健太泣く再フラれ
「健太どうした?」
鬼空が聞く程だから醜い顔をして泣いていたのだろう。
「どうした?答えずらい事か?」
戸惑っている健太に同情する鬼空。
取り敢えず鬼空は僕をギュと抱きしめてくれた。
以前、僕がしたように。
僕は鬼空のいい香りがする胸板から頭を少し話して、
「聞いて、怒らないでくれる?」
そんな事言われたら怒れなくなると首をかしげる鬼空。
健太は少し膨れて
「もう!怒らないで聞いてくれる!?」
半ば強制的に「うん」と言わされる鬼空。
「寿樹は僕の事が恋愛対象にならないって・・・」
寿樹が言いかねない内容に鬼空は一気に落胆する。
「はぁ。・・それは前もわかっていたろう?」
「前はフラれたけど。今回は僕を呼んでくれたし。
僕が来た時の夕陽が一番奇麗だったって言ってくれたもん。」
鬼空は少し考えて
「それは、どーゆうことだ?」
「僕が来た日の夕陽は一番奇麗だったっていうのは、毎日夕日はあるのだけれど。
良い記憶と一緒に見るとより美しく印象に残るものなんだって。」
「それと健太とどう結びつくのだ?」
「だから、寿樹は僕を呼んで、夕陽を眺めながら待っていてくれた訳だよね。
今か今かと待って僕にやっと会えて嬉しかったって、今を想ってもあの時の夕陽が一番奇麗だったなって・・」
「わからん・・・」
健太は鬼空のパーカーの袖口をギューッと握り絞って
「僕に会える喜びと夕陽の美しさが重なって、いつもより倍に夕日が印象に残ったってことだよ。」
鬼空はますます渋そうな顔をする。
「寿樹って平安時代の人だったら、絶対っ和歌を詠んでただろうね。」
「その健太の勝手な解釈、合っているのか?」
「合っているとも!」
「じゃあ、なんでフラれるんだよ!」
チーンとなる健太。
「僕には寿樹が絶対喜んでたって、僕に会えるのを楽しみにしていたって通じたんだけどな。
言葉にすらなかったけれど、あれは紛れもなく喜んでくれていたと認識しているのだけれどなぁ」
「それと、恋愛とは別なんじゃないか?」
ガックシ肩を落とす健太。大きく泣き崩れる。
「いいか、健太には家庭があるのに誰も家庭を壊そうとする発言はしないんじゃないのかな?」
ハッと頭を持ち上げる健太の頭をすれすれ避ける鬼空。
「そうだ!僕は結婚しているから気を使って言えなかったんだ。僕はどーして望ちゃんと結婚までしてしまったのだろう。こんなにも寿樹を好きなのに・・・」
健太は結局、自分を責めた。
「寿樹はアイドルとして、健太は望と結婚出来て円満だと思いなさい。」
「寿樹がアイドル?」
「そう。」
「中学の時からずっと近くにいるのに?手が届く範囲に居るのに?毎日顔を合わせて会話しているのに?」
「・・・・」
もう、何も言えなくなった鬼空。
「寿樹の心も僕にあると思うんだ。あと一歩なんだよ。」
「すごろくで言うと、目が揃わなくてなかなか上がれないタイプだな。」
「あと一歩、抱き着いたらいい?」
「お、そーいうの好きだな。」
「先輩!教えて下さい。」
「エサで釣るってのも手だな。」
「エサとは何ですか?」
「寿樹の大好物だよ。」
「寿樹の大好物って何だろう?。双子だからわかるでしょ?」
「ただでは教えられん。」
「お金取るの?」
ニヤッと笑う。
「酷い鬼空サイテー。」
いつの間にか鬼空の膝で眠ってしまった。
寿樹と同じ香りがするから・・・。
鬼空が僕の頭をずっと撫でていてくれたから?
日々の疲れと過度な興奮で疲れてしまったから?
鬼空はせわしく働かないで、毎日のんびり暮らしているから
鬼空は僕がほんの15分程度眠ってしまったことに怒りはしなかった。
そのうち、寿樹が通りかかって驚いてこの光景を見たらしいが、後の祭りであった。
「ちがうんだよ寿樹ー!」




