な美の微笑 後編

同日


挿絵(By みてみん)

 大きなゴミ袋を 何回も往復して ゴミ捨て場へ 放り込むと 健太は ギアの代わりに

寿樹の手を握って 車を走らせる。


寿樹は ペペっと手を 払いのける。


いつまでも 引きずって欲しくないみたいだ。



屋敷へ着くと 一目散いちもくさんに湯を沸かしに行って

「寿樹、先に入ってね。」

と言う。

夕飯の仕込み・・・と思いきや、目を疑う光景に出くわして おもわず理性を失う。


「なんで、 窯の飯が入ってないのに 洗ってないんだよ。直ぐに洗わないと カチカチになってとれなくなるだろう!・・・・鬼空!!」

犯人は直ぐに分かっている。

いつにない健太の剣幕けんまくに、鬼空が 覗きにやって来る。

「ん!」

「ん。じゃないよ。お昼食べて洗い物もしてないのかよ。」

「俺、基本やらないし。」

案の定 健太に怒られる。

食卓を かたずけさせられる鬼空。


健太が 洗い物をしていると

弦賀さんが 買い出しから帰って来て

「ここは やりますよ。」

エプロンをしながら 言ってくれた。


「僕は 洗い物かたずけちゃいます。弦賀さんの今晩の予定は?」

「今晩は 回鍋肉でもと思って」

「では、その準備お願いします。終わったら野菜切り手伝いますから。」

「多分、一人で出来ちゃいますよ。健太さんは御飯だけお願いします。」


弦賀さんが 回鍋肉を一人で作っている最中 寿樹が風呂から出て来る。

順番は 鬼空だが 外に干してある 洗濯物が まだ取り込まれていないので 鬼空がやっている。


弦賀さんは 健太に 先に風呂へ入るようにススメた。

「今日は お休みの日なのに 神社のお掃除 ご苦労様でした。先にお風呂で 流してくるといいですよ。」

弦賀さんの 気遣いは 僕のタイミングに良く合う。

「じゃ、スミマセン お先に入らせてもらいます。」


風呂の湯舟で 今日のみそぎからの事が 頭から離れない。

嬉しくて 湯舟に潜って ブクブクと言葉にならない思いを吐き出した。

でも、寿樹のあの笑み 絶対何か 隠しているよな・・・

僕が こんな気持ちでいるのに 寿樹の心は つかめないまま・・・

胸の中で 風鈴が チリン…と 1回 音を奏でた。


風呂から 出てくると みんな弦賀さんの回鍋肉を真ん中に食事をしていた。

鬼空はもう食べ終わっていて 

「健太の後かよ」

と愚痴をこぼした。

「鬼空には 僕の垢でも 煎じて飲んでおくと いいよ」

頭を 拭きながら 食卓へ進む。

 

弦賀さんが 笑った。

「お湯を 飲んできなさい。」


「そーゆー事だな。」と寿樹、食事をしながら言う。


3対1では 勝ち目のない鬼空は シブシブ風呂へ向かう。


寿樹の食卓前に座ろうとして 目をしかめた。

残像か?それとも 僕の妄想か?

目の前に いや 僕は立っているから 目の下だ。

白衣の襟元から ゆるやかではあるが 胸の谷間が 見えた。

なんでだ?いつもは 見えないのに 今日に限って目に付くのか?


「健太さん 暖かい オカズがあるんですよ。」

と弦賀さんが 席を立った。

「あ、悪いです。弦賀さん。」

といいつつ 咳払いをして 寿樹の視線を向けた。

健太を見る 寿樹。


自分の胸元で 襟をしめる仕草をした。

すると 慌てて 襟元を締めた。

「どおしたの?らしくない。」

小声で聞くと

「下着がなかった」

と恥ずかしそうに返した。


弦賀さんが 暖かいオカズを持って来てくれる。

「はい、どうぞ。」

「ありがとう ございます。」

弦賀さんは 真隣に座っていたから 気が付かなかったんだな。


「今日は 暑いね。下着が無くても いけちゃいそう。」

寿樹は 黙って 食事をする。

テーブルの下で 足を蹴られた。


ソファーの上には 鬼空が取り込みしたままの状態の 洗濯物がコンモリと山になっていた。

どうやら 寿樹の下着は この山の中にあるらしい。

それにしても 寿樹の 下着の数 が少なすぎる。

さらしの腹巻バージョンで 胸を圧迫し 平らにしているらしいが 

なんだか 胸が 可哀そうにも思える。



健太が 寿樹に下着探しを 始めると 寿樹の父親 真上様の目に触れて 寿樹は とんでもない展開へと運命の歯車が狂ってしまう。


この時は 微塵も 感じていない。



 




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